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『大作戦日誌』20021101-20021130

20021101/000709
『モーニングテント』
十数年前は、テントを持ってウロウロしていた。
能登半島の先っちょとか瀬戸内海の鬼ヶ島などでテント泊。

キャンプ場でもなんでもない所ばかりだったので、
今にして思えばよくトラブルに巻き込まれなかったものだと思う。
可能性だけを言うのなら、拉致される怖れも無かったとは言えない。

その頃に使っていたテントは、
ホームセンター等で安売りしていたドームテント。
かなりかさばるし重いものだったけれど、数千円の安さを優先。

結局、数回の使用で本体は無事なものの、柱のロッドが折れて
廃棄
グラスファイバー製のロッドは“しなり”には強いものの、
折れてしまったらそうそう修復しても強度が回復できない。
金属パテやアルミテープで補修したものの、結局は折れる。

また、
ロッドはゴム紐で連結されているものを伸展接続して使うのだが、
グラスファイバー製だと一節を長くしなければ強度を保てない様だ。
背負う場合、ザックからロッドがはみ出したり、
背負っているうちに折れたりしないかというのが気になった。
 
今回、久しぶりに買った物のロッドはジュラルミン製。
軽量と強度のバランスが良い為、収納時も短く楽々。

================================================================
ヨーレイカ  ワンウォールテント1
●収納サイズ:約直径13×40cm
●重量:1.8kg
●耐水圧:1.200mm
●生地:ルーフ/40Dナイロンリップ、PUコート、
    フロア/70Dナイロンタフタ、PUコート
●ポール:約直径8.5mmジェラルミン
●ショックコード付き
●1〜2人用
●素早く簡単にセットアップできるワンウォールテントは、
 外フレームにカラビナをセットするだけで自立するシステムです
●天井と両サイドの大きなメッシュパネルは素晴らしい通気性を提供してくれます
●インナーテントは長さ230cmとゆったり設計
●軽量・コンパクトな3シーズンテント  

(カタログより)
================================================================
ヨーレイカ(ユリイカ)と聞けば、アルキメデスを思い出すのも人の常。
元々のギリシャ語発音ではヘウレカとか何処かで読んだ記憶。
「見つけたでぇ〜っ!」「わかったでぇ〜っ!」が適訳か。

13600円もしたけど、デザインと強度と収納・運搬性の良さで納得。
テント本体の収納サイズは、
畳み方の工夫により全長を短くした方がザックに詰めやすい事をユリイカ。
 

20021102/000710
『坊さまホッケー』
経済学教師にして住職という方と知人にならせていただいたり。

様々な方々と接する仕事ゆえ、
肩書きで人格の全てを計る早計は謹んでいる。
されど、
多透自身では持ち得ていない視点で世界を捉えて
言語化できる方と、
会話できる機会を持つ事ができるのは実に面白い。

長年に渡って教師をされていると、色々と気付く事が在るそうだ。
“向学心と理解力の比例関係”が存在するのは当然だが、
成績中間層が希薄化して成績優劣の
両極化が加速し続けているとの事。

経済情勢と校内情勢は経済モデルの比較項としてありがちだが、
近年の不況進行と奇妙に比例している部分を肌で感じておられるそうだ。

どれほどに楽観的推論を当てはめても、
両極化・・・つまりは貧富の差は拡大し、更に日本に蔓延するとの事。


と、解ったような事を書いてはいる多透だが、書けてない部分が大半だ。
上に書いた事程度なら、何処にでも書いてあるし・・・
ちょっと情報量が多すぎて、租借しきれていない部分も多々在る。

経済学部学生にしてアイスホッケー野郎な人とも二次確認的会話が出来、
自分なりに租借できた部分も出てきたので“小説”にも活かせるかもと、
勝手ながらホクホク。

“虚構は現実を侵食する”という事は、近年、実にキリキリと実感中。

逃避領域として虚構を求めるのではなく、
自己を客観視して
推敲できる領域として“物語”創作を機能させたい。

縮小社会として学校を捉える事が可能ならば、
濃縮自己として創作を機能させる事も可能な筈だ。

それが不器用にもなんとか出来始めてきたと思える近日。

なんとか、この実感を加速できないものか。

あとまわしにせず、足踏みしている狭間にも周辺状況を確認収集収拾し、
まず実行に移る。
そういう、機能的
“即時性”を成長させていきたいものだ。


20021103/000711
『亀よりも走れ〜Turtle-High』
よっしゃ! 即時性やぁっ!!
と、浮き足だった多透はテントを出動させる。

10月26日(土)
わりと突発的企画であったので、
今回の行動メンバーは多透&セックスドクターの2名のみ。

つい先日、湯原温泉へ向かった中国自動車道を再度同方向へ進軍。
天気晴朗なれど次第に暗雲たちこめっぱなし。
天気予報は夜から雨!! そして日付が変われば木枯らし1号来襲!!

現代人は人工物に囲まれて危機予知および回避能力が低下していると聞く。
だが、我々の場合は少し異なる意味合いを
持参していた。

根拠の無い楽観その場しのぎの運の良さのらりくらりな多透。
奈良大峰山麓などの難攻地を制覇してきたり【検閲削除】な
過去を持つ為に、
危機を危機として認識する
閾値常人と異なってしまったセックスドクター。
この2人には今回、
少々の天候不順など意識水面に鼻先を出すミドリガメほども無かった。

相変わらず中国道は空いていて快適走行。
山崎インターで降り、我ら北上す。

波賀町・・・それが今回の目的地だ。
氷ノ山国定公園の南方、その山間部に
を見にゆく。

天気予報も小耳に挟んではいたが、時間も我らも止まらない。

「この国で嵐は西方より来る! だが我らの進路は北西っ!!」
「さもありなん! 見よ!雲間から降り来る陽光ベルツ!!」
「つまり! 我らが嵐を追い抜かした証っ!!」
「ぁあ〜綺麗やなぁ」
「ほんに、ほんに」

危機感などヘソ程にも無い2名であった。

この後、50kmほど道を間違えた。

20021104/000712
『予感と森の駅』
時間の流速は相対的だ。
だが、自分の速度を高めようともせずに、
時の流速だけを嘆くような人間になりたくはない。

夕暮れに至る寸前の奇妙な幕間。
日暮れとはまだ呼べない陽光が綺羅々々と右往左往する。
そうして光が昼光とは僅かに異なりながら刻々と変転してゆく。

我々が『フォレストステーション波賀』に到着したのは、
そんな時間の一幕だった。

我々は、事前に幾つかのキャンプ場を候補に上げてはいた。
されど、道を間違って右往左往した果てに、
解りやすく接近していた場を目指したのだ。

ゴーヂャス!!

『フォレストステーション波賀』の印象は、まさにそれであった。
デカい管理棟はそれだけでも宿泊施設として機能。温泉アリ。
ロビーで受付する、と・・・キャンプ1サイト4000円ナリ!!

事前資料では1サイト1000円のキャンプ場もあったので、
ちょっとビビってしまう貧乏症な多透ではあったが、
冷静になってみると1人2000円で場所が使える。・・・ケツ意。

サイト群は綺麗に整備された段々畑のように並んでいた。
駐車スペースとテントスペースは1サイトでも充分に在った。
しかも、水道使用可能な流し台もアリ。
希望ならば電源コンセント付きサイトも在るという。

キャンプと言えばオートキャンプが多数派となりつつある昨今、
ここまで至れり尽くせりなのかと感服する。

脳裏には、
「これはブルジョア的退廃ではないのかッ!? 嗚呼、我は堕落せり!」
と、嘆く精神ボイスも在った。

だが、我々は3600秒も経たないうちに、
此処を選択した事が幸運であった事を身をもって知るのである。

・・・雨が、来た。


20021105/000713
『ナーベリック』
チキチキ千切りされた雨が訪れ始める。
我々はそれを迎える為にテントを張る。
我がテントの
初張りに際し、好機なり。
快晴時の初張りなど、世に
有り余っているではないか!

流石は新型。過去に持っていたものよりも素早く独りで完成。
だが、セックスドクターの
早業には勝てぬ。おそるべし。
そう、我ら今回、おのおののテントを持参。
それは断絶か?個の追認か?

即座に我らは
夕飯体勢に入る。小雨なんぞなにするものぞ!
セックスドクターが慣れたフィンガーテクニックで鍋を用意。
そう、我らの献立は
水炊きなり。
だが、シパシパと本数を増してゆく雨すじに体温を奪われ、
動作が
緩慢怠惰になってゆく多透が居た。

山である。既に気温は都市部のそれではない。

「だが、我ら、火を操るヒトなりっ!」

ソバ・かしわ・白菜・えのき茸・ニラ・タラ・椎茸・・・
コンロの火で
を取りながら煮えるのを待つ者が2人。
多透は100円雨合羽を装着するものの、手先の冷たさは防げぬサダメ。
セックスドクターの上下ゴアテックス装着には勝てぬ。おそるべし。
 
雨はマスマス元気よくなり、地面に敷いた銀色マットに水たまりを作る。
ちべたくて座っていられぬ。

近隣のキャンプ者さん達は皆、
オートキャンプ用の大型テントとターフで
“小屋”を作って快適の様だ。
普通のドームテントを張っているのは我らだけである。

「試練を楽しめるのもヒトの
役得よのぅ」
「ほんにほんに」

快晴時のキャンプ夕飯なんぞ、世に有り余っている。
克己の機会を手放すなんぞ、愚の骨頂。
嗚呼!なんと楽しい夕飯であろうっ!!

雨は我々を
祝福するかのようにザンザン降りに本格化。
日も暮れた宵闇の中、街灯はキャンプ場らしく光量セーブ中。
680円で買った乾電池ランタンだけが大活躍している。
闇と雨と冷気と時の中で我ら、鍋をつつく者なり。

あの
の中で、
あの
の中にどれ程の雨水が溜まり込んでいたのか検討がつかない。
ただ、かたわらに置いたコンビニ小皿がタプタプになっていたのを、
記憶の破片に映すだけである。

時が来れば思い出も消える。涙のように、雨のように・・・

だが、我らは、最後まで食べきった。それだけは忘れえぬ事実だ。

何処かで降る雨は、何処かの虹になる。


20021106/000714
『北風とパッチ』
雨中と夢中に鍋を食べ尽くした我々であった。
だが、食事完了と呼応するかの様に雨雲は通過せり。

「あれが・・・ヤマ場だったか・・・」

我々は、黙々と片付けを行った。
試練を乗り切った爽やかな充実と身の寒さに心身がプルプルした。
ゴアテックスに守られたセックスドクターはともかく、
雨の染みたジーンズが確実に多透の覇気を削ってゆく。

「へぎゃり」

装備の一部を確認しようと、多透が自分のテントを覗いた際、
右足に衝撃が走った。
・・・
水溜まりに爪先を突っ込んでいたのである。

“雪山”“であろうがなかろうが”“濡れた衣服”
“体温”“体力”“削る”“つべたい”“このまま眠ってはイカン”

頑張れシナプス。ぼくらの連想ゲーム。そして青春からまわり。
この混迷思考から抜け出すには、抜本的な脳内景気回復しかない!!
やったる! やったるでぇ!!

濡れた衣服をペッタペタしながら、自販機に向けて駈ける多透。
そう、其処には
アイスの自販機が待ち受けていた。
寒さに負けそうになる気概がイカン。ならば自らも寒さを攻めるッ!
選択のチョコミント。青春の味。いくぜカウンターアタック。
敵のチカラをも活用した
その攻撃力は2倍3倍に・・・

・・・数分後。
自販機コーナーを含むトイレ棟にセックスドクターが訪れた。
「ふはっ!?」
そこでカレが見たものは、白トレーナー白パッチ姿の
ガイだった。
つまり、多透である。

冷気のあまり常軌を逸したのではなく、多透なりの
戦略であった。
トイレ棟とはいえ、ここはゴーヂャスなキャンプ場。
温水シャワーと
コインランドリーが装備されていたのだ。
一軒家なみの広さの中、乾燥機を大活用。嗚呼、我は文明圏に在り。
ただ、値段表の貼り紙に
“硬化専用”と書かれていたので、
警戒してシャワーは使わなかった。
乾燥完了まで30分。
こんな事もあろうかと防寒オプションに持参していた
白パッチが大活躍。
そう、三十路ともなると
ズボン下を粋に着こなす事が求められるのである。
 
だが、既に気温は10度以下。
おびえるチワワの如くプルプルと肉が踊り、舞う。
遠目には全身タイツで暗黒舞踊しているかの様な多透を横目に、
セックスドクターは睡眠前の雪隠を冷静にこなすのであった。

試練など、いつだってやって来る。
即時性をもって行動せねば転がり落ちる局面は、無数に在る。
動いてこそ立つ瀬に辿り着ける。
白パッチとて、時には武器となるのだ。

さいわいにして乾燥完了まで他の来訪者は無し。
キャンプ場の平和は守られた。

20021107/000715
『歩く月光ケン』
衣服乾燥完了。爽快壮快。復活のスキップ・ラン。
過ぎゆく時の
奇妙な密度
未だ
時刻が20時である事に我らは驚愕す。
アインシュタイン語録のサマザマを再認するまでもなく、
時が相対的ならば、自ら密度を
制御できる筈なのだ。

我々はキャンプ場の夜間散歩に出発。
静寂が転がった緩やかな斜面をゆく舗装路を歩く。
天候の事もあってか空きサイトが大半。
夜空を邪魔しないような光量だけの
常夜灯が照らす道。

泊まる者の居ないキャンプ場の奥地へと歩み出した時、
「けんっ!」と破裂音の如きものが聞こえる。
セックスドクターは経験豊富なので冷静に、
「鳥の声やなぁ」と受け止める。
多透だけならば
魑魅魍魎の類を空想するにとどまったやも知れぬ。

キャンプ場の周回歩道から外れるような位置に、
杉群の丘へと登る地道の
遊歩道を発見。
点々と常夜灯が在るのだが、弱々しく足元を照らすのみ。
我らの上半身は、月明かりも届かぬ
森の闇に沈むのみ。

常夜灯が異界の松明のように
“向こう”へと続いている。
少し歴史を遡れば、そして今日においても場所によっては、
森は異界との境界であり世界のエッジであるという事が皮膚で解った。

「昼間やったら、どうという事ない道やろぅになぁ」
「KKKが出てきそうな道やなぁ」

そうして舗装路へと帰還すると、
影絵となった
森の稜線・・・その梢に掛かる月光のフレア
微妙に分光された冷光が
遠い輪郭を視野に浮き彫っている。
それは街の中では見る事の叶わぬ角度だ。

自らのテントに近づく前に、ひと小便。
セックスドクターが便器から弱った
を救出。帰るなら土に還れと。

「輪廻があるとしても、ま、こんな事でイロつけてもらえんけど」
「や、今のんが無かったら、火の鳥が現れて言われてたかも。
 
“ホホホ・・・あなたはミジンコになるのです”
「ま、ミジンコというのも自我がなくてシアワセかも知れん」


20021108/000716
『ファイアテント』
我らは互いのテントを訪問し、
キャンプ場ならではの
空間意識を満喫した。

テントの中で
蝋燭を灯す。
地球の大気組成が安定してから今日に至るまで変わらぬ炎色
テントという限定空間と炎により、内部は快適に暖かだ。

その瞬間、我々は
“テント内で鍋をすりゃ良かった”と気づき愕然。

火の用心は肝心だが、寒冷地ではテント内自炊も日常であろう。
またひとつ賢くなった。

乾電池ランタンは雨でショートしたのか電球切れ。
原始の炎色を見つめつつ、冷静なる低音ヴォイスを発する。
世界情勢とか景気への攻め方とかヱロ話とかを延々とする。

されど、キャンプ場では静けさも共有財産であるし、
隣のサイトには若夫婦と小学生の子供たちが眠りにつく頃でもあるし、
我らはそれぞれの
“仮の家”へと辿り着く。

防寒用に銀色マットは持参していたが、100均で買った薄物。
寝袋は新品ではあるが3シーズン用のもの。
靴下を重ね履き、100均で買ったフリース膝掛けを足先に巻き付ける。
まずは快適となった体感温度の中、眠り始める零時。

何処かで風が鳴っている。
目覚めるとそれは
何処かではなく、取り巻いている世界の全部だ。
寝袋のクチを絞り、鼻とクチだけを出して寝る。ハフー。

地面に寝るのは心地よい。地球に寝るのは心地良い。
ヒトは時折にでも
大地の氣を得ねばならぬと思う。

だが、得た氣と引き替えに体温が刻々と
地球に吸収される実感。
筋肉で熱を発生させようとするが、なかなか追いつかない。
十数分の浅い眠りから寒さで目覚める、幾度も。

先刻、雪山登山家の話を聞いたばかりだ。
テントに降り積もる雪を深夜に掘り起こさねばテントごと埋まる。
その為、
半眠半覚醒で吹雪の夜を乗り越える意志が必要とされる。
自分だけの光景を得る為には代価が必要なのだ。

斯様な話も情報として知ってはいたつもりだったが、
皮膚実感が今この時に在る中での再認は特別だ。
ヒトは冷気の中で
積極的意志を削られるという公理を自身で証明する。

のろのろと起きあがり、暖かい紅茶を求めて寒風の夜の中を自販機へ。
“キンッ”と尖った山の冷気が全身を包む。
やはり、テントの薄い1枚とはいえ、守られていたのだ。

100均で買った温度計は摂氏6度。
装備の差が在るとはいえ、
正月に北海道の氷点下でホワイトアウトした時よりも体感では寒い。

雪山登山家の気概を、身をもって感じる。


20021109/000717
『冷門』
そうしてやはり幾度も、
冷気の中を眠り、冷気に起きる。

午前2時半。
暗闇の中を今度は
独りで歩いてみる。

は杉の梢を越え、雲の彼方でギラついている。
の流れは異様に速い。
沈黙の夜の中で、
今ここに立つ大地確実高速時間宇宙移動している事が解る。

流星を、見る。

考える事が出来る筈だ。考えろ。

人間が、1日に考える事の出来る
思考量には上限が存在すると思う。
自覚や鍛錬により個人差は生じるだろうが、
上限厳然と在る。
無思考や借り物の形骸言葉で
浪費する愚行に抗わねばならない。

考える事が出来る筈だ。考えろ。記憶しろ。

仮の宿たるテントに戻り入り、地の冷気を再認する。
まるで過日の果実の如き冷気だ。

巨大で冷たい檸檬に止まった蛾。 檸檬は高速で投げられたまま。

テントというシェルター。 もしくは宇宙船。
頭の方角から豪風が訪れて止まない。 進んでいるような錯覚。

幾度目か、また外に出る。 歩く。
時間と天体は動きつづけて、もはや月は
天頂に在る。

幾度目か、また外に出る。 歩く。
空は銀紙が燃えたような白。 その一角が流動する煙の如く変転する。
肉眼でのみ感じる事の可能な、赤と青の塵。

朝焼けを、見る。

 
 

20021110/000718
『風々善哉』
我々は、寒い夜を抜けた。
キャンプと言えばコンロでコーヒー。
多透は100均で買ったコッヘルもどきで飲んだので希薄味。
されど毒物でもなければキャンプ地での美味感を損なえはしない。
充実なり。
 
天気晴朗なれど強風は変わらず。
飛ばされそうなテントを迅速に畳む。指先に風の重み。

グライダーは、
1メートル高度が落ちる間に数十メートル進む事も可能と聞く。
風力で飛行するという原理を如実に体感する。
ミュンヒハウゼン伯爵が冒険譚の中で、
烈風を利用して帆船を月面まで飛翔させた一節を思い出す程に。

風は地球機構の中を必ず何処かで吹いているのに、
自分はどうして風の中を過ぎれば風を忘れるのか。

明日は明日の風が吹くのだろうし、
ちょいと日常の道順を変えただけで知らない風景は巡り来るのだろう。

とりあえずは、
風化せざるものを積み上げてゆくしかない。

 

20021111/000719
『ノーネームマシーン』
風の中から車内に入ると異様に暖かい。

気流と体感温度の相関を再認しながら、
セックスドクターのスーパーカーが発進する。
 
ニガヨモギに似た車体色に基づき、
『チェルノブイリ号』と多透は呼称したいのだが車主は却下。

ドーゼオーバーズの超重要メンバーである、
コードネーム
“メランコリックネイバー”(憂鬱な隣人)氏が、
學生時代に乗り回しておられたスーパーカーは、
その淀んだ色彩から
『よどむ君』と呼称されていたとゆう。

セックスドクターとしてはコレを越える名称を目指したいとの事。

未だ他の滞在者が移動を始めていないキャンプ場を後に、
我々は次なる巡礼地へ向かった。

池の鴨だけが波紋で送ってくれた。
風に揺れる杉群の縁から、濃密な青空が見える。

名は車を支配するとフォードは言った・・・かどうかは知らないが、
我々は
未だ名前の無い車で仮の宿を後にした。


20021112/000720
『気付かない天秤』
原不動滝は、兵庫県穴粟郡波賀町原に在る。
キャンプ場『フォレストステーション波賀』から車で10分ほど。
滝への入口には
『原不動滝公園キャンプ場』が在り、
ここならテント1張り1000円+入園料200円と安価に宿泊できる。

川沿いに整地されたテントサイト。
ジャングルジムの様な遊具、屋根付きのバーベキューサイトも在る。
山あいと言うよりは
山に覆い被さられるような地形で、
水道も利用できるのは好感。
多透は結構気に入ってしまったので、いつか泊まりたい決意。

されど、当日に目撃できたテントは僅か2張り。
先日夕刻の雨で撤退された方も居られたのではと想像。
 
乾燥機に助けられた記憶も新鮮な今、
雨と冷気の中をコチラで泊まっていたら、
更に生存性能を試されていた事は明白。
前日、道を間違えた事が
幸運のギッコンバッタンを傾けたのか。

後になって身の幸運を思う事は多々あるけれど。
“あの時、道に迷っていなかったら?”などと、
見えなかった幸運に気付く瞬間は趣深い。

人の恩にも、そういう面が在る。
 

20021113/000721
『動く水・佇む火』
原不動滝は、言い換えれば“原”という地名に在る不動滝。
 
全国各地に
“不動滝”の名を持つ滝は多々在る。
また、そう呼ばれていなくとも、側に不動明王を祀っている滝は多い。

“なーまくさーまんだーば さらなんかん”
“カーン”


不動明王は老若男女や宗派を問わず信ずる人の心の内に住み、
加護し利益を与えてくれるという。
神仏代表たる
大日如来の化身。

本年に多透が訪れた滝も多くがそうだった。
奈良の“不動窟”や出雲の立久恵峡の滝それぞれに、
不動明王との組み合わせが印象的だったと記憶。

陰陽五行論を持ち出さずとも、
滝の在るような地だからこそ、火と水の災害は絶対に避けねばならない。

水と火の
和合として古来から定例だったのであろうか?

思考解として納得を脳内に置きながら、
流れ来る水佇む仏像を包む膨大な時間と思いの蓄積・・・
その把握納得できないからこそ趣深い物事を楽しむ。
 

20021114/000722
『橋はひとりで』
午前8時前。
人影の無い道をゆこうとすると管理人の男性に出会う。
先に在る料金所には未だ人が居ないだろうから、
入園料を入れておいてほしいとの事。

手に持ったホウキから、毎日の清掃に取り組んでおられる事が解る。
竹筒で出来た料金箱に200円を入れて進むと、其処は既に峡谷だ。

吊り橋を渡り、眼下の沢を眺める。木々と水の輻輳を感じる。
 
紅葉には未だ早く、僅かに色づいた幾つかの枝を確認するだけだ。
今年も、夏の道を沢山歩いてきたので、気がつけば
蝉の声を探している。
此処も今すこし時が過ぎれば雪の白に染められるだろうに。

四季の在る国に住んでいて面白いのは、
ひとつの風景に
“想像の時間”を投影できる事だ。
子供の頃から多くの大人に同様の事を言われてはいたが、
その実感に至るまでに
随分と歴史が要ったものだ。

せっかくの朝。
その
静寂の狭間を楽しむ為に、
我々は
距離を置いて互いの姿が見えない誤差で歩く。

まぁ、そう心構えをするとかしないとか以前に、
野郎ふたりで並んで観光というのもナニだし。
 

20021115/000723
『つりばしわたれ』
旅先での距離感は難しいし重要だし面白い。

多透の場合、
普段の仕事では周囲に絶えず誰かが居る状況のせいか、
ただっぴろい所に立つと新鮮な面白さを感じる。

そんな事を話していると・・・
“パーソナルスペース”とかの心理学用語を、
カケラだけ聞きかじった人に単純解釈された事も在るけれど。

他者との交流が負担な訳ではなく、
広さの中の独りだけを望んでいるのでも無いと思う。

人間という社会的動物を二分法で語るのは幼稚な視点観だ。
求めるべきはバランスであり、均衡から生じる心地よさだ。

引きこもってしまった人が、
異口同音に「このままがいちばんいい」というのを実際に幾度も聞いた。

ちいさなテリトリーで得心でき安息を年老いても続けられるのならば、
それはそれで幸福なのだろう。
だが、多くの場合それは不可能だ。


視点を梗塞させる事なく、広さを楽しめてゆければと自分に思う。

20021116/000724
『マントレイン』
昨今、各鉄道会社が続々と“女性専用車両”を導入している。
満員電車で通勤した年月がある身としても、
性犯罪や痴漢冤罪の防止という目的は納得できる。

しかし、それはそれとして、別視点で“女性専用車両”を見た場合、
“男性専用車両”という言葉が浮かんでくる。

結論から述べると“男性専用車両”をあえて設ける必要は無いし、
“女性専用車両”が運行された場合、
良くも悪くも
自然発生的に出現する頻度は増すだろう。

すこし、想像してみる。

エドワード・ホールの近接心理学(Proxemics)を出してこなくとも、
男性より女性のほうが私有空間(PersonalSpace)は小さくて済む。
電車内での化粧が可能なのもその現れだろう。
“女性専用車両”という空間内では、
多少の混雑があっても平穏な雰囲気が保てるのではと考えられる。

専用車両の運行が円滑にすすめばすすむ程、
自然発生的“男性専用車両”の出現率も上昇し、
その車内は
ギスギスしてゆく事が考えられる。

緩衝役であった女性は視界内に居らず、
生理的・精神的な圧迫感だけが充満する
“男列車”・・・
・・・つらい・・・

男というイキモノは、好むと好まざる望むと望まざるに関わらず、
自己の
独立心を向上させたり抑圧したり諦めたりしていかねばならない。
それは女でも同様だが、
社会的風潮においてまだまだ男の側に独立心はより多く求められたり、
独立心を求められたい男は絶える事はないだろう。

30代・40代の働き盛りには、最も独立心が求められると聞く。

出勤時に
“男列車”内の企業戦士が意気を削がれる蓄積により、
不況が後押しされない事を祈るばかりだ。


20021117/000725
『色ツボ』
今回の旅における同行者であるセックスドクターは、
同行者としても面白い。

一見ぼーっとしている様に見えて実際ぼーっとしている所も在るのだが、
その実、
的確な距離感を持っているので旅先でずるずるべったりという事が無い。

男女それぞれへの距離感を、
的確かつ天然にコントロール出来ているからこそ、
セックスドクターとしての行動も出来ているのかと、自然と解る。

うぬむ、おそるべし。

20021118/000726
『原不動滝』
料金所の門をくぐり、吊り橋を渡り、遊歩道を登る。
   
“橋”と“坂道”という存在は、予感や期待や前哨を想起させる。
それらは、良き旅の中に在れば在る程に魅力的になる。

“滝”という存在も、
旅の中における到達点のひとつとして実に光を放つ。
   
多くの滝は、山道を長き時間を代価にせねば辿り着けない。
それ故に魅力的であり、それゆえに辿り着く価値も増す。
   
原不動滝は、駐車場から僅か十分たらずで辿り着ける。
実際に行ってみもせずに、
道のりが簡便容易だから俗物だと安易に得心する年頃でもないし。
容易ならば容易で、それを楽しめば良いのだという単純解。

滝の展望台を兼ねた橋が在る。滝見台だ。
ゆく歩みに連れて、段々と滝の姿が近づいてくる。
橋の一端は行き止まり。
そして其処までゆくと滝の全景が視界を支配してくる。

滝を見る者の多くは、その高所から尽きぬ水量の不思議に思い至る。
   

20021119/000727
『時間採集者』
滝が在る風景というのは、何処かが異質だ。

原不動滝の場合、
断崖から巡り来る豊富な水量と原生林の時間の対比に因を見る。

三段の岩壁を流れ来る88メートルの滝。
ふたつの川から来て、ひとつの滝壺に収束する水量の豊富。
岩の表面を渡る水が含んだ空気の蒼白。

ブナとカエデの積層された葉群の存在。紅葉の盛りを想像する。
おそらくは風雨によるものだろう、折れながら立ちつつ枯れた木も在る。

その、含んでいる時間の誤差。
時間流速の距離感。

デジタルカメラの液晶画面に、空間固定された枯葉が映る。
その、何もない浮遊。
その、時間を採集できたのではないかという高揚。

あとで見てみると、その鮮烈は露ほども再認できない。

行き止まりの滝見台から引き返す。
つまるところ、
自分の時間と距離の中を即時性をもってゆくしかない。


20021120/000728
『白の新型』
11月6日に発売された新型iBookを買う。
今まで使っていた『iBook 600 12.1/640MB/15G/DVD』(2002版)から、
『iBook 800 12.1/640MB/20G/combo』(2003版)へ。

定価159000円のトコロを限定特価144000円のを発見購入。

今までのはなんとか8万円ぐらいで買ってもらえる予定。
数年前に使っていたモノクロ液晶PowerBookが、
買い取り値段表で500円とかになってしまっている事を考える、と。
旬の時に素早く買い換えるのも経験のひとつか、と。

12.1インチ液晶画面のiBookに関しては、
堅牢・軽量・コンパクトなどなど、取り回しに満足していたし。
サイズが同寸なので、
オプションで装着していたジュラルミンカバーも移植可能。
そもそも、機体ロゴぐらいしか外見に差は無いので、
フタ閉めた状態で2メートル離れて50回転もすれば、
もぉ、どっちがどっちやら・・・・・

そろそろOS-Xに乗り換えようと思っていたものの、
2002版では微妙な待たされ感の在る動作が気に入らず。OS-9のまま。
2003版のOS-X動作は、
開発コードネーム“Jaguar”としてバージョンアップした威力と、
CPU速度向上に伴って体感快適。
時折、ダブルクリック後にコンマ何秒か待たされるものの、
メモリー増設で改善&順応中。
 →→→ 
OS-9でもOS-Xでも、逐一高速化が感じられるのが嬉しい。
今まで同様、速度にも慣れてしまうのだろうけれど。


20021121/000729
『笑う白の情熱伝達儀式』
単純気楽にダブルiBookを並べて嬉しがる深夜の所行。

クロスケーブルで単純ネットワーク組んでデータ転送。
流石は直結。早い早い。

こぅ・・・新しい戦士へ、チカラと記憶の伝達とゆう、
オタク的に燃えねばならぬシチュエーションでもある。
心情フィルターでは激烈な火花を散らしてデータ伝達していただきたい。

と、快調に進行した機種交代ではあるが、
旧機体が突然に機嫌を損ねる。

トラックパッドが反応しない。認識すらされていない様子。
全面初期化してシステム再インストールしても反応なし。
もしや断線!?

うぬむ。いたしかたない。

東北・北海道・有明・徳島・出雲・和歌山・名古屋・・・
様々な場所にて活躍同行してくれた機体を送り出すにあたり、
故障したままでは義理が立たぬ!(そもそも買ってもらえない)

ギリギリ保証期間で、ひと安心。

20021122/000730
『バンバン建築』
大阪府堺市茶山台1-9-1にある『ビッグバン』へ。
鉄道だと南海電鉄の和泉中央から徒歩数分。

大阪府立大型児童館の肩書を持つだけあって、
科学館としては物足りないがソレを言うのは筋違いだろう。
 
松本零士が館長という事で、そこはかとなく内装に松本色が。
こういう未来メカ風味内装を各地で拝見して思うのは、
“ちょっと気が抜けてしまっちゃった部分”が意外と目立つという事。
予算も実作業も知らない素人が言うのもナニだが、
“あと一歩感”を惜しく思うのは大人でも子供でも同じだと思う。

↑↑(こんな感じで少し間延びしちゃったトコとか)
あと、せっかくの機会なのに
松本メーターが見あたらないとか。
 
されど、
スロープを多用した無段差構造とか点字表示とかの心遣いはキチンと感。
平成11年開館という時代にあった設計が当たり前に出来ているのは流石。

たまたまそういう事に興味の存る身だから思うのではなく、
バリアフリーを謳っておきながら、
素人目にも“かなり気が抜けてる部分”を持つ施設は仰山ある。

某有名建築家のチームで活躍する知人の苦労話によると、
公共施設での低予算と施工期間の短さは異様な程だそうな。

そんな中でも、当たり前の事が当たり前に出来ていて、
注意して見ないと解らない程の結実を見るのは楽しく嬉しい。


20021123/000731
『トムとジェフリー』
『STARTREK』シリーズの定番展開のひとつにこんなのが在る。

航宙艦や基地が敵に制圧されたり故障したり遭難したりとにかく
危機!
レギュラーメンバーの1人がジェフリー管“Jefferies tube”に入って、
配管修理したり回路にバイパス作ったり奇襲したりで
逆転解決ッ!!
ありがとう
ジェフリー管! そなえあれば憂い無し!!

ちなみに、ジェフリー管とは艦内整備用通路。
重力制御が出来ている『STARTREK』世界では、
タテヨコナナメ移動可能なエレベーターな“ターボリフト”が在るのだが、
それが使用不能な事態における非常通路にもなる。
省スペースが要求される宇宙施設らしく、とにかく細くて狭くて長い。
あっちこっちにハッチとかハシゴとかが在る。
 
・・・で。
話を『ビッグバン』に戻すと、此処には
“遊具の塔”と呼称される施設が。
地上高53メートルを誇る硝子張りの塔内部が、
4つのフロアを縦に貫く
巨大ジャングルジムになっているのだ。

“遊具の塔”入り口で、子供は簡易ヘルメットを借りられるが大人は無し。
無論、大人ヘルメット無しでも危険な印象は無い。
されど、通路幅が子供用なので、とにかく細くて狭くて長い。

順路が在るので迷う心配は無いし、どの階からも階段でショートカット可。

無論、挑んでみた。
右往左往しながら狭い中を上下動していると、ちょっと汗ばめる。
 
使用可能体格範囲には限界が在るものの、
かなり、『STARTREK』ごっこが味わえる施設と言えようッ!!

20021124/000732
『船長の耳は!』
『ビッグバン』のイメージキャラクターも松本零士デザイン。

ちなみに“ベアル”は船長である。
やんごとなきイウォークな印象も在るが、
実は彼らの種族自体がネコ耳ふわふわ毛なのだ。

“メロウ”も頭巾で隠しているがネコ耳である。

“ベアル”は300円で観られる短編映画の中で、
『STARTREK』の
カーク船長ボイスで喋りつつ操艦手腕を見せてくれる。

実物大(?)像の造形にイロイロと思う事があった。
が、
通りすがりの幼稚園児風味男子が
「めっちゃ美人やなぁ」と感嘆するのを目撃。
やはりそれはそれで正解なのかも知れぬ。


20021125/000733
『ロケット人妻』
向井千秋さん着用済の宇宙船内服。
やはり、
妻をめとらば宇宙飛行士か。
旦那さんの著書
『女房が宇宙を飛んだ』は凄いタイトルだ。
  
H2-Aロケットの本物エンジンも展示されている。
フロリダで見たサターンロケットや、
北九州スペースワールドで見たシャトルの物と、記憶検討する。
大きさは勿論の事、微妙に印象が異なるのはMaidInJAPANのせいか。
  
ノズル上部の制御機器群から、繊細な感じを受ける。
国産の身びいき感も在るのかも知れないが。

それでも、
繊細さを通り越して脆弱な印象も受ける配管群には、
軽量化を限界まで追求した凄みが在る。
 
軽くすれば脆くなり丈夫にしようとすれば重くなる。
意識であろうが機械であろうが、その理の中に在る。
 

20021126/000734
『ジオラマになった王様』
『ビッグバン』の内部には、
昭和30年代の町並みを再現したフロアも在る。
故意に照明を赤淡く照らされた
実物大模型は、
幻想のリアリティの中で建っている。
 
その頃にはまだ産まれていなかった多透なれど、
記憶の中に在る昭和40年代と重なる色彩の中に、郷愁を見てしまう。

その“場”は、
よく見ようとすればする程に、
本物では決してないのだけれど。
その大きさ故に、其処に立てば同時に記憶を見てしまうカラクリだ。
 
同様の
“郷愁施設”が増えてきていると思える昨今。
高度経済成長期への郷愁や憧憬を論じるのは容易い。
 
オタクフィールドだけではなく、懐古は市場論理に組み込み済。

けれど、
憧憬を獲得しようとすればする程に現在から認識が逃げてしまう。

夏の道で
“逃げ水”を追いかけるのに夢中になる時、
自分の足下を意識の外へ置いてしまう様に。

結局、認識し続けようとすれば考え続けるしかないのだろう。
視覚だけで夢中になっていれば、書き割りの様な満足は在るけれど。
 
・・・とかなんとか思いながらも、
こういう疑似郷愁が面白いのも確か。

近場行動圏内にも幾つか在るので、そのうち巡ってみよう。
 

20021127/000735
『青ふぉん』
展示には、昭和30年当時の電話ボックスも在った。

育った40年代をよく思い出してみると、
自分の町に、この形式の電話ボックスは既に無かったように思う。

タバコ屋の赤電話は記憶に在っても、
青電話は日常に無かった。

お母ん郷里のジジイハウスは共同回線で、
電話番号は個々に在っても近所が電話中だと回線不足で繋がらなかった。

物心つく前から家に電話は在ったけれど。

30年代を暮らしてきた70歳代は知人に多いので尋ねてみる。
地区ごとに回線整備が進んではいたが、
下水整備と同様に順番がまわって来るまではナカナカだったとか。
警察官宅といえども早く電話が設置される訳ではなかった為、
緊急時には近所の交番から深夜といえども走って起こしに来たそうな。

20021128/000736
『師走に私走』
『WHF』の来年の日程を見たら、神戸はやはり黄金週間に。
夏の日程は過去同様に仕事関連のイベントに重なるだろうし。

時間的余裕はまだあるものの、
少々停滞していた原型仕上げをスパート中。


そしてありがたい事に、当日版権の許可がいただけたので。



『マップス』からの
『リプミラ』は約16cmサイズ。
予価4000円。販売数5。レジン製組み立てキット。

『鋼鉄の狩人』は今年初めのキットを改修したもの。約10cmサイズ。
予価2500円。販売数5。レジン製組み立てキット。

と、なります。
見ていただけるだけでも嬉しいので、なにとぞ。


20021129/000737
『水辺の二重螺旋』
11月23日は色々とウロついた後、
少々久しぶりに新今宮の『スパワールド』へ。

祝日の昼、まずまずの人の入りだが広いので楽々。

色々と辛酸っぱい思ひ出の在る日付でもあるので、
上階のプールで2時間ほど泳ぎまくり。

後、
水着着用温泉のバーデーゾーンもあるので、だらりと。

そうすると目の前の湯に、するりと入って来る美女2名。
色違いのビキニ着用のツインズの登場。
 
故あって声は掛けられぬサダメなれど。
美形かつ好みのスレンダー体型。推定21歳。
なにやらはんなりとおとなしい雰囲気。眼福眼福。

それで双子美人姉妹だと人生無敵だろうと思うのだが、
連休の初日に2人で『スパワールド』とは渋い。
仲良きことは美しきこと哉。

前夜に深夜再放送ドラマ枠にて、
『トリック』の双子ネタ編を見たばかりだったので、
更に趣深き。
 
ウチに帰還した後、
1週間後の12月初日から入場料1000円キャンペーンなのを知る。
忘年会と絡めて再度入浴かも。


20021130/000738
『宇宙オルファ』
職場エアコンの室外機を掃除していると、
機体の下に
ヱロマンガ単行本を発見。

何者かが廃棄していった様子のカバー無し。

80年代末期の、今となっては
少し切ない絵柄


「はて、面妖な」

枯葉と共にビニル袋に入れようとした本の内部に違和感。
奇妙な切り抜きを視認。

なにやら憧れの美少女先輩が、
最後のセーラー服な季節なままに振り返り、
浪人寸前の主人公に向かって「がんばってね・・・」な、ひとコマ。

台詞と吹き出しと背景は残っているのに、
その彼女の絵だけが
繊細なカッターワークで切り抜かれているのだ。

ストーリーテラーを目指す者のタシナミとして、
“そうするに至った推定若者の状況と心境”を綿密に5通り推測してみる。

ちょっぴり切ないキモチになりつつ、
宇宙人のせいにする。
恒星間飛行の無駄遣いとはこの事か。



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