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『大作戦日誌』20030401-20030430

20030401/000842
『自分を救え』

ぅわ。
なんか・・・・・
 

懸賞で『アミノレンジャーTシャツ』当たった。

20030402/000843
『ホラー食っちまっただ』
2003年春期の青春18きっぷ利用にて、
『ドーゼオーバーズ』の面々合計3名で瀬戸内海を渡る。

出発は4月6日(日)零時過ぎ。
スタートレック映画『ネメシス S.T.X』の前売りを買う都合で、
早々と梅田に到着。

時間合わせ&未突入店舗散策の為、漫画喫茶に。色々読破。
『まんが広場』新御堂筋沿い阪急東通商店街北へスグ扇会館5Fへ。
夜19時〜深夜0時は、フリータイム料金880円ナリ。

この場所、旧『うめだの洞』というのが切なくて良し。
内部は2階構造になっており、
階段を登った瞬間に十数年前の来店を思い出す。
焼き肉よりも、山盛りにされた野菜の方が記憶に残っている。
その頃の自分は、野菜よりもっとずっと青臭かったが。
今もか。

 
振り向けば光陰矢の如し。それは世の常・人の常。
相対性理論を出してこなくとも、人の脳内にも
絶対時間は無い故に。
振り返れば振り返るほどに、秒感は省略されてゆくが故に。

“ハタチになったら梅田の洞”というCMコピーがかつては在った。
店舗なき今・・・
若者はハタチになったら何処へ行けば良いというのかッ?

エロ同人誌売り場か?
や、それは三十路になったらか? だめか?


20030403/000844
『のせてくれ』
期間限定運行の夜行快速『ムーンライト松山』に搭乗。
0:15発なので18きっぷは1日分で済む楽々旅程設計。
でも全席指定なので指定席券購入必須。たしか510円。
駅構内のコンビニはやはり便利。
先日から今年の販売が始まった冷し中華をホクホクと買う。

車内はほぼ満席に近く、暖房&ヒト熱気むんむん。
各員、放熱体制。上着装甲解放。
 
夜行快速といえども、走り続けたら早く着き過ぎるサダメ。
『ムーンライト九州』『ムーンライト高知』との都合も在り。
岡山で時間合わせ停車。ホームで涼んでボーッとする。

真夜中の駅、その空気を満喫。人影が在るのに風景は静か。
嗚呼、我ら夜の住人ナリ。

20030304/000845
『空間X列車脱出せよ』
岡山で車内が少し空く。嗚呼、車両すみっこの涼しさよ。
午前1時ぐらいに車内は減光されるが、文字が読めない程でなく。
コンビニで買った別冊宝島を読んでみたり。
『ぼくたちの好きなウルトラマン2 ウルトラセブン編』

列車の振動と軋みがなんだか未確認飛行物体の音に聞こえてきたり。

延々延々と喋り続ける推定二十代女子二人組が五月蝿いナリ。
午前3時ぐらいに眠り込んでくれるまで延々延々と。
微妙に聞き取れない声量なので、なんか宇宙人の声に思えたり。
嗚呼、我に刷り込まれ続けた空想特撮番組のエキスよ。
 
周囲が寝静まった頃合いを見て、
ラクガキ帳に
“俺アレンジ宇宙人”を描いてみる夜行列車。
なにやってんだか。

3本100円で買ったシャアペン、
先端部がグラついて使い物にならぬー!

ここんとこ、画力向上を狙いつつも実を結ばぬままに、
ラクガキだけは数が増えている状態。
そのうち公開できるぐらい上手くなればええなぁ。
願望だけではなんにもならんけど。
 
とにかく
チブル星人のデザイン凄すぎ。

20030305/000846
『瀬戸内ダーク・ゾーン』
夜行快速列車『ムーンライト松山』が瀬戸大橋を渡る。
岡山駅での時間合わせ停車が在った為、午前3時すぎ。
岡山を過ぎると車内は少し空席が生じる。
涼み易い車両最前部の座席を満喫。

川崎重工・川崎造船コンビナートの灯が美しい。
此の時間に此の場所を行くのは未だ4度目だが、
その度に視線を奪われる。

都市夜景の様に綺羅びやかな景観ではない。
其所に在るのは
膨大な暗闇の中に点景として在る灯の群れだ。
灯と灯の間の暗闇が距離感を
錯視させる。その一瞬が良い。

基本的に
“霊魂”というものを信じない事にしている。
そういう観念を
馬鹿にする訳ではなく、
そういう観念を
盲信して依存してしまう事が恐いからだ。

けれど、霊魂の灯が集まる場が在るのならば、
それはこんな景観に似ているのかも知れないとも思った。
波間に浮かぶ何かが寄り集まるように、
膨大な暗黒・・・つまりは
“虚無”を背景にして集うのだ。

酒ではなくスポーツドリンクを飲みつつ、
酔いもせずそんな事を考える。
先刻まで、ウルトラセブン本を読んでいた事もあって、
“UFO”ではなく
“円盤”幻視したくもなる。

人は、見たいものを必ず見ることが出来るとは限らない。
そして、見たくないものを必ず避けられるとも限らない。

だからこそ、
“見たもの”や“見た筈だと思うもの”に、
“見たいもの”を投影しては・・・
幻滅したり盲信したりするのだろうか?

20030306/000847
『チャレンジャー教授 VS 毒ガス帯』
まぁ、そんなこともある。

列車は四国に上陸した。上陸したが止まらない。
上陸直後における気のユルミを排除する為の、
列車なりの作戦なのだろう。
列車は止まれば只の箱だからな・・・

だが、我々の今回目的地は香川県東部。
愛媛県も半ばをゆくまで止まらないのはミカン星人の罠なのか?

夜明けに染まる空と海。
観音寺を越え、新居浜平野に入る。
鉄路が在り、距離の中で平坦に見える農地が在り、
その向こうが
すぐ海だ。

当地出身者の知人妻によると、ずっとそんな風景が続くそうだ。
去年の夏、
『しまなみ街道自転車走破』時にも同様列車に乗ったものの、
その空間構成に気付けていなかった自分が腑甲斐無い。
そういう
視角から瀬戸内海を眺めるのは新鮮だ。

爽やかなロケーションにミズミズしい気分が満ちる。
ゴロゴロと半眠半覚醒を繰り返していた車両前部から、
車両後部の自席に帰還作戦を決行。進路クリアー。
されど、車両中央部に
猫ションベン臭気満載の者1名。
素潜りの要領で危険地域をニンジャ歩き。

五感の中で最も馴化してしまい易い嗅覚とはいえ、
周囲に座っていた方々は
さぞかしツラい一夜であっただろう。
座席足元からの暖房風で熱せられ拡散する猫ションベン臭・・・
飼い主が無頓着ならば、周囲にも動物にもそれは不幸だ。

気を取り直して、自席帰還。
こんなこともあろうかと用意しておいた冷し中華を食す。
夜明けの光を眺めつつ、好物を食す至福満喫。

新居浜駅にて、巨漢の関東青年とスレ違いながら四国に立つ。

20030307/000849
『プチガッツ路線』
我々は各駅停車で引き返し、JR三野駅から徒歩旅程を開始。
駅に貼られていた“尋ね人”のポスターに身を引き締める。
徒歩遍路の長き行程の中、失踪してしまう方は皆無ではないのだ。

外気温は15度程度。ピリリと引き締まるが辛い冷気ではない。
初めて歩く道が自分の前に在る。

各自の前夜睡眠率は誉められたものではないが、意気はふつう。
だらりと歩き始める、そのまっすぐな道。

時折、車が通り過ぎる他は人影も無く。
ゆったりとした舗装路が旅路の前に始まっている。

其所にも此所にも個々の生活は在り時間は流れているのだが、
来訪者にとって始まりは始まりだ。

一歩ごとにも曲り角ごとにも始まりは在るのだから、
実のところ旅路は始まりの集積とも感じられる。
それはまぁ、楽しい事だ。
 
この地域には四国八十八か所の札所が比較的集中している。
そのうちの5箇所を巡るプチ遍路が今回の目的なり。

20030308/000850
『あのこはカメラをどうしたのだろう』
『ウルトラセブン』に登場したワイルド星人は、
老化による種としての絶滅を防く為に地球人を狙った。
その手段は、生命カメラで魂を抜くというワイルドなものだ。

見ての通り、今回の旅程に関してはデジカメ画像が無い。
これは決して忘却の彼方に在った為ではなく、
充電態勢のまま外出してしまった為だ。

最寄り駅と自宅の中間地点にて抜かりなく気付いたが、
我、“あえて取りに帰らない”という決断を選択せり。

写真機は眼球の構造に似ていると語られる事が在るが、
記録を優先するあまりに風景を味わう事を忘れては本末転倒。
我等には眼球が在る。
人類の存亡は我等の双肩にかかってはおらず、ただ旅が在るだけだ。
 
めぐりくる風景を、
威風堂々、ココロのファインダーで激撮。

だんじてまけおしみでーはーない。

20030409/000851
『ヤーマンテンプル』
今回のプチ遍路行程は71から75番札所に至る。

71弥谷寺(いやだにじ)〜72曼陀羅寺(まんだらじ)〜
73出釈迦寺(しゅっしゃかじ)〜 74甲山寺(こうやまじ)〜
75善通寺(ぜんつうじ)の5箇所。

この行程では
最初の弥谷寺が1番労力が必要となる。
この地域では
海抜382mと1番高所に在る為だ。
そのぶん、朝の爽やかさの中で軽い山登り気分が味わえた。
三野駅から次第に登り坂が現れ、そして約300段の石段が待つ。
午前8時台、到着。

幾重にも折れ曲がった石段の先、なんと
岩盤の中に堂が在る
弘法大師空海が登山修行さたとされる岩窟が目を惹く。
人力で掘り進めたのであろう岩の“棚”や梵字が在る。

このような立地条件のもと、作業された人々の姿を思う。
約1200年前か・・・

20030310/000852
『あの朝きみがくれたコイン』
八十八ヶ所札所には、本堂と並んで大師堂が在るのが印象深い。
両方を拝む。信心には自身が無いが、礼儀は通したかった。
5円玉をスッカリ忘れていたのだがヒルまず
100円玉ゴー!!

鐘楼で
を突かせてもらう時は、山門を通ってすぐが定形なのだそうだ。
自由に突かせてもらえるとは太っ腹。そんな事が可能とは知らなんだ。

他の人が突く
鐘の音を聞かせてもらうに、
音色は突く人によって異なるという当たり前の事に気付く。
当たり前の事はただ勝手に世界を
浮遊しているのではなく、
あぁこうして
認識されているから世界に在るのだと思った。

鐘は良い。全身に響く。聞くというより効くという感じだ。
チカラ任せよりも上品に
渋く突きたいと本気で思った。

自分の突いた鐘の音を全身で効きつつ、鐘の内部を覗き込む。
安珍・清姫を思い出して少々複雑なキモチになったが、
鐘楼から出てみると晴天に映える
サクラ満開

かんたんに救われたキモチになる自分に少し安心。

20030311/000853
『光のはやさとかで歩け』
今回の旅程では、歩き遍路の経験者つまりは先達が同行。
メンバーのひとり
ギョウジャニンニク(コードネーム)は、
昨年春に一時休職し40日あまりをかけて
約1200kmを踏破。

今回ふたたび歩いているうちに、
1年前の記憶が復活してくる様子を横から見ているのも面白く、
なにより先達の案内で安心して巡拝できたのがありがたい。
 
彼は山に慣れている方だが、それでも完遂には頭が下がる。

一般に1日に歩けるのは30〜40km程度が限度という。
陽の在る時間は長くとも、毎日の繰り返しが待っているのだ。
時速5kmを10時間、毎日毎日そうそう出来るものではない。
1日だけ無理をすれば良いというものではないのだ。

この国ではまだ明日を考える事が出来る。
明日する事を考える事が出来る。
明日の為に今日する事を考える事が出来る。

多透は無精者だから、
明日出来る事は今日しないという道に行きがちだガ。

20030412/000854
『遍路二十面相』
71番の弥谷寺の俳句茶屋で草餅(100円)をいただき、
73番の出釈迦寺では讃岐うどん(200円)をいただく。
それぞれの安さも驚きだが、
草餅には茶、うどんには饅頭やスルメを付けてくださって感激。
“お接待”という文化の一端に触れた感覚。

自分よりも多くを歩いている者には歩いただけの経験が在る事が多い。
それは絶対の法則ではないが、
浅はかなプライドもどきに捕われて自分も他者も見誤るより良策だ。

自分に自信の無い者ほど、自分の
優位点だけを焦って探す。
そうして見つけあぐねては自家中毒的に
ザセツなどとクチにする。
社会に居ながら精神的に引きこもってしまって、
人間には長所と短所が無数複合しているという当たり前を見ていない。
それでは社会的に自滅するだけだ。

何処の誰とも知れない巡拝者を気づかう文化。
その連綿と続く歴史の積み重ねは、
他者に対するただ当たり前の気づかいと寛容で、
思考迷路から軽やかに抜け出ているという実証を感じる。

行く先々の分岐路には
“遍路シール”が貼られている為、
まず迷う事はない。
なんだか少年探偵団気分!
これもまたこの地の文化。しみじみとありがたい。

それでも、71弥谷寺から72曼陀羅寺の区間で、
今はあまり使われていない山道を行く事ができたのは先達あってこそ。

この山道が短いながらも歴史を感じさせてくれてしみじみ。

四国遍路が大衆化したのは江戸時代以降との事。
膨大なる人数の人生を想像して目眩を感じた。鼻血出かけた。

20030413/000855
『ボイン山』
あちらこちらへ遠出する度に、土地ごとの空間感覚の違いに気付く。
そうして結局のところ自分は、
“巨大に空っぽになっている空間”が好きな事に気付く。

“広さ”への渇望。地平線にはヒロイズムさえ感じる。

普段は、大阪にて生駒山地を日常的に眺めている。
日々の視界に山が見えるのは良い事なのだろう。緑と季節の色。

それでも連なる山々は、視界中でひとつの“壁”とも言える。

壁が見えるからじっとしておこうなんて考えたくない。
その向こう、その向こうへ行きたいと思い続けたい。実行したい。

四国山地や讃岐山脈にも1000m級の山は在るが、
平野部に独立した小山も在る。
日本むかし話に出てきそうな丸い稜線が優しく存在する。

連山と独立峰の違い。その風景に及ぼす視覚感の違いを思う。

風景と情熱は違う。
なんでも環境のせいにしてしまうのは愚行だ。
それでも、
独立峰や高山を見続けながら育っていたのなら、
異なる何かを獲得していたのだろうかと自問する。

20030414/000856
『ボウフライヤー』
71番の弥谷寺から旧道をゆくと、
ため池が良い雰囲気で視界に入ってくる。

池の水面に打ち込む、ゴルフ練習場が在る。
ただ静かな水面を保つ池も在る。

四国のため池は現代においても雨不足対策で多い。
琵琶湖を擁する大阪では有難味を忘れがちだが。

水の在る風景はいい。
住宅地に流れる小川にも何か安心する。

大阪では下水化が進み
“どぶ川”には蓋がされて暗渠化している。
子供の頃の川遊び記憶は、近所のどぶ川ばかり。
その
汚さも臭さも体で知っているのに、
無しになってしまうのも寂しいと身勝手に思ってしまう。
積もり積もった泥の上で
上澄みとなった水の色。
精緻なダンスを続け続ける
ボウフラの群れ。その色も思い出す。

透明な水が流れる小川が近所に在れば、
ある日のある午後、バンクした自転車を押しながら歩く少女が、
ひさしぶりにメダカに気付いたりするのだろうか?
夏には蚊柱が立っているのだろうか?

そんな事を考えていると、町でも田舎でも、
清涼さに差は在れども水を取り巻く季節の彩りに共通点は在るのだと気付く。
それは、そうあってほしいという気持ちからもあるのだろう。

20030415/000857
『まるかいてちょんまる』
四国遍路は“巡礼”ではなく“巡拝”というのだそうだ。
今回の行程では“歩き遍路”をされている方には遭遇しなかったが、
車両での巡拝が一般化している今でも結構な人数が歩いておられるそうだ。

満願成就された知人も多いのだが、皆「もういちど」と話される。
車で巡拝された方々が大半だが、「歩いてみたい」とも話される。

“聖地”への巡礼行為は世界各地に在る。
その路程は1点を目指す線分が普通。街道が放射状に在るイメージ。

四国遍路の様に路程が円環状と成っているものは非常に珍しいそうだ。

円環状であるが故に、終わりと始まりは接続される。

緑が在り水が在り空が在り海が在り。
やはり広い所を歩くのは気持ちがいい。
信心が無い身でもそれは染み込んで来る。

なるほど・・・
こういう道の上を積み重ねて、やがて道のりが“輪”になるのか。

20030416/000858
『讃岐のスカイラーク』
今回は巡拝というよりも、気持ち良く散歩させてもらった感じ。
広い田畑の中をゆく道、その上で
ヒバリの声を聞く。

その日の天気は正に快晴。本当に雲ひとつ無く。
高く高くを飛ぶ、その名を漢字で書くと
雲雀

せわしない声だけが
ピュルピュルと在る。
姿は
の中に溶けて見えにくい。
なるほど、青の中に生きている雲が鳴いているようだ。

あらためて見ると、実に高空を飛んでいるのが解る。
ほんの数カ月前、自分は、
気球に乗ってあの辺りまで登ったのかと思う。

子供の頃、親父が空を指差してヒバリの名を教えてくれた。
そんな記憶が在る。

それなのに近年は大阪でヒバリの声を聞いた覚えが無い。
田畑は未だまだ在るが営巣地や餌の不足傾向は事実だろう。

そしてそれ以前に・・・
空を見上げている時間を増やしているつもりの自分が、
実は
足りていなかったという事実にも気付く。

チぃっ!

20030417/000859
『仮面アイズ5』
ヒバリはを食って生きてる訳でもないのに、
なんであんなに高くを飛ぶのだろう?
羽根の形状で飛び易い高度とか、天敵対策とか?

まぁ、ヒバリにも
言うに言われぬ事情が色々あるのだろう。
言いたいのに言えないもどかしさ。ヒバリだし。

あの高度で飛ぶならば、鳥類が驚異的な視力を持つのも納得。
鳥類の視覚では、
単眼視という機能も興味深い。
左右の視覚が独立している為、それぞれ別々のものを見る。
眼球がほぼ固定されている構造と、
空間識向上の為だろう。

鳥類はその視覚世界の中で、
高空から獲物を見、そして飛びながら世界を見る。

その反面、両眼による立体視が出来ない為に遠近感に弱い。
ニワトリが死角から接近されると簡単に捕まるのも納得だ。

単眼視能力が変な方向に進化すると、
自然界では淘汰されてしまっている
奇数眼球も“アリ”なのかも。
バージェス動物群で異彩を放つ
オパビニアの“5つ目”も、
それぞれ単眼視していたのではなどと無根拠に考えてもみる。

“大人になるとは精神的視点を多角化させてゆく事”だとは常々痛感。
せっかく色んなものごとを立体視できるのだから、
自分で自分を絶滅させたくはないものだ。

20030318/000860
『ホケキョバードの襲来』
そうして讃岐の旅はゆるやかに進み。
弘法大師空海の生地である75番
善通寺に至る。
流石に大きい寺。鐘を突かせてもらい、音響を染み込ませる。
縁日好きなので、露店が並んでいると元気になる。

十数年前、善通寺へ
受験に来た事が在る。
それなのにあまり記憶が繋がらない。
その時はあまり時間が取れなかった事もあるのだけれど。

巡拝を終え、町を半分迷いながらフラフラ歩き、
やっと駅の方向が判明した時点で市庁舎の姿が記憶と接続する。
あの時はバス移動だった。やはり自分で歩く方が記憶鮮明。

市庁舎の横、桜並木は満開。
補導されてパトカーに乗せられてゆく高校生が過ぎ去った後は、
他に人影は無く、我ら独占の花見宴。

この日は道の途中でも多くのウグイスに遭遇していたのだが、
この時、
桜の枝々にとまり鳴くウグイスが多数。しかも声が上手い。
ウグイスといえば梅の印象なれど、なるほど桜にもこれほどに。
桜色の中にウグイスの羽根。その背景は天空までの青き快晴。
これほどまでに近くで多数のウグイスを見たのは初めてだ。

今回の旅で
“オシャレな爆笑コメディ”は無かったが、
まぁ、振り返ってから記憶に染み込んでいる事に気付く瞬間は、
その時に感じていたよりも在ったのだと知る。

20030419/000861
『合体神社コンピラー1368』
讃岐散歩の締めは金比羅さん。善通寺からJRで1駅。
昭和テイストの町並みにホッとしつつ参拝。

時間が無かった為に奥の院までは行けなかったが、
本宮までの785段の石段を堪能。
奥の院までだと1368段だそうだ。

山寺などで石段が在ると、
人体ではなく斜面に合わせての間隔の為に歩き疲れる事が多い。
だが、金比羅さんでは斜面が緩やかで石段の幅も広く、
途中の平地も多く設けられているのでゆったりと登れる。
思ったより疲労感が無く登れた。

船舶・海運の水難避けというイメージが在ったのだが、
実は、商売繁盛・厄よけ全般という太っ腹な所。

海の神様のみならず、数多くの神様がまつられているからだ。
明治時代の政策である『合祀令』とも無関係ではないのだろう。

去年の夏の終わり、紀伊田辺で泊まった際、
南方熊楠生家の前を通った事もあって著作に興味を持った。
ちょうど、ネット図書館『青空文庫』で『神社合祀に関する意見』が、
無料閲覧させてもらえる状態で掲載されており有り難く勉強させてもらう。
なるほど、神社参拝には必要な知識だ。

そんな生兵法な知識もあって少々複雑な気分も覚えたが、
合祀されているが故に賑やかな神域となっているのもまた事実。

老若男女さまざまな人々が数多く参拝されていたのが印象深い。

20030420/000862
『玄関先で地球をまわせ!』
金比羅さんには5歳ぐらいの頃、連れられて参拝した事が在る。
その時の記憶は既に曖昧で、
上まで続く参道の石段と数多く連なる両側の店。

風景の記憶というものは結構、
周囲の空間構成をも含めた立体的なものが多いのだが。
この時のものは、その風景を見上げた一瞬が、
絵のように写真のように記憶の中で静止しているだけだ。

幼かった事も原因なのだろうが、
それにしては一枚絵の記憶だけが奇妙に鮮明だ。
店の名が染め抜かれたのぼりの赤が其所に在る。
 
その時の道すがら、『地球ゴマ』を買ってもらった。
当時はパチものの多かったそうだが、最近になって調べてみて、
タイガー商会の純正品と判明して今さらに安心してみたり。

廻しながら玄関先のコンクリ上にダイビングさせてしまい、
尖った方の先端が曲がったのを覚えている。
錆び付きかけたペンチで直したのが、自発的にペンチを使った初体験。

20030421/000863
『忍者ベット』
あれよあれよという間に、今年も3分の1が完了。
なんとか毎月ふらふら遠出が出来ているのは良しとして、
正月旅行の記載が尻切れになるのも引っ張るのもナニなので。
以下、自分用簡単追記。
 
次に宿泊させてもらったのは『屈斜路原野ユースホステル』で連泊。
ゆとりのデザインセンスあふれる建物が良い感じ。
通常の二段ベッドではなくロフト構造になっているのが面白い。

廊下の一角にはコタツと本棚が在り、ぬくぬくくつろぎ可。
2連泊という事もあって、夜更かししつつ、
十年程前に冒頭部だけしか読めていなかった『忍者武芸帳』を読破。
女忍者“蛍火”の鮮烈さを再認しつつ、作品そのものの勢いも満喫。

群像劇というものには憧れと創作意欲を同時に感じる。
そしてその作劇の困難さもずっとずっと実感中。
『忍者武芸帳 影丸伝』には、
1959年に発表されてから今なお色あせない“血の色”が在る。

20030422/000864
『まぼろしカヌーの謎』
『屈斜路原野ユースホステル』でも様々なツアーが用意されている。
で、屈斜路湖から出発する“釧路川源流カヌーツアー”を予約。
1日に1名のみの限定企画だったが・・・・・猛吹雪の為に中止っ!

前日の熱気球フライトで満たされていた事もあるし、
旅先で腐っても仕方が無いし自分の損なのは重々承知なので。
スッパリ気持ち切り替えて『博物館網走監獄』へ向かう事に。
 
豪雪の中、数多くの方々の御尽力により列車は運行中。

そうはいっても無人駅も多く在るのが現状。
“改札口から列車までのホームが雪で埋まっていて辿り着けない”
という状態を初めて見る。
 
雪国おそるべし。

20030423/000865
『ブラウン管を飛ぶ鳥とあれと』
NHKスペシャルや海外制作ドキュメンタリーを見たり、
普段は目に出来ない&目にとめていない鳥類を、旅先で再発見。

そんなこんなで近年は鳥類への興味も静かに増加傾向。

『アッテンボローの鳥』は鳥の種類ごとの紹介が詳しくて、
自分の矮小な知識欲の気泡がプチプチと解放されてゆく快感があった。

こういうのは人類共通の快楽かも知れないが、
一歩進めて自らの血肉とするのに努力が必要なのも事実だろう。

飛行機や気球、そして自分の足による登山・・・
些細ながらも高度を少しは体感できたこの4ヶ月。
鳥にはなれないし、なりたくもないが、
今後はもちっと自分を高い所にも連れて行こうと再確認。

20030424/000866
『鳥目カニクス』
鳥映画だと、『鳥』とか『かもめのジョナサン』とか『グース』とか。
先日、初日に勇んで観に行った『WATARIDORI』も心染み込む良作。

膨大な労力と時間を詰め込んで濃縮した映画という時空間を堪能。

軽量飛行機を活用して、鳥と一緒に飛びながらの空撮も鮮烈。
ああ、鳥という奴らはこんな風景を見ていたのか。単眼視で。

研究によると鳥類は色覚も鋭敏らしい。
猛禽類にはヒトの5倍もの色覚細胞を持っているものもいるそうだ。
そういう観点で鳥を見ると、
異性を獲得する為に派手な羽毛を持つ事も素直に納得できる。

空の高く高くから鮮烈な色彩群と空間の広大を同時に見る生き物。

『WATARIDORI』を観終わる頃には、鳥類に対して、
「なんと奇妙な奴らだろう」という認識が更に増加。

同じ地球上の生物といえ、まったくもってへんてこりん。
安易な擬人化などは大人になってまでするものではない。

鳥類のみならず、別系統の進化を遂げて生き残った生物群を、
知識と好奇心で人生記憶の中に刻印していきたいものだ。

20030425/000867
『メンズボッキーの挑戦』
『WATARIDORI』を観ていて、最も驚愕したのは、
“自分が勃起している事に気付いた”時だったっ!

「ぁあ!俺は遂に落ちるトコまで! よりによって鳥類とはッ!」
と、嘆くこと数秒。

なんとか冷静になって思考してみると、やはり・・・
“とにかく広い風景”というものに反応していた模様。

極地・砂漠・平原・荒野・峡谷・大海・・・
鳥の速度で繰り広げられる空間移動に“そそられて”いたらしい。

そうか。
なら、ひらきなおるしかない。
飛べはしないが、今は仕事して資金を貯めるしかないが、
いつか広い広い所へ自分を連れていってやるさ。

なにはともあれ、こういう事もあるから、
こういう映画はスクリーンで観た方がいい。
海洋映像満載ドキュメンタリー映画『アトランティス』も、
良いんだけれどビデオで観た為に途中で眠くなってしまった。

大自然が主役の映画は大画面でしか味わえない空間を内包している。

20030426/000868
『返還された変換機能』
iBookのキーボードが外れる。

薄型キーはキートップとパンタグラフ状の基部で構成されている。
その結合が外れてしまったのだ。

キーのスイッチ自体が壊れている訳ではないので動きはするが、
よりによってVキーなのでペーストがやり辛くて辛抱たまらぬ。

『アップルクィックガレージ大阪』に行く。
ガンプラ専門店『GUNDAM’S』から日本橋方面へ数分の筋向かい。

保証期間内なので、即座に部品交換修理していただけて安心。
ただ、キートップ外れは1個だけだというのに、
キーボードユニット全体の交換となった。

近年のノートパソコンで定番となっている薄型キー。
それを構成しているパンタグラフ状部品は、
なんと“ヒトの手では復旧不可能”な物なのだそうだ。

なるほど、
鳥や広さを夢見ていても、自分で直せない物は目の前にも在る。

とにかく直ったので、こうしてキーをペコポコと叩いてはいるが。

20030427/000869
『ツクツクオホー』
そうして列車は『博物館網走監獄』へ向かう。
豪雪の中、風景は色彩を単調化させてゆくが、
それでも魅力は色あせない。
 
白の溢れる中を列車が進んでゆく。
釧網本線が知床斜里で進行方向を変えると、
視界の奥行きも急激に変化。

白い海だ。

オホーツク海を初めて見たのは気球の上からだったが、
近付き、車窓から見たのもまた初めてだった。

流氷は未だ来てはいなかったが、
雪の中でオホーツク海はこんな風に白くなるのか。
前年の積丹岬や青森とは少し違った白さが在る。
 
思い起こせば、
“海”と名の付く所で“見た”だけでも数えるならば、
太平洋・日本海・瀬戸内海・オホーツク海・有明海・・・ぐらいか。

まぁ、日本で“海”が付くのはそれぐらいで後は“湾”“灘”だが。

でも、今回、オホーツク海には触れずじまい。

地図を見るだけで良かった頃にも戻れるのだろうけれど、
戻りたくはない今となっては、行くより他にない。

いつかインド洋やアドリア海に触れる日も来るのだろうか。

でもその前に東シナ海が未だだなぁ。

20030028/000870
『雪中の赤い箱』
降り積もり続ける雪に埋もれながら網走駅を出る。
駅前は日本各地によく在るたたずまいで“地の果て”感は無い。
 
駅前からバスに乗る。乗客は自分独り。
次第にバスは山へと登り、雪に染まる針葉樹林の中を走る。

雪に監獄は良く似合う。
『博物館網走監獄』は行きたい場所のひとつだった。

明治以来使われ続けてきた網走刑務所。
その建築物を文化財として保存公開する為に移築整備された施設。

移築整備と言っても、当時の雰囲気は充分に残されている。
デジカメのシャッタースピードでも写る程の雪量の中、歩を進める。
今回の旅で最大級の吹雪を受けながら雪を踏む。
パウダースノーと氷点下気温の為に服には染み込まないが、
風上に向けた顔面が瞬時に凍る。
 
雪まみれの橋を渡る。
かつてそう思考した罪人達が大勢いたであろう様に、
「もどれないのでは」という意識が忍び込む。

モノクロに近付いてゆく情景は煉瓦づくりの監獄だ。
ほんの数分で心が冷えてくる。
 
玄関では無料にて甘酒がいただけた。雪まみれで冷えた身にありがたい。
場所が場所だけに、罪と罰と救いに思考がいく。

雪の日に来て良かった。

20030029/000871
『道は誰かがつくったもの』
時は明治24年・・・
北海道開拓を進める為、道央圏からオホーツク沿岸を結ぶ道路計画が在った。
総延長約163kmにも及ぶ『北海道中央道路工事』である。

人が踏み入った事も無き原生林・連綿と続く険しい地形群・厳しい気候・・・
環境すべてが工事を阻む難事業に対して、政府は“ある対策”を講じた。

“工事は北海道集治監釧路分監網走囚徒外役所の囚人1200人によって行う”

網走刑務所の前身たる施設から未踏の原野へ駆り出された囚人達。
その道程は博物館内に情景模型としても再現されている。
周辺地形の縮小立体地図も在り、その苦難の道程を想像する手がかりとなる。

『北海道中央道路工事』は数多くの犠牲を出しながらも、
困難な環境にも関わらず短期間にて開通を果たしたという。

・・・そして110年を経た現在。
北海道中央道路は、その後の道北・道東圏の発展に大きな功績を果たし、
国道39号線・333号線として道民の日常生活や観光・流通に広く活用されている。

旅行前の現地情報勉強で知っていた歴史ではあったが、
氷点下の吹雪が吹き荒れる日に訪問できた為により迫るものが在った。

この日、もしも吹雪いていなければ他の場所へ行っていたかも知れなかったのだが。
ならば、その巡り合わせから得られる感覚は獲得してゆこうと思った。

20030430/000872
『鉄の輪と蝋人形』
『博物館網走監獄』館内には、
当時の様々な拘束・緊縛具も展示されている。
 
また、食事や囚人服など当時の資料は数多く展示されており、
来館者は自己の想像力の許す限りに当時を思考する事が出来る。
 
展示施設は敷地内に点在している。
吹雪の中を歩き、当時の『工事用仮設小屋』を再現した場所に入る。
控えられた照明の中、当時を再現した蝋人形群が待つ。
すきま風と雪と風の音の中で、その空間の中で、
自分の時制が瞬時混乱するような貴重な一瞬が在った。


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