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『大作戦日誌』20040101-20040131

20040101/001119
『謹賀新年』
 
新年あけまして御芽出度うございます。
 
本年の正月休暇は、沖縄県の西表島と波照間島に旅してきます。

本年こそは、旧年中に基礎固めを勉強しなおした成果を込めて、
物語を創りそして発表していきたいと思っております。

2004年1月1日 秋桜 多透

20040102/001120
『南方キカン』
南方旅行から無事帰還せり。
 
西表島・波照間島の両島ともに時間の許す限り満喫。
石垣島も少しだけ歩く。
空港から出ないままの訪島も含めると、
那覇と宮古島にも立つ事が出来て少し得した気分。

昨年は、日本最北端駅である根室駅到達。
本年は、日本有人島最南端に到達。

帰還はした。今度は日常において自分という機関を駆動する順番だ。
 
現在、デジカメで千枚以上撮った画像の整理もままならないまま仕事三昧。
南方を思いて放心する間もなく、11・12日の連休は伊勢詣で。

動けるだけは動こう。

今年の目標は、“小説創作”と“旅先朝陽観賞”という事で。

20040103/001121
『こわれざる日々のために』
沖縄正月旅行のデジカメデータを整理しようとしていた・・・ら、
データが破損している模様でどぅにもこぉにも。

約1000枚中、バソコンに転送できたものが約500枚で、
そのうちで画像をナントカ開けるのが約200枚。
開けても、その全部がデータ不備という体たらく。

沖縄の画像を期待されて来訪してくださった方々には申し訳ない。
今回の画像は淡路島のものでする。
 
どぅも、イキオイで親父から借りて使ってしまった64メガスマートメディアに、
多透使用な年季の入ったデジカメが対応しきれてくれていなかった様子。

なんとか開けた画像群も、複数枚のデータがパッチワークされていてパズラー気分。
 
まぁ、デジタルデータというものが破損した時には、潔くするのが何より。

負け惜しみな角度も確実に認識してはいるのだけれども、それでも、
意外な程に惜しがっては居ない自分も確かに居る事に気づく。

旅を重ねている日々のせいか? 
次の、そしてまた別の旅に向かう事が、自分の中で当たり前になった証か?

混濁や希釈や変質が当たり前でも、
根源的に“個”の存在である自分だけの記憶が鮮烈で在る為か?


20040104/001122
『SF・最後のサムライ』
沖縄から帰還してみると、周囲に『ラスト・サムライ』鑑賞者が大続出。
20代から70代まで、皆様に評判ヨロシイのに感服いたす。

実は、去年にタダ券を活用して公開2日目に観賞済み。
観てもいない作品と比べるのは不毛だが、
どちらにするか迷っていた『キル・ビル』よりも1年の締めとして良かった感。

前夜にほとんど眠っていないにも拘らず、2時間余を全く眠くならず満喫。

朝イチの回で7割程度の入りだったので心配になったが、
出てみると次の上映待ちの方々が驚愕数の行列だったのも良かった感。
 
些細な所をツツけば、
“雪に囲まれる村なのに、あのヤシの木は?”とか色々あるけど問題無し。
そんな程度のツッコミ所は他の映画でも満載だし。

真田広之は青春ハリケーン。それが良い。それでなくては。

カメラ親父はエエ味出してる。
ああいうキャラは重要だが前面に出過ぎると興醒めしてしまう諸刃の剣。
絶妙な露出で抑える演出が渋い。

小雪、TVドラマではパッとしない女の役が多い様な気がする。
連ドラ『天体観測』では、
真面目に働いてる元カレに対して具体案も無いまま「夢を忘れたの!?」とか言う、
無自覚なまま男をダメにする女だったりしたが。
今回、映画映えしていたのが流石モデル出身。
体も首も長いので、何かガゼルっぽい。

ともかく、長上映をダレずに見せてくれた演出にごっつぁんです。
 
ただ・・・チューは要らんだろう。チューは。
あの直前の演出だけで充分にエロいのに。蛇足感。

メリケンの観客や監督は、チュー無しではイカンのか?

20040105/001123
『いきてかえりし物語』
『ラスト・サムライ』に限らず、
“異文化への訪問”を主軸にした物語は古今東西で幾多も語られてきた。

勿論、物語趣旨の方向性は多種多様。
ダイヤグラムの各外周付近と思われる作品を軽く並べてみるだけでも、
『巴里のアメリカ人』『刑事ジョン・ブック 目撃者』『フォビドゥン・ゾーン』
『注目すべき人々との出会い』『不思議の国のアリス』『猿の惑星』等々様々。

『ラスト・サムライ』と同軸の物語構造を持つ映画には、
『ダンス・ウイズ・ウルブス』『セブン・イヤーズ・チベット』等が在るが、
両者に感じる冗長さがクリアされていたのは凄い。
 
で、そういう構造の物語を脳内で羅列していると、
“異文化への訪問”が実に物語り向きな主題だと痛感。
『スタートレック』シリーズは、その蓄積で成長してきた訳だし。

過ごしてきた日常とは異なる文化空間の内で、
好むと好まざるに関わらず自覚させられてしまうアイデンティティー。
 
外を見て内を見る。他を知って自身を知る。
その当たり前が出来ていない社会人を見るにつけ、自分の未熟も痛感する。

虚構は楽しいものだが、それに溺れてしまうよりは何かを持ち帰りたい。
旅もまた同じ。

20040106/001124
『君知る空と知らぬ雲』
西表島・波照間島旅行のデータが壊れたデジカメ画像に、手間取り継続。

“そこが何処か?”が解る記号が無い“なんでもない空”ばかりが無事だったり。

“そこが何処だっか?”が解るのは、
その日その場に居た自分だけだという、その当たり前を再認識するばかりだったり。
 
そんなこんなで、
1月11・12日の連休は、行動隊『ドーゼオーバーズ』で伊勢旅行。
個人的には、沖縄旅行記に添える画像の水増しを目論み、青空を撮る目的も。
 
3日間近鉄全線乗り降り自由の『近鉄遊レールパス』を各員が装備。
通常、JR移動の場合だと経費削減の為に『青春18きっぷ』定番活用の我々も、
寒空と時間制限に拮抗すべく、時間を買う戦術に出た。

鶴橋から伊勢市駅まで特急2時間。列車の2階からヤーホレホ。
8時過ぎ発で11時には伊勢神宮外宮到達。

ちょっとしょんぼり気味な商店街の雰囲気を盛り返すかの如く、人波は多い。
 
神社の森が本当に森だ。心地よい。

まっすぐな杉木立も気持ち良いもので“日本の風景”になり得ていると思う。
されど、木材の為に“作られた”山風景と異なり、
雑木林が古来の植生のままに生きている風景は本当に美しい。

通常の参拝ルートから離れるように森への道に入ると、
そこには、行った者にしか解らない大樹が、沈黙の中で堂々と立っている。

20040107/001125
『伊勢神宮はいつもナイからグゥ』
天頂に、光輝遮る雲は無し。
快晴なれど風強し。1月11日、伊勢神宮。

今回、3名にての電車行だったものの、
外宮参拝が終わった時点で、単独で車を飛ばしてきたセックスドクター氏と合流。
往復4時間以上を費やし、我々と同時行動2時間足らずにて私用の為再び単独帰還。

それぞれの時間と、接点たる時間。その配分で各人の人生は成り立っている。
 
十年程前、
今回と同じ様なメンバーで、外宮のそのまた離宮な所や熊野詣に出た事も在る。
その頃はまだ、
『青春18きっぷ』乗車可能な新宮行きや高快速で紀伊半島攻めが出来たからだ。
その列車も廃止され、車だろうが鉄道だろうが南紀は遠くなりにけり。
 
今回の伊勢詣で、内宮と外宮の距離が結構離れているコトを体で再認。
双方を1度に参拝するのは小学校の修学旅行以来だが、
当時はどうやって回ったのか思い出せない。
まぁバスだったのだろうが、その距離感が記憶から汲み出せない。
 
年月のせいもあるのだが、
“運ばれる旅”と“自力移動”の記憶濃度の違いをより強く感じているのも事実。

今年の旅は、どれだけ思い出せるだろうか。

20040108/001126
『鳥居をくぐり、坂の橋を渡って』
伊勢神宮の鳥居が朱塗りではない事に改めて気づく。
五十鈴川の色に、西表島浦内川の色を思い出す。

賽銭箱が見えない程の人波が延々と続く。
信心か審尋か新人か。
テレパシーなんて無くても、雑多で多様な意識が混在して伝わってくる。
 
普段、高齢な方々と接している仕事なので、
歩行姿勢を拝見すると足や腰や肩の痛みが推察できてくる。

神域の、祝祭空間の、多様性を呼吸する。
 
伊勢神宮に多くの宮司を輩出している神道学科を持つ、皇學館大學が近くに在る。
その、新成人となった学生なのだろうか?
神楽殿で奉納舞が始まる時刻に偶然立ち会った。

成人の日の前日では在ったが、若者参拝者にも晴れ着姿多数。
男性の目で見るが故に女子には美しい印象を持つが、
着慣れない借り物の羽織袴で粋がる男子群が微笑ましい。

その虚勢を、10年後にどんな色で振り返るのだろう?
それが自分で登る坂道の、入り口だったと思うのだろうか?
あの時が、一番輝いていたと振り向くのだろうか?

責務は、在る。
義務と責任を自発的に呼吸しなければならない門出を、どれだけ認識している事か。

世界は、放っておいても全周囲に在る。
「払ってないやつが居るから」等という幼稚な世界認識のままで、
国家の庇護だけは当然の如く欲しがる様な三十路には成って欲しくないものだ。

20040109/001127
『半島の黄金列車』
再び3人での行程に戻り、宿を目指す。
近鉄伊勢市駅から鵜方駅までは各停で約1時間。
3人全員が居眠りしてしまい、終点の賢島駅から引き返す事になったりな彩り。
他にも幾人か寝過ごした方々が居られた事から推理するに、あの路線には催眠効果が?

まぁ、そのおかげで、車窓からの夕陽に染まって車内が黄金に見える一瞬にも逢えた。
 
鵜方駅では、やたらとデカいイカ焼きを3人そろって喰らう。うまうま。
既に伊勢湾を抜け、志摩半島の先端部。夜風が異様に冷たい。
鵜方駅からバスで30分。宿泊地の船越へ到着した18時過ぎは夜の色。
 
タイムトロン式100円TVを起動すると“曙VSサップ戦”が映る。
すわ ! 時間軸のズレた領域に踏み込んでしまったくわ ! と色めき立つが再放送。

BSE関連のニュースでは、異人さんが「僕は神を信じているから大丈夫ですよ」と。
なるほど、信心は狂牛病予防にも効果があると確信できる人が居るのか。
信心の無い身からすれば、盲信できて納得してしまえる思考の方が怖いのだが。
 
夕食は、海の幸をたらふく食べさせていただく。民宿の良いトコロ。
満腹計画。集合旅の良いトコロ。
独り旅ではクチ贅沢よりも移動快楽に走ってしまうので。

部屋に戻ると、アメリカナイズされる以前な始源形式のハワイアンダンスが画面に。
一神教思考で格付けされるよりも、
精霊信仰(アニミズム)のほうが、八百万の神々住む文化の中で育った身には染み易い。

20040110/001128
『それなら船を越えてゆけ』
志摩半島の先端部に位置する船越という町を訪れたのには、理由が在る。
朝陽を見る為だ。
日本国は海岸線で囲まれているにもかかわらず、
地形方向の関係で“水平線からの朝陽”を見る事の出来る地域は限られている。

そして、見たいと思ったものを自己責任で見に行けるのもオトナの本懐。
 
宿から250m程歩いた、長い長い堤防の上で待つ。待つのは我々3人だけだ。
午前7時過ぎからの光彩変転を満喫。

個人的には、今年になって能動的に海からの日の出を見たのは2回目。
1月4日、日本国有人島最南端にて独りで見た光と、
異なりながら同一でもある光彩の美麗。

日の出を見るたびに、太陽信仰が始源の信仰で在る事が染みて来る。
 
9年前、阪神淡路大震災を経て・・・独立開業した時の事を忘れないでいよう。
依存する為の盲信や矮小な自慰に陥らない為にも、自己責任を収束させたかった。
機を逃して言い訳に浸るよりも、動く事で責任を背負いたかった。
 
依存する為ではなく、自惚れに埋没しない為に合掌する。

誰も居ない漁港を、通り過ぎて帰る。

20040111/001129
『アンダーカバートラベリャーズ』
朝の水辺を歩くのは趣き深い。

実に趣き深いのだが、気になるのはカバの事だ。
カバは、お肌の乾燥を嫌って夜間や早朝に食事をする。
その時間帯ならば、敵となる獣もグッドナイト。
動物園でのカバ臭さとは裏腹に、意外や知将、カバ。

そんなカバと街角で出くわしたら? 挨拶は? 地球の運命は?
 
だが、海辺ならば安心だ。
カバの耐海水性能以前に、海には“ 原子怪獣リドサウルス”が棲むからだ。

そう、リドザウルスは遠い日の思い出ではない。
昨年末、新潟東港西防波堤にて・・・
14mもの高さを誇る灯台が一夜にして消失してしまった事件があった。

今、灯台が危ない !
 
そのような事情も在って、我々は大王崎灯台に向かった。

大王崎灯台は、
重要施設にも関わらず150円で最上部まで登らせてもらえる開けっぴろげ性を持つ。
螺旋階段ぐるぐる。1段1段が呪術的な魅力を持っている。
 
ライトをスムーズに動作せしめる為に水銀槽に中枢が浮かぶという脅威のメカニズム。

先端部回廊に踏み出せば、視界275度全部に迫りくる太平洋パワー。

20040112/001130
『灯台もっと美し』
地元商店街を通り抜ける登り坂や、灯台の螺旋階段を経て、
大海原を通常より高く見る景観に辿り着く。

なんとはなしに、宗教的通過儀礼まで連想してしまう。
それは、美しいものには敬意を払ってしまう本能の類か。
 
問題は、美しいと思えるものに対する自分の立ち位置だ。
世界は汚くて美しい。それは当たり前の現実。
ならば、その当たり前から自分で受け止めた“美しい”をどう活用するかが問題。

美しいものが好きでも、自分の部屋を美しく保つには努力が必要。

「部屋は心の鏡である」と言っても、鏡部屋では落ち着かないのも人間。
誰しも、自分を見ている自分や自分自身を見たくはないから。
人間は、精神安定の為に“見たくないものは見えていなかった”と取捨選択する。
個々人の精神力強弱に関わらず、誰もが無意識のままに自動的に。
自己客観視を冷徹かつ完璧に続ければ、自己の発狂を招くからだ。
 
それでも、社会生活をしている以上、自らを取り巻く現実から逃げる訳にはいかない。
しかし、スピリチュアルなものに依存している人ほど、
その大事な現実さえをも見ようともしない傾向が在る。

これは、基盤となるものが抽象的だからだ。
「頑張ろう」と言うのは簡単だが、
具体的な手段を提示して実行できないのに精神論を振りかざしても空虚なだけ。

現実は、具体的な物事の積み重ねで出来ている。
どれだけ自分自身が実際に現実を動かしているかを認識した方が建設的だ。
それは、辛い事だけれど。

何か問題が在り、それが解決したかに見えた時・・・
スピリチュアルなものに依存している人ならば、霊的な加護等を基盤に思考する事が多い。
しかし、現実に様々な人々の具体的行動の結果として自らの衣食住が取り巻かれている以上、
自分を支えている当たり前の現実的な社会までも、
抽象的な認識に押しやってしまうのは社会人として幼稚。

我々は、社会的生物である以上、現実的具体的な視点と行動を忘れるわけにはいかない。
  
ならば、“美しい”と思ったときの自分がどれほどに美しさを認識しているのか?

上の画像は、灯台に至る商店街で偶然に遭遇した一瞬。
こういう瞬間は当事者しか認識しえない事を承知で、下手な写真を指して言えば、
大自然の景観とは別軸で在りながらも決して劣らぬ思考レベルで、
その瞬間の光景を美しいと思った。

自分は、まだ間に合うのかも知れない?

20040113/001131
『書とアレを持って町に帰ろう』
 
やはり、灯台と言えば『ウルトラセブン』カナン星人による灯台に偽装した宇宙船。
しかし、今回は思考高揚用にブラッドベリさんの『霧笛』を。
 
大王崎灯台を望む展望公園には、ブラッドベリさん(かもしれない)銅像も在るし。
灯台付近には、食い物に困った感じが全然ナシな怪猫マックダン(仮名)も居るし。
 
怪猫マックダン(仮名)にちょっかい出すと、腹を触らせてくれる。
わふわふっと拍手するかの如き真剣猫手取りで歓迎パンチしてくれるのだが、
爪は引っ込めたままの遊びファイトだ。
「むぅ・・・こやつ、人間に慣れておる ! 」 もしくはナメられている。
でも、女の子だった。失礼。
 
帰路、今まで徘徊した事のなかった松阪の町へ。
もっと、松阪牛の暴れ牛が攻めて来る様な荒野を想像してたのだが普通の町。
商店街で焼肉定食を出す様な店も意外と少ない感じ。
しかも松阪牛使用のメニューは別価格。つまり“それ以外牛”も流通する町。

なんかその筋では有名やホルモン屋を目指して90分ほど3人で道に迷う。
結局、営業時間外だったり、我々にはゴージャスすぎる店構えだったり。

目指す店に行けなくて、今回のナビゲーターたるギョウジャニンニク氏が恐縮。
されど我らに悔いは無し。食いの方も松阪牛の牛丼食べたし。

観光名所のチェックだけを目的とせねばならない身でも無し。
なにげない街並を迷ってこそ、我らは松阪に行ったと言える・・・筈。

20040114/001132
『超弩級灯台ファロス』
書き忘れていた事。大王崎灯台で見かけたポスター。
『灯台スタンプラリー』の告知が公明正大、に。

たかがポスター。されどポスター。
ポスターを視認した瞬間・・・
「日本各地の有名灯台を巡り巡る雄大なるスタンプラリー !
 旅を巡り行くあなたの眼前には、新しい風景や未だ見た事の無かった灯台が !
 驚異に満ちた旅路の中で巡りくる事だろうっ ! 」

・・・てな感じで、誰だろう誰だろう誰かかが叫ぶ ! 制覇せよと脳内で誰かが !
・・・てな感じで、人生に仕掛けられた膨大なスイッチ群の中に在ると言う、
“灯台”のスイッチがガ・キーンっとONしてしまう人も少なからず居られる筈。
 
しかし、キミの行く道は果てしなく遠い。
大王崎灯台も含まれている『日本の灯台50選』だけでもかなりの広範囲。
大王崎灯台同様に参観可能な灯台だけでもと思っても、全国でたった13基が散在。
日本全国の灯台制覇を夢想すると、総数は約3300基の夢の旅路に !
世界最古の灯台というファロス灯台を見ようと思うならば、
過去のアレキサンドリア港まで、なんとかしてタイムワープしなければならない !
まぁ、紀元前279年から1477年までと見物可能年月に余裕が在るのが救い、か。
でも、伝承によると135mもの高さを誇ったらしいので登るのは大変っ !
 
幸か不幸か、今回のメンバー中にスイッチを入れられてしまった者は居なかった模様。

だが、世の中には・・・
“鉄道全駅乗降 ! ”“全国三角点行脚 ! ”“全国郵便局貯金 ! ”ナドナドドナドナ !
他者から見れば苦行としか思えない様な険しき道に挑むツワモノも居られると聞く。

人生至る所にスイッチあり。油断ならん。

20040115/001133
『彼女南国にキスをする』
いつの旅でも振り返ってしまえば良き旅だが、それでも、
2004年正月の沖縄旅行は自分にとって良い呼吸に満ちた旅だったと思う。

1年の計が元旦に象徴されるのならば、密度獲得の1日。
例年なら、大晦日は夜更かしで日付変更後の夜中から近所の神社に初詣。
されど近年はマンション建設ラッシュ等で参拝者が増加し、日付変更直後は混雑。
午前1時ぐらいに詣でるのが通なのだが、5時起き計画に合わせて1時就寝。
いわゆる“遠足前能力”の発揮により5時ヂャスト起床成功。
出発成功。夜明け前を呼吸する。初詣完遂。おみくじ中吉。
駅までの歩きなれた道。旅先に合わせた薄着に空気が染みて来る。
脳内計算的中。列車到着3分前に駅到着。幸先よし。関空に午前7時前着。良し。

余裕をもって関西国際空港に到着したのには、目論みが在った。
手続きを済ませて搭乗ロビーに到着した瞬間、滑走路の彼方から昇り来る初日の出 !
夜明け色に染まるロビーに足を踏み込む。計算していたとはいえ、幸運な的中。
職員の方々も「こんな見事なんは珍しいなぁ」と大阪弁で感嘆。
光が降り始める中、飛び立つ飛行機を目撃する。

目の前に在るもの、目の前に無いもの、それらを含めて1日はもう始まっている。

為すべき事が解っていて、それにプラスアルファしてゆく日常とは異なる日。
獲得する部品も時間も現地調達。知らない場所に行く時はいつもそうだ。

自己未到の県へ、自己最南へ。呼吸する事すら面白い。

記憶媒体の自己手違いで、画像が部分的にしか残っていない。
それなのに、それゆえに鮮明な記憶瞬間が在る。
それは、幸せな事だと思う。

20040116/001134
『ジェットコンパース ! 』
薄着だったが、空港のトイレは暖かくて汗をかく程だ。

8:35 離陸。薄雲が視界に広がっている。
白い。その白は広大に拡散しながら在るが故に近くでは見えない。
機体前方に、巨大な雲の壁が迫る。比較対象が無い故にその巨大が把握し辛い。

雲の壁に突入し、その視界白き数秒に雲の厚みの雄大を知る。
そして雲上へ。エンジン音が響いているのに情緒的には静寂に満ちた蒼空。
 
ゆっくりと巨大な円弧を描いて、機体が旋回してゆく。見えない製図コンパス。

高度32000フィート・・・約9500mまで上昇。
高知・宮崎・種子島・沖永良部島上空を経て沖縄へ。

字幕の無い映画の様だ。

20040117/001135
『俯瞰式記憶海岸』
明石海峡大橋が眼下に見える。
瀬戸内海と列島を認識しているにも関わらず、広き雲は大陸の様だ。

空域によって雲は大陸にも大河にも見え、その向こうで山々の陰影が視界遠くに染みる。

高知の海岸線が見える。あそこに立った日も在ったのだと追憶する。

四国南端上空付近で、光の色が変転する。その気配は緩やかでありながら不意だ。
太陽が充分に昇ったしるし。

既に9:30・・・1時間が早い。飽きない展望の中、九州の海岸線が見えて来る。

視界彼方の海岸線が、記憶地図と一致する。
かつて自分が立った場所を、探している自分を認識する。

20040118/001136
『それでも誰にも見せられない地図』
今回の飛行機は、B737-500。
通称スーパードルフィン。スペルデルフィンさんが乗れば大喜びだろう。
全長31.0m 全幅28.9m 全高11.1m 巡航速度810km/h
航続距離2780km 標準座席数126〜133席

9:30 九州東岸の真っすぐな海岸線。日向灘か?
あの辺りを青春18きっぷで延々と電車に乗ったのは既に15年以上も前。
青島海岸の“鬼の洗濯岩”が、想像よりも広大だったのが嬉しかった記憶。

9:38 日南海岸らしき海岸線を発見。大隅半島が堂々と在る。

かつての旅では、鹿児島駅前で桜島の噴煙に遭遇。正午の町が夕闇の色に。
砂嵐の中を歩く様な感覚を体感しつつ、バスに乗り込んだ記憶。

指宿では、暑い陽光の中を2人で延々と砂風呂を探して歩いた。
『砂むし会館』で砂風呂初体験。
大勢の女性が素肌に浴衣だけの姿で蒸せる砂だらけになっているのが異様なエロス。

日が暮れても宿が見つからず、延々と知らない道を歩いたのも当時の定番パターン。
同行していた当時の彼女も、ヘロヘロなのに歩かないと仕方が無い達観。
それでも、晴天の夜に満天の星。

「・・・スピカは何処?」
「こんな多かったら解らへんわ」

今なら、見つけられない事も無いのだけれど。

道具としての地図には、簡便に触れる事の出来る国。
地図を知っているだけでは、さほど自慢にもならない時代。
動かない他者や、
動かない自分が“自己満足”だと評する様な“個”の地図。

それでも、地図は在る。

20031219/001137
『上と下に船は行く』
9:48 種子島を視認。宇宙センターを見学に行ける日はいつの事か?
明らかに地質が異なる茶色が見える。沖縄本島にも連なる赤土の地脈か?

屋久島の稜線も見える。高空からでも、その大胆な地形が解る。
最高峰あたりに白いものが見える。
冷静に考えれば雲なのだけれど、ほんの瞬間だけは雪に見えて興奮する。
あそこにも、行こう。“行きたい”ではなく、“行こう”と思考しよう。

航空機内とは乾燥するものだと、今回も体感。
どんな乗り物でも、限定空間内に大勢いれば風邪感染可能性大だが。
気圧と乾燥で、感染予感がヒシヒシと。神経質な人なら大変だろう。
不安だけで過ごしていても生産性が無いので、ペットボトル2本空け。
機内のジュースサービスだけでは足りない身。
おかわりのタイミング逃し易いし。

安定飛行している飛行機の振動は、船にも似ている。のほほんと出来る。

奄美諸島からは少し航路が離れているのか、しばらく視界に海が続く。

海が、空の色だ。

漁船が、まるで空に浮いている様だ。

20040120/001107
『天網恢々レッドタイツ』
10:18 那覇が近いとアナウンスが在る。
今回の飛行機行程は、那覇で乗り換えて石垣島へ。

運ばれてはいる身だが、一瞬ごとが新境地。初めての沖縄県。
窓側席で良かった。視界全部に、飽きる事が無い。

鳥の視点を空想するしかなかった頃から時は遠く流れ、
ライト兄弟による動力飛行からもはや100年。
2003年の大接近時でさえ5576万km彼方の、火星から映像を送れる時代。

沖縄本島上空。海の色が、確実に異なる。名護市上空?
機内広報誌に印刷された、48万分の1地図が頼り。

その砂の白さに、海色が浮き彫りにされている。
リーフに囲まれた、ロクショウの如き水のその色。

空から見るもの。空から見る者。
海岸線が鋭敏な刃紋に見える高度。波頭が波頭である白さ。
ヒトは、美しい視点を獲得した。

観測対象の遠近のみで、善悪を語るのは無為だ。
観測者たる自分が、基点として在るかこそが問題だ。

那覇空港での乗り継ぎは、数字の上では即搭乗。
急いで売店で飲料を確保して、機内イン。結構ゴツい空港だ。
実際の所は、ゆっくりと搭乗して来られた方々が多かったため15分遅発。

再び、延々と海景色が続く。那覇・石垣間は約50分。
ぬくい。ねむい。ほんわかしてくる。
隣のお嬢さんは網タイツ。しかも赤。
しかし網の格子が大きいので、ぬくいんだか寒いんだか想像もつかぬ。

結局、想像もつかぬまま居眠り。
今こそ ! 観測者たる自分がシッカリせねばならぬ時だと思ってはみたのだが。

20040121/001108
『イシガキサンバシーン』
石垣島上空で、僅かに着陸待ち。
12:15 石垣空港着。
飛行機から空港ターミナルまではバス移動。
空港を出た途端ソテツが視界に入り、簡易南国気分。
されど雲は多く。蒼天は見えず。

12:40 空港前から200円均一バスで向かうは、人呼んで“離島桟橋”!
石垣島は、西表島などの八重山諸島へ旅する為の基点となっている。
離島各島間を結ぶ定期旅客航路は無く、
いったん石垣島を経由して他島に移動となる。

13:00 離島桟橋到着。いよいよ、西表島に渡る。
1時間そこらで石垣島を出るのは惜しい気も在るのだが、今回の焦点は向こう岸に在る。

石垣島から西表島への連絡船には、3つの航路が在る。
西表島北東部の船浦・上浦港、そして南西部の大原港への航路だ。

しかし、今回は時化の為に船浦・上浦航路は欠航。
今夜の宿を決めている船浦とは島の反対側になる、大原行き航路のみ運行中。

まずは宿で自転車を借りてから移動しようかと夢想していたのだが、
これでは、宿へ向かう旅路が突然付加という訳だ。

面白い。予測がつかない。これは面白い。

20040122/001109
『イリオモテガオリ』
石垣島離島桟橋を1:30発で、西表島大原港に14:05着。
結構な高速度で、時刻表通りに到着する手腕に賞賛。
この海域の連絡船は揺れが激しいと聞いていたが、さほどでもないと油断三昧。
後日、波照間島行きの船では5倍以上のエラい揺れに遭遇する事になったのだが。

相変わらずの曇り空。ぼんやり太陽。
沖縄方面の正月期は、実は雨期でもあるのだそうだ。本土の梅雨ほどでは無いそうだが。
雨天ではなくとも、連日快晴は珍しいとの事。実際、その通りだった。
まぁ、泳ぎに来た訳では無し。徘徊できたらそれで良し。

それでも船が島へ近づくにつれ、長く白い砂浜と深い緑の森がつくるコントラストの妙。
曇り空でも、海水のエメラルドグリーンは鮮やかだ。

奇麗な待合所の在る桟橋に、上陸。
乗り換えが待っていた石垣島よりも、旅の始まりが染みて来る。

手元の100円温度計は26度。蒸し暑さは、無い。

少し歩いただけで、海水と淡水の入り交じった香りが伝わって来る。
ぁあ、これだ。幼い頃に田舎で、ただ当たり前に呼吸していたものと同じ香り。
郷愁の日と、現実の今、その両方を出に入れているのだという高揚。

五感の中で、嗅覚というものは真っ先に順応して慣れてしまう感覚だ。
だが、記憶は残る。

自作小説で亜熱帯の群島部を舞台にしようと思いながら、なかなか辿り着けなかった。
その場を訪れたからといって、表現できるかどうかは全くの別問題なのだけれど。

それでも、肌ではなく鼻腔の奥が微細にくすぐったくなる香りの感触が今、在る。
その中をゆく、ただ当たり前の1歩さえ、面白い。
幸先、よし。

20040123/001110
『ジャングルから始めよう』
西表島上陸から、未だ時は僅か。
出発して未だ半日。ゆるりとしたオキナワンタイムは、未だ染みず。
隙あらば、ひとつでも多く予定を組み込んでやろうという餓えた大阪人。

大原港では、“水中観光船・うみえ〜る”も就航中。
水面下の船室から、パナリ島の珊瑚を展望できるという。
結構惹かれたのだか、“仲間川遊覧船”に乗船する事に。
就航時間の都合で両方は無理。
ならば、機会の在るうちにマングローブの森を見よう。

大原港から仲間川遊覧船乗り場までは、送迎車が出てくれている。
地図では徒歩でも苦になる距離ではなかったが、土地勘の無い身。
ありがたく乗せていただく。

辿り着いてみると、広き河口。切ない程に水が香る。

本来の定時は3:10だったが、2:40にバスツアー団体が来るとの事。
席に余裕が在れば乗せてもらえるとの事なので期待・・・乗船成功。
老・若・男・女・人妻満載なれど、
鉄道ではないしICOCA改札も無いので仲間由紀恵はついてきません。

蛇行した川が、ジャングル気分を盛り上げる。
冷めた目だからこそ見える風景も在るが、冷めた目では楽しめない風景は多い。
曇り空さえも、良い演出に思えてくる。

20040124/001111
『マングロの密林』
“仲間川遊覧船”は、往復1時間程度の行程。
上流の川岸に敷設された桟橋に到着後、短時間の散歩を経て帰路へ。
実に楽珍な行程なので高齢者でも安心だ。

船が進みゆくと、堂々とした森の厚みに南方気分値上昇。
結構上流まで、海水と淡水の入り交じった汽水域となるそうだ。
根を水面上に出したマングローブの森は、その証し。

【余談】中国人留学生と話した時、向こう語で“汽水”が炭酸水を指すのを知った。

最近まで知らなかったのだが、
マングローブとは、単一の植物種を指す固有名詞ではなく、
汽水域で潮の干満のある所に生育する木の総称との事。
代表的なものは、オヒルギ・メヒルギ・ヤエヤマヒルギなどなど。
実際によく見てみると、近い区域に異なる種類のマングローブが認められる。
なるほど。“高山植物”と同様、かなり大雑把な総称だったのだなぁ。

でも、デジカメデータ破損の為、マングローブ画像はありません。陳謝。

20040125/001112
『バンコンベーシックマガジン』
散歩の内容は、桟橋から歩いてすぐの“サキシマスオウの木”見学。
板根が見事な天然記念物。樹齢は400年以上との事。
この木が持つ板根の高さは最高4mほども在り、
広がりは10mは優に越える周辺支配率だ。
流石は天然記念物。侮りがたし !

板根とは、熱帯雨林によく見られる根の形状で、
地上に出た根が板状に成長した状態の事。

実際に見てみると、
湿って柔らかい地質の上で巨体を支える為の構造なのが伝わって来る。

板状部分上縁の厚みは3cmから5cm。自然物らしい曲面が美しい。

【余談】
バンコンと読む熟語には盤根というものも在る。
実は長い間、これは板根の古語表記だと勝手に誤解していた。
本当は、わだかまった根の状態を言うのだそうだ。
わだかまった根と入り組んだ節々を指して、盤根錯節という熟語も知る。

天空の城ラビュタの根っこ集積部なアレが、
地上に出た様な盤根を持つ大樹も世の中には在るそうなので侮れない。

20040126/001113
『君が気に入ったならあの船に乗り』
往路復路ともに、カヌーツアーの方々とすれ違う。

遊覧船が引き返してくるまでの間に進んだ、カヌーの距離。
そのゆるやかさを目の当たりにする。

仲間川の場合、1日ツアーと半日ツアーが在るそうだが、
いずれの場合も午前9時出発が基本の様だ。
それ故に、今日の行程では参加できた筈も無かったが。

カヌーは意外な程に距離を稼いではおらず、ただ進んでいる。

それでも・・・
そこに在るものは紛れも無く自力での人力移動行為。

楽しませていただいた遊覧船を否定する気はないが、
今日の自分が乗るべき船は“向こう側”だったのだと気づく。

20040127/001114
『車の名は山猫』
3:40 仲間川遊覧ツアーから帰還。
再上陸と言っても、再び島の上なのが面白い現状だ。
船着き場の横手に在る、小さな砂浜に触れる。
きめ細かい砂。周囲の緑が映っていた水の、近づいた時の透明。

バスツアーの客は既に発車している。
誰も居ない道を、深呼吸しながら歩く。
この時は未だ、
誰も居ない道を行く事が今度の旅でも又多い事を夢想もせず。

バスの時刻表。単純故に機能的な表示が、次は60分後と告げている。
どうするか?どうできるか?

日暮れには未だ間が在る。今宵の泊まりは島の反対側。昼飯は未だ。
この島での目標を、もうひとつクリアしておきたいところ。
“日本最南端温泉”である西表温泉への、到達。

地図を見れば、今夜泊まる船浦と現在地である大原の中間地点程度。
車か、せめて自転車が在れば楽勝な気もしたが。今の自分には二本足のみ。

遊覧船事務所と同じ場所に在るタクシー会社で尋ねてみる。
「3千円は軽く越えますので、バスを待ってもらうのもいいと思いますよ」
そんなふうに沖縄美人に告げられると、素直になるより他に無し。
バスなら430円。
営業よりも客のニーズを気遣ってくれるとは、『やまねこタクシー』流石だ。

旅先では、人間が土地の印象を左右する事が多い。
自分が旅人である事の認識は当然の前提だが、
こちらが常識的な対応をしていても無作法な対応をされる事は多々在る。
しかし、予想以上の良き気遣いをされたとき、旅の記憶は更に深度を増す。

人影のない住宅街を抜け、大原港で食事。西表ソバ(大)500円。
食べてみて初めて、自分が空腹であった事を知る認識が最近多い。

腹が膨れると、さらにゆるりとした気分。
バス停に戻り再び時刻表を調べれば、これより後にバスは無し。
定期バスは朝昼夕の1日3本。
温泉に突入できても、日没後に徒歩移動できる土地で無し。

まずは、約50分670円をかけて船浦へ向かう。
この日この時間、乗客は旅人が4人。

20040128/001115
『自分という名の島まわり』
西表島は、沖縄県において沖縄本島に次いで2番目に大きな島。
総面積289.27平方km。島周囲計129.99km。

バスに揺られて、島を半周。
西表島には、島を一周できる全周道路は無い。
これは珍しい事ではなく、多くの島でもそうだ。
林道や農道が使われている場合も在るが、大半の島々では、
断崖などの地形により人が立ち入る事のできない海岸線が多い。

西表島の場合は、人跡未踏の原生林により人の歩みが制限されている。
車道は、島の東部から西部への約半周しか無い。
島の南部にも集落も在るが、船でしか行けない。

人を阻む原生林は、幾人もの遭難者をつくり続けている。
警察と営林所への届け出が厳格に義務づけられ、熟練者が挑んでも、だ。
案内人が同行しても西表島縦断は約9〜12時間は必須との事。
天候の激変・毒蛇・毒虫・断崖・急流・底なし沼・密林・・・・・
まさに、秘境。

こればかりは、その地に立って体感するのが一番面白い。
もっとも、普通に体験できるのは入り口だけだが。
それでも、文字情報や映像だけで知った気になっていた自分自身を知る瞬間、
それが、その瞬間の体験が面白い。

正直、今までの旅経験から自分勝手な予測で距離感をナメていた。
島ゆえに、道の高低差は結構激しい。
途中に、集落らしきものは全く無い。家の影すら無い。

どうするか? どうするべきか?
自転車を借りて引き返し、日本最南端温泉に入りたくは、ある。

暗闇の中を走るリスクは、知っているつもり。
自己と他者の安全を留意する、責任も。

20040129/001116
『坂の上から君が歌うだろう』
考えてみる。そして考えているうちにバスは到着する。
西表島船浦港は、定期船欠航の事もあって人影は無し。
バスを降りると、登り坂が待っている。勾配はマズマズ。

5:30 まだ薄明るい。流石は南の地。黄昏は緩やかだ。
僅かな不安。ここで方角を間違えば、夜の中を迷う事になる。
しかしそれもまた旅先の面白さだ。迷っても、自分。

登り坂は、考える為にとても良い地形だ。
歩いているだけでも脳血流は良くなるが、いい坂は更に思考加速できる。

人間が1日に考える事の出来る思考量は限られている。
上限が無いと思っている人は、よっぽど幼いか何も考えていない人だろう。

訓練すれば思考量の限界上限を上げる事は出来る。
しかしそれも無限では無い。
そもそも、誰もが1日の中で限界思考量まで思考している訳でも無い。

だからこそ、
限界の在る思考量を如何なる内訳で活用するかが人生の醍醐味。

SEXの事ばかり考えていても、1日。
萌えキャラの事ばかり考えていても、1日。
ガンダムの事ばかり考えていても、1日。
エロマンガの事はがり考えていても、1日。
プラモの事ばかり考えていても、1日。
誰かや何かに対するケチばかり考えていても、1日。
1分ごとにメールチェックばかり考えていても、1日。
ネットを覗きつづける事ばかり考えていても、1日。
何も考えていなくても、1日。

日常の物理法則内で、時間は無慈悲で厳格だ。それ故に公正だ。

ただ、同様に与えられた時間の内で、如何に思考を活かせるか?

思考を活用するという事は、思考を発展させるという事だ。
思考の発展は、現実の行動として結実する。

具体的な行動に至らぬ思考ばかりでは、実質的には考えていないと言える。
考えもせず、行動もせずでは、何も獲得できない。
怠惰による目先の自堕落が、
如何に自分と自分を支えている人々の人生を侮辱しているかすら気づけない。

旅の中での1歩は、日常と遊離しているが故に眼前の1歩であり、
そして同時に日常をも包括した自分自身の1歩だ。

それが、不意に解ってしまう瞬間が来る。
だから、旅の坂道は面白い。

20031230/001117
『腐らなぬみかん』
西表島船浦港から坂道を登り、『ミトレア果樹園キャンプ場』に向かう。
土地勘が無いせいで、道に迷う不安を楽しみながら歩いたのだが、
まっすぐに坂道を登り、中学校の前を通り過ぎて突き当たりの三叉路を左。
どんどん歩くと同じオーナーが経営する『民宿マリウド』が見えてくる。
そのまま果樹園を眺めながら道をゆくとキャンプ場入り口。

船浦港から船浦大橋側に少し引き返した所にも坂道が在る。
しかしこちらは急勾配な上、両側が見通しの効かない草むらという渋い景観。
今回の旅では、この坂で自転車ダウンヒルを楽しませていただいた。

このキャンプ場、関西出身のオーナーが「今に見とれや ! 」と開拓し、
それで名前が『ミトレヤキャンプ場』という噂も在る・・・のだが。
表示は“ミトレヤ”と“ミトレア”が混在。
真実は如何に!? と追求するより、大らかな感じがして良し。

キャンプ場に入ると、想像していたよりこぢんまりとした印象。
しかし場内案内図を見ると、奥にまだまだ広がっている様子。
しかも現在も開拓中。気合い充分。継続は力。

米CATVによる買収提案で揺れるディズニーはともかく、
ディズニーランドの有名なキャッチフレーズ・・・
“永遠に未完成”は、言霊として強い。

けれど、そんな事を自慢に出来るのは相応の実績が在っての事。
自称クリエイターが素人丸出しで言えば、恥を無自覚に晒すだけだ。
出来ていないという事をギャグにしようとしても、得られるのは冷笑。
そんな物事は、溢れすぎてしまったのが現代。
自分で自分を嗤ったつもりで瑣末な安心感を得ても、成長は無い。
危機感も感じられなくなったまま日々を無駄にして、
自分自身が招いた破綻に失望する。そしてそれさえも誰かのせいにする。

そういった内方迷走から脱出する為の、創作行為でありたい。
空論ではなく具体的なカタチを出してゆく事。
具体的創作行動による恥をかく覚悟は、出来ている。

今回の沖縄旅は、その覚悟に加え、
もう1段階の坂を登る自覚を得る事も目的。

手作りで在り発展中でも在るキャンプ場に宿泊できたのは、プラス。

まったく、三十路は色々面倒だ。理由だけではなく結果が要る。

20040131/001118
『ぼくらはみなみですれちがう』
18:00『ミトレア果樹園キャンプ場』で宿泊手続きを済ませる。

キャンプ場利用料は600円。今回は荷物軽減の為に固定テントを借りた。
固定テントは、テントと言うより堅牢な小屋というのが実際の印象。
鉄骨&鉄板も使用した背の低いプレハブ小屋だ。出入り口はアルミサッシ。
この使用料はプラス1000円。つまり、今回の宿は素泊まり1泊1600円だ。
床敷として大きめのアルミマットも付けてくれるのが嬉しい。
念のため、毛布も借りておく。1枚100円。
内部床面積は四畳半ぐらいか。必要充分。2人でも大丈夫だろう。
屋根の傾斜で端の方は低いが、中央部は190cmぐらいの空間が在る。

固定テント内部には電灯が設置されている。100V電源が来ているのだ。
空きコンセントの使用は許可されており、このメリットは大きい。
携帯電話依存症の人にはホクホクかも知れぬ。
離島なので、ちょいと奥に入れば圏外だが。
今回は、デジカメの充電をさせていただいた。多謝。

ほぼ同時刻に到着した旅人青年に、挨拶。
仙台から来られたそうだ。
東北地方太平洋岸は比較的降雪量が少ないとは聞いていたが、
以前に青森で胸まで雪に埋もれた経験も在り。
で、年末の仙台での雪景色を尋ねてみる、と・・・
「・・・たいへん」との事。やはり情報は生が面白い。

キャンプ場宿泊者はレンタサイクルが半日300円・1日500円と格安。
駐輪場には、かなりガタがきた車体まで並べられているので一瞬緊張するが、
使用可能なものは油がさしてあったりしてひと安心。

早速、薄闇が迫り来るキャンプ場で自転車の用意。
車体選択は自由。18段変速のMTBを発見、決定。
タイヤの空気圧に不安を感じたので、充填。
それ以外は流石に堅牢な作り。やはり機械は質実剛健がなにより。

ライトは装備されていない。
しかし事前に電話で知ってはいたので、ヘッドライト持参。

18:30 出発。

曇り空。民家も店も人影も自販機も無い道を行こう。

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