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『大作戦日誌』20031201-20031231

20031201/001088
『青い紀伊水道』
それは、9月のとある週末。
世間話の最中で二十代知人な人妻は、ふと思い出した様に問う。
「で、この週末は、どっか行くんですか?」
 
『や、実は、男2人でふらりとキャンプなんぞ、を』
「ぁ、じゃあ、バーベキューとかするんですか?」
『ぃやぁ・・・三十越えた野郎が2人っきりでバーベキューってのは、
 ビジュアル的にどうか、と・・・』
「げはっ !   ・・・げほげほっ」(・・・なんか、想像してしもたらしい)
 
【50秒待ち】

「ひーっ、すいません。あんな事やこんな事がグルグルでパーンっと !  
  ・・・げほ、で、で、何処まで行かれるんですか?」

『実は、無人島です。
 おそらく、今宵その島は我々2人っきり・・・』

「げはぁっ !  」

『ぁー。なにはともあれ、
 美人妻の範疇な方が“げはぁっ !”はどうか、と?』

「そ・・・そんなん言うたかて・・・げはっ !   ・・・げほげほぅっ」

20031202/001089
『蹴って走れ、あの島へ』
今日という本当の日は、ミゾレがちょいと降った。
しかれども、記す事は9月の無人島だ。

土曜午前中の仕事をこなして、セックスドクターカーで南へ走れ。
その日のセックスドクター氏は、本人も“性の悩み”を抱えていた。
そんな気分転換に比べ、多透自身は喜楽なバカンス。今回は2人の道行き。

紀伊水道とはいえ、9月になると波風も強い。 渡船でGO !
操舵室の背後に隠れていなければ、波をかぶりまくり。豪快痛快。
速い速い。型は古いが時化には強いオレとオマエの兄弟船やで。
 
辿り着いた無人島。夏場は渡船で海水浴場となるが、もはや真の無人。
一番ゴージャスな設備は公衆トイレ。意外と奇麗だ。
島内に、ひっそりと在る神社よりも奇麗。
 
数値上は短時間で楽に1周可能な面積だが、
上陸した浜以外は道無き断崖が続く島。中央部は立ち入り禁止だ。

いずれにせよ、上陸時は既に16時。
飯ごう炊爨はセックスドクターに任せて、多透は焚火の準備でGO !

20031203/001090
『孤島のプロメテウス』
“焚火は科学だ ! ”
言われてみればどうしようもなく当たり前の事だが、
その実感を得るための実践には多少の困難が伴う。

まず、場所選択が困難。国内キャンプ場のほとんどは当然直火禁止だ。
実戦も経験も反省も、体験は獲得しずらくなっている。
 
しかし・・・『あやしい探検隊焚火発見伝』や、
『焚火パーティへようこそ -「火」にとりつかれた16人の男たち』の2冊。
まずはこの2冊を読むだけでも、焚火願望が沸々と種火と化す。
 
それでも、火というエレメントを無分別に扱うべきではないのも当然至極。
場所・節度・安全・危機対応準備、そして時間を楽しむ心等々、
必要な心構えは山ほど在る。

20031204/001091
『タキビタス社会』
島には流木も無数に在り、燃焼物には困らない。
草木が群生する区域との間には堤防が在るため、延焼の危険も少ない。
しかし、当日は風が強く、火の粉には充分な留意が必要な気象条件。

世の中には、草木のみならずテントに火の粉が飛んだ為の火災も在る。
キャンプ場での後始末が適切でない為、
知らずに焚火跡にテントを張った次の利用者が余熱で機材を溶かした例も在る。
 
要は、想像力だ。可能性と、導かれるであろう結果群。
難しい事ではない。侮ってはならないが、物怖じしてはならない。
可能性を波乗りしてゆく事は、社会人なら誰もが日常。
 
渡船の船長が貸してくださった、大量水入りポリタンクが心強い。

20031205/001092
『しましま様火』
この日、この島に火を使える生物は我らのみ。
この火、この島で制御できる生物は我らのみ。
 
少々の思案を経て、
砂浜を掘り返し周囲に石組みを作り簡易なカマド風味としてみた。
いきなりに木材を置くのではなく、地面にも石を組んで通風を良くする。

これは想像以上に大成功。豊富な酸素供給で実に快調焚火完成。
ゴツい流木が、炭どころか灰になってゆく。
 
ヒトは、火を使える生物となった。
我々は、火を使える年齢になった。
我々は、火を使える大人で居たい。

20031206/001093
『カレイドダスト』
今回のキャンプは2人なので、レトルトカレーが食材中心だったのが惜しい。
こんなナイス焚火なら、痛快な焚火料理ができたものを。来年の課題。
 
とりあえず・・・炎に原始の領域を揺り動かされつつ、
人生や下ネタを語るカタル数時間。

キャンプ地での夜は長い。いわゆる相対性理論だ。
 
紀伊水道には、地形や海流の関係で多くのゴミが漂着しやすい。
だが、だからといって自分達のゴミを忘れて良い訳でも無い。

消火は確実に。そして発つ旅人は跡を汚さず。
すべての石組みを解き、そして砂は砂に。

20031207/001094
『妖怪テントまわり』
 
強風の、夜が在った。
懐中電灯の光量で、落書きやら楽描きをして夜を過ごしていた。
深夜、風が圧迫したテントが脳天に何度もパタパタした。
海辺での野営は久しぶりだったので、こんな風さえも嬉しかった。
 
午前零時を過ぎて暫くすると、不意に風が止んだ。
そうすると、何やらテントの周囲を歩き回る足音が聞こえた。
何度も何度も、ぐるぐるぐるぐると足音は回り続けた。
 
まぁ、大気というものは、そういう振る舞いもするのだろう。
不可知で在るという事は、不可知で在るという自体こそが正解だ。

イキナリに心霊現象を思考解に持ち出したりして眠れなくなる様な、
そういう自分から随分と離れている事に気づいた。

テントから抜け出して深夜の波打ち際を、自分でザクザクと歩いた。
それから、月光と火星を探して寝た。

20031208/001095
『日の出製造コンビナート』
島からは、コンビナートの夜間照明が常に見えていた。
『惑星ソラリス』で、未来都市の映像に使われた頃の東京夜景、
そんなものに見えなくもなかった。

北海道の地震で、石油タンク火災が在ったばかりの頃。
そんな頃のキャンプだったので、
同様の事態がこの地に生じれば ? という思考遊戯が夜に幾度か。
 
無人島に、朝が来る。
朝というものは、ヒトの恣意になんぞ関わらず勝手に来るものだ。
だが、全方位に非日常を楽しめる野営だからこそ観ていたいものだ。 
 
テントを離れて、磯に立つ。
この島では、水平線からの日の出は見られない。
断崖にもたれる。その大きな岩盤の冷気。
彼方にある山の稜線。そこにも同じ様な岩が在るのだろう。
 
日の入りと、日の出。
何処の地で見ても、日常で見ても、何時も同じ色は無い。

光だから、当たり前なのだが。

20031209/001096
『時間を釣りに無人島に行こう』
 
夜明け前から、釣り船の陰が数多く揺れている。
夜明けには、既に海上で釣り始めているというのが凄い。
流石は紀伊水道。釣りの定番地。

今年は黒潮が大幅に蛇行して、魚分布も変化していたそうだが。
1人頭5000円から1万円の釣り船料金を出す甲斐は在るのだろう。
魚群探知機のおかげで、
確実につれるであろう場に連れて行ってくれるそうだし。
 
夜が明けると、潮風が再び強くなる。
畳もうとするテントが大凧の如く風をはらみ、体を牽引する。
なるほど、空も飛べるはず。

釣り客の家族なのだろうか?
3歳ぐらいの幼児を連れて女性達が渡船で来島。
眩しい陽光の中、流木で砂浜に大きな絵を描く。
遠くから、その動きの中にある光の揺れを眺めてもみる。

“無人島でキャンプしてカレー食って焚火してダラダラする”
その目標を完璧なまでに実践した時間区分が終わる。
 
シメは『有田観光ホテル』でジャングル風呂。極楽極楽。
来年も、無人島は旅の中に組み込もう。

20031210/001097
『旅行の世界ペルシダー』
今年の画像を発掘していたら、地底旅行に行ったときのものが出現。
そう、今年は地底旅行にも行っていたのだった。
 
大阪の光と影を様々なカタチで内包する町、弁天町。
小雨降りしきる中、我々の眼前に現れたものは地底旅行だった。

井倉洞や満奇洞そして秋芳洞などの地下空間とは異なり、
地上で地底旅行が可能な町、それが弁天町だ。ハイテク都市、OSAKA !
 
しかも居酒屋としても機能しており、居ながらにして飲食が楽しめる。
 
ロケーションも最高。琴線に触れる類の人間にはタマラない時空間だ。

我が永遠の冒険小説『地底世界ペルシダー』で、
アブナー叔父が居たのもこんな空間かも知れない。
アブナー・ペリーはアブなそうな名だが、
実は本気で地底探検車“鉄モグラ”を開発した凄い人だ。

20031211/001098
『デーヤモンドは主に土の中で見つかると聞く』
バブルな頃なら、お洒落さんな話題になったのかもしれない。
しかし、何故に地上に地底旅行が出現したのかの理由が・・・
泡崩壊の果てであるが故に。
 
残像を見、時間を見、食らい、飲む。
なんと真っ当で、歪んでもいて、当たり前の事か。

どうせすべての店舗や物事が、
相反するものを含有していなかった事などないのだ。
 
マンションになるかも知れないし、ただ空き地が広がっているかも知れない。
幾ばくかの時間が流れれば、きっとこの光景も流れてゆく。
 
緩やかな時間と土の中にうずくまる化石とて、微細には止まる事が無い。
地上に在る物事、すべて生々流動。

20031212/001099
『アイアンジャングル略してジャイアン』
近場発見の旅として、京都府の城陽市にも行ってみた。

山辺の道や飛鳥の光景から連なるものを思い出したり、
車窓から確認しつつ、大阪から意外と早い移動感覚で到着。

流石は京都南部。
体感する空間構成は、京都市内のそれではなく、むしろ奈良風味。
少し寂しいぐらいに広い空間が、あっけらかんと広がっている。
 
紅葉の盛りには、まだ早い頃。
それでも、1本だけで生えている木の色は鮮やかだ。
風当たりの強さが成長を早める例か。

やたらデカい運動公園で、午後を過ごす。

やたら長い滑り台を横目に見つつ、
芝生に座り『バカの壁』を読む。
絵に描いたような、呑気な午後。
 
ずっと以前・・・
晴れた公園で欠伸して背伸びをしたら、当時の彼女は、
「あたしらには、こんなん似合えへんわ」と呟いた。

『三十歳まで生きんでもええ気ぃするなぁ』と言えば、
「その通りやね」と即答された。

その心象風景から、随分と遠くに来た様だが、
獲得したものも此処に在る現実も、自分の責任と結果だ。
 
巨大遊具が、その公園には在って。
鉄枠とロープの網で構成されたジャングルジム。

当然の如く登ってみる。ぐるりんと空中管の中を回転進行。

他人に依存してぶら下がる時には自己認識が稀薄になるクセに、
自分の腕力でぶら下がる時にはリアルな重み。

20031213/001100
『来島ヤボーガー』
今年は自転車による積極的徘徊を重ねた為か、大胸筋強化に成功。
されど、なかなかに腹回りシェイプは時間が必要な事も痛感。
結果、「フヘヘヘヘ・・・太りましたかしらん?」と言われる事多数。
一般的肥満判別視点では体脂肪率など思考する事無く、
第一印象の輪郭線で判断されるのだと痛感。

知人に拒食症から脱出できた人も居る身。
誰かを見る時は多角的に思考しよう。
 
そうはいってもマダマダ体型引き締めは必要な身。
ここはひとつ、自分の好きな“渡島”と“自転車”を合体させてみた。
 
和歌山県は加太の沖に在る友ヶ島。
渡船には自転車を持ち込めると聞いたので、ならば実行を、と。

毎度の通り、土曜午前中の仕事を越えて出動。
2時間程移動すれば、いつの間にやら渡船の上。

実際は、南海線加太駅から港まで少々迷った、が。
観光案内では楽々短時間到達な感じだが、実際は時間余裕必須。
路地を抜けてゆくルートも在るのだが、
迷う事を恐れずに突き進んで、まず海べりに出るのが吉。
 
渡船最終便には、自分を入れて乗客3名。
夕刻の潮風。良い感じに船は揺れる。

20031214/001101
『城塞果つる島』
紀淡海峡に浮かぶ地ノ島・沖ノ島・虎島・神島を総称して友ヶ島と呼ぶ。
 
加太港から渡船で西方へ約20分。
運賃は大人往復2000円。自転車持ち込みは400円追加。
キャンプだからといって特に追加料金は不要。

渡船で上陸できる沖ノ島は全周約6.5km。
1等三角点が埋設されている最高峰のコウノ巣山は標高119.9m。

詳しくは加太観光協会をご参考に。http://www.kada.jp/
 
珍鳥の歓迎を受けようと思ったが、そそくさと走り去られて島内行動開始。
結構な歴史を持つ灯台へと走り出す。既に16時過ぎ。
日没まであとどれぐらいか、匂いを嗅いでみる。
 
辿り着いた廃墟には誰も居らず。忘れられたラピュタの様だ。
 
潮騒と風音だけが聞こえる中で、ゆぅらりと日が暮れてゆく。
 
友ヶ島は、第2次世界大戦集結時ま陸軍の軍用地だった。
一般人立ち入り禁止期間が長かった事もあって、
手つかずの自然と要塞跡廃墟が、ただ時をまとっている。

20031215/001102
『となりのトトウ』
友ヶ島で公式にキャンプ場となっている所は2カ所在る。
かつて観光地として賑わった頃にはバンガローも在ったのだが、
今は利用者が自己責任と自らのマナーで使用する芝生広場が在るだけだ。
トイレと水道は在るが、飲料水ではないので用意が必要。
港の売店でペットボトルを購入できるので便利だが。
 
今回、目指したのはへんぴな方のキャンプ場。幸助松という地名だ。
地形がよく把握できていなかった為、灯台からの帰路に近道に気づかず。
結局、港に引き返して日が暮れてゆく中を山越えしてから気づく始末。
 
どうにか闇夜の山越えにならず薄闇の中で辿り着いたキャンプ場。
そこで多透を待ち受けていたのは銃声だった。
 
6人以上は居ただろうか?モデルガンでサバイバルゲーム中。
ガスガンの音に聞き覚えは在ったので、特に驚かずに済んだが。

晴れてはいたものの、強風吹きすさぶ中、
彼らは寝袋だけで並んで眠っていたのが印象深い。

早朝、夜明けを漠然と待っていると、彼らも早朝開戦。
まぁ、サバゲーの楽しさも理解できる身。それもまた良し。
自分と彼らしか居ないキャンプ場で、思考を不快で満杯したくも無し。

ただ、夜も明けて、家族連れハイキングな人々が来訪しているのに、
銃をプラプラさせて走り回り興じるのはサバゲーマナーにも反するだろう。

勝敗を決する敵陣の旗が実にアッサリと奪取されるのが見えたので、
まぁ、素人な方々だったのだろう。

20031216/001103
『短波系アンテナ倶楽部』
サバゲーな若い衆から離れて、海岸近くに自己テントを設営。
よもや襲撃される事はあるまいと思いつつ、
守りやすく攻めにくい地点を選択。遮蔽物がありつつ見通しの良い高所。
結果的に、夜間の強風避けが出来て快適な夜。10月なれど寒気は無し。
 
今回、携帯用液晶TVを持参したのだが、電波状態がいまいち。
島の最高峰山頂には、国家が誇る機密施設が在るというのに。

テントの中では余計にTV映りも難儀なので読書に切り替え。
『数学をきずいた人々』『現代数学で遊ぶ本』の2冊。
飲み込みが悪いので、実は再読。
面白い事が目の前と世界に広がっている事実が匂っているのに、
その輪郭の部分しか指先に触れないという楽しくももどかしい焦燥。 
初めてのソロキャンプ。その夜が緩やかに過ぎてゆく。
ただ、決して静かではない。
関西国際空港からの発着便であろうか?煩雑に飛行機の音が響く。
鉄道の側で住んでいた事も在る身。
音で眠れない事なとないし、旅先で眠るのも勿体ない思考なので無問題。
零時を過ぎても聞こえていたので、繊細な人は熟慮の宿泊を。
 
音響空間はともかく、
より快適さを求めるのなら深蛇池キャンプ場の方が良いだろう。
より広く、より平坦な芝生が待っていてくれる。焚火場も在る。

ただ、どちらのキャンプ場にも芝生に焚火の跡が多数在った。
どう見てもUFO着陸跡ではなく、人為的な痕跡。
焼け焦げた芝生が容易く復活しないのは、素人目にも明確。
火は良識を映す。

20031217/001104
『ずっと在った煉瓦を知らないだけ』
友ヶ島に自転車を持ち込んだのは失敗率70パーセント気分。
 
レッツゴー軍用道路。当然ながら舗装路なんて無し。
標高は知れてるのに、とにかくアップダウンが多し。
しかも、見通しが効かないグネグネ連発。時々倒木。
 
マウンテンバイクなら楽しいかも知れないが、もっと楽しめる山が在る筈。
友ヶ島の昼間は結構ハイキングな人々が居るので気遣い必須。
此処は、歩くのに良い島。
 
15年程前、2組の男女で友ヶ島に泳ぎに来た事が在る。
生憎と台風直後で海は濁り放題で肌寒く、記憶は散々な感じだった。

その時は、それよりもずっと前から存在していた史跡群は無注視。
見えていたものと、見ていなかったもの。その時は気づけない。
 
砲台跡は全部で7箇所存在。弾薬庫・軍馬舎・将校官舎・厠なども。
だが、全てを巡視するのは1日必須。
ゆるやかに歩き、そして眼前に巡りくる風景を楽しむのに良い島。
 
15年前からどれだけ遠くまで来れたのかは、正直、解らない。
しかし、独りで動いてみて、やっと友ヶ島の魅力が解ってきた。
また来年も島に渡ろう。

20031218/001105
『友が島に見えるとき』
友ヶ島に渡る人々は大半が釣り人と言っていい。イシダイ狙いか?
桟橋前の公園にテントを張って夜釣りする人も幾人か。
磯釣りに挑む人も幾人か見かけたが、桟橋が定番の様だ。
桟橋付近の波打ち際に、幾つもの吸い殻が浮いているのはげんなり。
スモーク・オン・アングラー。
自分が煙草を捨てた海から釣り上げた魚を喰うというのは滑稽だ。
 
夜が明けた島を、走り回り。それでも、島の道の半分程か。
そうして辿り着いた兵舎跡で、不意に軍服姿の女が出現 !
 
自主制作映画集団も来島していたのだ。ネタは侍VS軍人?
大学生集団の様だったが、統制がとれているのが好感。
「自転車、通過されまーす ! 」と撮影班に伝令したり、道の譲り方など。
先輩から様々な世代を経て蓄積された良識も伝達されているのだろう。

“あの頃”の自分達は、家庭用ビデオカメラに少し届かなかった世代。
機材が在ったからといって、
今持っている以上のものを刻めた確証は無いけれど。
 
過ぎた自分に言い訳するだけの郷愁はヤメだ。
今年に練った熱を無駄にしないだけ以上の熱で、来年は動こう。

20031219/001106
『緑の光線』
 
我々は光を感知して世界の認識を得ているにも関わらず、
光が何であるのか全てを記述できない。
 
旅の中で、毒々しい程に美しい光を発見する事がある。
 
殆どの場合は不意打ちで、それ故に一瞬で過ぎ去ってゆく。
その毒々しさに、
“これが自分の最期の光ではないのか?”とさえ思う。
その光が一瞬であるからこそ、不安さえも刹那なのだが。

20031220/001107
『更迭テントくるみ』
暖冬で紅葉が遅い10月。行動隊『ドーゼオーバーズ』西へ。
 
兵庫県波賀町。
昨年の同時期、セックスドクター氏とキャンプに行き豪雨に遭った町。
その時に利用した『フォレストステーション波賀』は我々には贅沢と判断。
よりリーズナブルな感じな『くるみの里キャンプ場』に土曜午後直行。
流石に片道3時間。夕暮れ寸前セックスドクターカーで乗り付ける。
 
フリーサイトを選択したので、とにかく芝生広場。頭上のコテージ羨望。
利用客は我々の他にライダー2人組と女子4人組の計3グループ。
「看護婦の匂いがしますね」セックスドクターがつぶやく。
 
それぞれの距離を保ちつつ、テント設営。
セックスドクター氏と多透は各自テント。
ギョウジャニンニク氏とメランコリックネイバー氏は車中泊。鋼鉄テント。

小雨模様になってきたが、屋根付きのバーベキュー棟が貸し切り状態で感謝。
今回の唯一にして最大目的である鍋を満喫。ちゃんこダシ。翌朝雑炊も満喫。
食材大超過な雰囲気に将来が危ぶまれたが、何時の間にか平らげズミ。
12月になって忘年会で石狩鍋を居酒屋で食したが、満足度は自己鍋の勝ち。
 
鳥取方面に抜けられる近くの幹線道路から一晩中トラック音も満喫。
まぁ、音で眠られない身でもなし。深夜豪雨にも遭ったが安眠満喫。

キャンプ場では夜中の囁き声も結構響く事になるので早寝もマナー。
されど早寝できる身でもなし。テント内で楽書きしたり楽描きしたり。

本来はアマゴ釣りが狙い目の土地柄らしいので、生け簀まで夜の散歩したり。
トイレは清潔で明るい感じだったので、
皆様の迷惑にならぬ様、深夜にトイレの屋根で雨宿りしてみたり。

今回も携帯TV持ち出してみたが、山間部なので映りはやはり今イチ。
まぁ、テレビを観る為にキャンプに来た訳でもなし。
それでも、近くの電線影響かロッドアンテナ微妙方向で奇麗に映ったり。

帰路は温泉でダラダラと。
播磨の国最古の神社であり、大国主神がまつられている。伊和神社も渋い。
神社の森が見事。徒歩1分地点に道の駅が在るので駐車も楽々。

20031221/001108
『弁天さまの髪香り』
 
11月は、奈良県天川村の天川弁財天へも詣でる。
今回も行動隊『ドーゼオーバーズ』4人組。
新しいトンネル開設のおかげで、従来より半時間程時間短縮で到達。
 
午前10時台の神社は人影も少なく、静謐な空気で満ちている。

弁天様は芸事の神様。
来年は、今年に貯めて練ってきた物語群をより効率良く発表野望。

安易な依存で神頼みするのではなく、
矮小な自己満足や自惚れに陥らない認識の為に手を合わせる。

20031222/001109
『ススキ上の大気で踊るもの』
まだ昼食には間があったので行者還トンネルまでドライぶー。
かつては行者が引き返した程の難所。
今も行き違い困難な道幅で道路が曲がりくねる。厳冬期は閉鎖。
陽を浴びるススキを見られたのが嬉しい。
帰還後、この日このすぐ近くで熊の目撃があったらしい。クワバラ。
 
弥山の登山道入り口付近は、ちょいと道が広くなっているのだが、
そこには100台を超すかと思われる駐車群が在り驚愕。
後部窓から寝袋等が見えたので、
夜間到着・仮眠・夜明け登山な元気さん多数か?
関東ナンバーの車が幾つも見つかったりして、山岳趣味おそるべし。

途中、国内で有数の透明度を誇るダムの湖水も目撃。
木々の緑が映り込み、恐ろしい程の光輝。

もうすぐ、雪に包まれる地。
 
今回の宿泊地『村営洞川キャンプ場』には13時頃到着。
セックスドクター氏がホームセンターで最後の1台を激安確保した、
“バーベキューグリル阪神タイガース優勝記念限定モデル”の登場だ。

天気晴朗なれど流石は奈良の山奥。周囲ぐるりが高山。
瞬間で手がかじかむ寒風吹きすさぶ中、三十路超え男が4人で肉を焼く。
何時の間にか、魚の開きが焼かれていたりもしたが。

20031223/001110
『即席な森の人』
洞川温泉に浸かった後、御三方は翌日の用事の為、撤収。
そう、今回泊まるのは多透のみ。またまたソロキャンプだ。
天川村にキャンプ場は多い。
しかしオートキャンプ全盛の昨今、利用料金が上昇しているのも現実。
この村営キャンプ場は、持ち込み小型テントならば1000円と格安。
更に料金を追加すれば屋根付きテント台も在るが、雪でも雨でもなし。

幾組かの家族連れは居られたが、
キャンプ場の反対側にテントを張り、正に森の中で孤立したキャンプ気分満喫。
 
夜間の気温は摂氏1度。レンタル毛布が在ったので凍えはしない。
夜食は今回もレトルトカレー。
軽量運搬できて簡単調理が素敵だが、今後は調理の芸域も広げたい所存。

杉木立に囲まれて夕日も朝日も見づらいが、そのぶん森の中での夜と朝を楽しむ。
流石に携帯TVは映らない。夜露で濡れたテントの中では更に映らない。
書いて描いて夜が過ぎる。

深夜ともなると、遠くの車がゆく走行音も無くなる。
木々のザワメキだけが奇妙な無音感覚を呼ぶ。沈黙の中で異様に光るオリオン。

 
夜明けと共に歩き出す。寺の裏庭から山道を登ると誰も居ない吊り橋。

20031224/001111
『三獣合体洞門』
洞川付近の標高は約820m。宿泊標高最高記録。
 
小雨が降る中、誰も居ない道路を歩く。傘をさす程ではない。道は良い。
早朝のうちに『面不動鍾乳洞』に辿り着けた。貸し切り状態で沈黙を呼吸。
奈良県には岩石が折り重なった洞窟も多いが、ここは鍾乳洞だ。

鍾乳洞入り口の茶店が受付にもなっており、店番老夫婦の応対が激烈に良い。
温泉街からだと10分程だが急勾配を登る事になるが、その甲斐は在る。
 
鍾乳洞の発見車が独力で人生を賭けて整備したというのが凄い。

にもかかわらず、近年に鍾乳石の盗掘が相次ぎだそうなのは残念。
防犯用金網が張られてしまった事を悔やむ声も多数だそうだ。

洞内には、テン・カワウソ・ニホンザルの化石が何気に置いてあり衝撃。
時間を忘れて凝視。ものごっつう勉強になった。

20031225/001112
『水の色は記憶の色』
友ヶ島に続き、ここも役行者ゆかりの地。

西日本には至る所で、
役行者や空海の名が幾年月を経ても刻まれている。

超自然的な伝説を第一印象にされる事が多い方々だが、
新しい場所を開拓し開墾して、
人の住む場所を広げた指導者としての姿が在るからこそ、残った名でも在る筈。

その意気を、思う。
 
天川村付近は、奈良県でも名水で有名な地。
透明な水のある風景は、
ただ眺めて呼吸しているだけで貯まりくる元気を感じる。

4時間ほど歩いてから、帰る。

近鉄下市口駅へのバスは結構混む。余裕を持って並んでおきたいところ。
補助席も満杯。

3時間で辿り着ける、山深き場所。
来年は紀伊半島の奥地へも辿り着きたいものだ。

20031226/001113
『ロープウェイ追憶機構』
12月13日の土曜午後から、単独で葛城山に登った。
登ったと言っても、
近鉄電車・バス・ロープウェイの乗り継ぎで山頂付近まで楽々と行ったのだが。
 
近畿に、葛城山は2つ在る。奈良と和歌山だ。
今回は、金剛山の隣になる奈良県の葛城山へ。
 
自宅から駅までの時間を入れても2時間で山頂到達。嬉しい現実。
16時前のロープウェイに間に合う。そこまでのバスもロープウェイも貸切。

世界が夕景へと変わってゆく中を、鉄の箱が登ってゆく。
車内に流れる開設音声で、大和三山の位置を確認できた。
大和三山とは、畝傍山(199m)と香久山(152m)と耳成山(139m)の総称。
畝傍山麓に橿原神宮の森が見える。
街並の色の中で、山がまるで島のように緑を浮かび上がらせている。
 
今年は、山辺の道・奈良公園・東大寺・平城京・飛鳥・天川村などなど、
積極的に奈良県を徘徊してみた。

そういう年の最後に、その歩いた空間を俯瞰できる機会を得たのは感慨深い。
 
ただ遠くで追憶するだけではなく、
現実の視覚で俯瞰する事で、自分の旅が虚構ではなかった事を再確認する。

20031227/001114
『カツラ銀』
ロープウェイから出ると、誰も居ないまっすぐな道。
数日前に降った雪が固まっている。
時には平野部よりも5度は異なるという山頂部の気温。冷気が染みてくる。
 
ロープウェイ駅からキャンプ場までは徒歩10分。
そこから更に10分ほど歩けば国民宿舎が在る。山頂はすぐそこだ。
国民宿舎『葛城高原ロッジ』には幾組も宿泊客が。
されど、キャンプ場に泊まるのは自分ただ独り。いい感じだ。

今まで経験しなかった事、出来なかった事、しようとしていなかった事。
それらが全周囲に在るという心地よさ。
 
夕陽を狙う写真家グループが数名。
この日の夕陽は雲が多くて一瞬の光輝のみ。
既に山頂の冷気は痛い程だ。日が暮れると同時に霧が深くなる事を体感。
 
奈良の夜景は霧に滲んでいる。
ただ暗く、そして静かなキャンプ場に向かう。

20031228/001115
『テント対蛍光灯』
夕暮れと夜と夜明けと朝の中を歩いてきた。
北海道港の為に購入した防寒着のおかげで体幹部は寒くない。
歩き回れば、汗で繊維が張り付く感じがある程だ。
透湿素材も一般的にはなってきたが、安価なものは安価なりの性能。
素材云々よりも、徒歩行動が多いならば裏地メッシュは必須と実感。

トレーナー・ウインドブレーカー・ベンチウォーマーと、
日常の防寒着がオレンジ色三昧な事に今更に気づいてしまったこの冬。
ほぼ日参している『BOOKOFF』などで、
“あのオレンジ野郎が来たぜ ! ”とか既に無言思考されていたかも知れず。
そんな状況にもかかわらず、山での耐寒装備が黒&黄なのが悔しい。

キャンプ場から少し歩いた先に、ミニログハウスも在る。宿泊客も居た模様。
わりと新しそうなものが三棟。昔使われていたものは朽ち果てるままに。
一度山に上げてしまったものは、下ろすのが難しい。
 
キャンプ場の規模はさほど大きくはない。最近はあまり使われていない気配も。
ゆるやかな斜面になっているので地面にテントは張りにくいが、台は在る。
ただ、テント台の上は固まった雪で白い絨毯。
色々と試行錯誤したが、炊事棟の屋根の在るコンクリの上に張る事にした。
環境に負けた様な、そんな素人っぽい思考も在ったが、健康優先。
 
炊事棟の蛍光灯を管理人さんが灯してくれた。
点けたままだと異様に明るいテント内。自室を思わせる程の明るさだ。

霧と冷気のせいか、携帯TVはやはり映らない。今回も楽書き楽描き。

20031229/001116
『妄想本能と換気戦』
相変わらずのレトルトカレーや即席麺で腹ごしらえ。
長い夜の中を遊んで、夜明けを待つ。

深夜、幾度か散歩してみたが、霧の夜の静けさを満喫するばかりだった。

標高957m。キャンプでの標高と低温記録を更新。
寒さに関しては、レンタル毛布で上下に体を保温して快適温。
 
外は氷点下2度だが、テント内は摂氏1度を保っている。
その為、テント内部は凍っては居ないが夜露に濡れている。
防水スプレーを再塗布したせいか、天川の時よりもマシだが。

日本の気候では、冬場に空気が乾燥するのは事実。
されど、テントに関わらず住居内では空気乾燥より結露の方が問題。
暖房機器と住居密閉性の発達により、暖房効率が上昇した為だ。
もっとも、一酸化炭素中毒は無論の事として、
暖房による温度上昇で生じる肉体の乾燥や温度差による血圧上昇は注意当然。
 
ソロキャンプをして改めて気づいた自覚は、夜や心霊観念への恐怖が無い事。

それらの観念を思考で楽しむのは好きだが、盲信して振り回されてどうなる。
盲信は、思考停止ばかりか他者や自己の努力や蓄積さえもないがしろにする。

恐怖が在るなら、解析すればいい。
それが、立ち向かうという事だと思う。

20031230/001117
『キリでイタダキ』
写真家グループに、日の出時刻が午前6時半を過ぎてからだと聞いてはいた。
それでも今回のキャンプにおける1番の目標を前にし、はやる気持ちで6時に山頂。

葛城山頂は360度全周囲への展望が望める地形だ。
隣の金剛山との間も空いている為、独立峰としての景観を満喫できる。

誰も居ない、ただ霧の白だけに包まれた山頂に立つ。
こんな体験が自分に出来るとは。こんなにも面白い事を今までしてこなかったとは。
 
全方位に解放された視界に、登り来る太陽。
その時刻の色は、“夜明けの紫”と形容される事が多い。
しかし、実際に観た者ならば、形容しがたい複雑な色彩変転を知っている筈。

太陽に対する原初の畏怖と信仰を、光にて浴びる。
 
来年は、海からの朝日も見に行こう。

20031231/001118
『リングワンダリングログ』
いろいろと行ってた為、毎月他府県徘徊を完遂。
おおまかな記憶を書き連ねてみる。
 
【1月】
北海道道東(釧路湿原・屈斜路湖・雪中露天風呂・熱気球・猛吹雪・網走・根室)
高野山旧参道町石道登山(登り徒歩6時間・帰りケーブルカー15分)
武庫川峡谷(福知山廃線跡ハイキング・河原焼肉・武田尾温泉)

【2月】
平城京(散歩・ホテルで宴会)
六甲山(芦屋ロックガーデンから登山・山越えして有馬温泉)

【3月】
岡山県日生(18きっぷ日帰り島めぐり・島内1周3連発・勘三郎洞窟)
岡山県新見(井倉洞・満奇洞・温泉)

【4月】
四国お遍路札所散歩(ムーンライト松山・金毘羅さんも)
夙川(花見)

【5月】
須磨(スペイン村・イルカ島・水族館)

【6月】
山辺の道(徒歩5時間)

【7月】
敦賀(海水浴・気比の松原・無人島海水浴場な水島)

【8月】
能勢(ロッジ泊)
秋吉台(往復ムーンライトで車中泊・山口駅から秋吉台ママチャリ疾走)
白浜(海水浴・台風一過直後)

【9月】
和歌浦(廃墟ホテル群・ポルトヨーロッパ)
小豆島(折り畳み自転車で寒霞渓登坂・登り3時間下り30分)
地ノ島(無人島で男2名キャンプ・焚火)

【10月】
飛鳥(折り畳み自転車徘徊・道に迷いまくり)
淡路島(ワールドパーク・土の家宿泊)
くるみの里キャンプ場(ちゃんこ鍋自炊)

【11月】
城陽(運動公園の芝生・雨の京都駅)
友ヶ島(初ソロキャンプ・折り畳み自転車・要塞史跡)
天川村(弁財天・洞川温泉・ソロキャンプ・面不動鍾乳洞)

【12月】
葛城山(ソロキャンプ・山頂の夕日と朝日)
 
来年は何処まで行けるか定かではないが、止めないでいよう。

日常を味気ないものだと蔑んで、遠くに逃避を求めるのではなく。
体感して体験した物事を持ち帰り、日々の基礎に出来るならば。


20040101/001119
『謹賀新年』
 
新年あけまして御芽出度うございます。
 
本年の正月休暇は、沖縄県の西表島と波照間島に旅してきます。

本年こそは、旧年中に基礎固めを勉強しなおした成果を込めて、
物語を創りそして発表していきたいと思っております。

2004年1月1日 秋桜 多透

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