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『大作戦日誌』20020101-20020131 |
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『フライング謹賀新年』20020101/000401
珍念あけまして御目出とう御座います。
2001年は、言うなれば“モジャッパー”という感じな為、
2002年は、言うなれば“マッヒャウー”という感じたれ。
このサイトが在るのも、
来訪してくださる皆様が在るおかげです。
本年もよろしくお引き回しのほどを。
元旦
【今年の目標】
『ちゃんとしよう』 |
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『帰還新年』20020102/000402
さて、これを書いているのは1月5日だったりするのですが。
元旦から、3泊4日フラフラひとり旅に出てました。
当てずっぽうの概算では、
だいたいの移動距離総計4000キロぐらいですか。
昨晩、終電になんとか間に合い、
なにくわぬ顔で帰ってまいりました。
まずは生存報告まで。
早速、今日から仕事始めなので、
まずは目の前の書類束をなんとかしてしまいますぅ。
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『ゴッドぽんぽん』20020103/000403
いきなり、ぽんぽん痛い。
だが、ぷらぷらと旅をしていたせいで、
仕事やら用事が仰山と迎えてくれている。
まずは、月例の書類業務をこなしつつ、
『WHF神戸11』に向けての版権申請用写真を。
ぃや、その前に、写真を撮れる状態まで組み上げを。
(許可がおりるかどうかは別問題)
・・・せんでいい事までしてしまった為、
ぎりぎりの郵送となる。
今年は、ゆとりを持った行動をしよう。
だが、僅か7日間でもこれである。
それもこれも、この原因不明の腹痛が敵。
便秘は元々なったことない人間なので、それではなかろう。
雪国をプラプラしてるうちはなんともなかったのに、
大阪に帰ってきて風邪をひいたか?
せっかくだから、と、
大阪では見かけないペプシ社謹製のガラナコーラを、
4日間で総計2リットルほど飲んだのがイケなかったのか?
ちょいと、ガラナの薬効について調べてみる・・・
精神覚醒、疲労回復、スタミナ増強、血管拡張、肥満解消・・・
まぁ、どぉせ清涼飲料に含まれてる分量なんて知れてるし。
なんか、炭酸のほうがキツい味だったし。
調子に乗って、雪を喰いすぎたのがイカンかったのんか?
だが、それでは、帰還後1日経ってからというのが納得いかん。
やはり、古文書に在る通り、“雪は3日後に来る”のか?
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『雪を見た白いヤツ』20020104/000404
唐突に腹痛から回復。
やはり、ちょっとした風邪だったのかもしれない。
氷点下紀行を記したいところだが、データ移行がまだしばし。
データと言えば、新型『i-Book』&『iMac』が公示開始。
新『iMac』の人相は、デスクtop機を机の横などに置いて、
液晶モニターとキーボードだけを前面にしている人には、
さして新鮮味を感じさせないかもしれない。
でも、店頭でモニター部分をクニクニと動かしてみたい。
また、あの風貌ならば、
小脇に挟んで海辺を闊歩するのもナウイといえるだろう。
渚の視線が集中線になるのが予言できるゼ。
新『i-Book』、負け惜しみを言いたいところだが・・・
モニターの大型化はそそられるものの、
他部分の変更が特にないので、買い換えはしないだろう多分。
や、買い換えするにも結構金額がかさむのが現状だし。
現行機種値下げに関しても、
既にその値段程度でメモリ増設ができていると思案し、
それもまた負け惜しみだと気づく日々。
手にした道具を使いこなしてこそ吉。
新型であろうバッテリーの持続時間が延びているのは羨ましい。
現行型カタログデータの5時間は、実質4時間と言っていい。
困る長さではないが、充電基地が無いとただの荷物になるし。
今回の旅行で実感したが、
グレー階調にするとバッテリー持続時間が1時間近く延びる。
文章入力中心の使用だと問題ないので嬉しい発見。
スリープ状態からの復活も早いので、旅行用として満足な感じ。
雪景色を見ながら、白いフタを開けるのもまた良し。
『i-Book』に限らず、A4サイズのノートパソコンは、
持ち出しに適してるなぁと実感した今回の旅でした。
いつの日か、空に!地中に!木星とかに!
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『知らないから雪国』20020105/000405
【1月1日】(1)
2002年の僕に、何が出来るのかは解らない。
2002年の僕が、何処に行けるのか解らない。
でも、まぁ、寒いと何物にも消極的になる性癖なので。
ここはひとつ、正月休みを利用して、
北日本へ向かってみる事にした。
元旦の朝、7時から11時まで仮眠。
近所の神社に初詣。
巫女さんから絵馬とおみくじを、
おっちゃんから破魔矢をいただく。
『WHF神戸11』に向け、
ガレージキット原型の型取りを少々。
再び帰ってくる頃にはシリコーンも硬化してくれてるだろう。
旅装備、最終確認。
『銀河鉄道999』冒頭で、メーテルは言った。
「本当の旅人(トラベラー)とは荷物を持たないものよ」
信念は無いのだが、楽ちんではありたい。
今回の旅は移動の連続になるので、荷物は極力少なく。
i-Book、筆記用具、着替え、防寒補助具・・・そのぐらいか。
仕事柄、いろいろな都道府県出身の方々と会える機会が在る。
雪国から大阪に来られたり雪山登山家の方々も周囲に多い。
いろいろと予習させていただく。
「カッコつけずに長靴はいたほうがいいよ。
足首冷えると全身冷えるから。下手したら凍傷だし。
町はともかく、雪道で運動靴は役に立たへんよ。」
なるほど。
『靴のヒラキ』の通販で長靴購入。3980円。
最近の長靴は辛くないデザインだ。なにより、ぬくい。
しかし、内部に毛のはえた靴を履くのは何年ぶりだろう?
「海辺に行くなら、目出し帽が要るな。
口元が冷えたら、息苦しくて動きが鈍くなるから」
少々ビビリながら、釣具屋で目出し帽を購入。500円。
フル装備状態だと、大阪ではかなり不審人物っぽい。
とりあえず、鏡の前でポーズをとると、戦闘員っぽい。
見るからに雑魚だ。
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『知らない心を同伴に』20020106/000406
【1月1日】(2)
そうして、今はまだ使わないでいい防寒具をザックに詰めて、
JR天王寺駅前に向かう。
でも、実質は向かい側の近鉄百貨店。
店舗側シャッターの閉まった待合所では、まだ十数名。
まだ19時台だというのに、外界の照明は適度に少なく、
旅立ちの昂揚に一役買ってくれる。
他路線の長距離バスが、ゆるやかに入ってきては出てゆく。
長距離バスは、やはりこの“待つ時間”も料金分の楽しみだ。
恋人と共に待つのも、ひとりで時を待つのも、
旅への昂揚を忘れないコツさえ自覚していれば、きっと楽しい。
それはさておき、
「ぅむ、ご不浄にでも」と近鉄百貨店の2階に上る。
バス内部にはトイレも装備されているのだが、
今回の席は3列ある中の左側だ。
中央と右列の間より、中央と左列の席間は狭い為、
立ち座りは少々周囲に気を遣う。
事前に膀胱対処ができていれば、それもまた良し。
エスカレーターを上ると、
男性用は閉まったシャッターに囲まれたその彼方。
まるでもう会えない誰かのように遠いことだよ。
女子用は、すぐそばに在るのだが。
そうすると、面白い事に、
各々のリラックスポーズでトイレ付近に待機するカップル数組。
彼女や婦人“公認”で同伴にて突入し用を足す模様。
なんだか妙に得心してしまい、尿意が霧散。
揮発?
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『ブロンドバス作戦』20020107/000407
【1月1日】(3)
車内には、茶とコーヒーのセルフサービスも在るが、
右列中央部に設置されている為、トイレと同様、使用を控える。
ペットボトルのポカリとコーラ。自分なりのバス定番。
20:00出発の『フォレスト号』が来訪。
i-Book以外の荷物を車体トランクに入れてもらう。
手書きメモ以外の記録装置を手にしてゆくのは初めてだ。
活かしたい気も在り、
活かしすぎて見る景色が少なくなる心配も在り。移り気な恋のように。
が。
車体が動き出し、そこは大阪のツギハギと曲がり角だらけの道。
電脳の設定をいじってるだけで脳天が痛くなってきた。
考えてみれば、
12月に入ってから4時間以上の連続睡眠をとっていない。
「知恵と勇気で振動を制御すればッ!」と、
腰を浮かせて“空気椅子”作戦をとってみる新年。
・・・だめだっ! やはりダンサーには向いてない!!
・・・仮眠。
2時間近くウトウトすると、なんか、脳天スッキリ。
ほど良く冷えた硝子窓の妖精さんのオカゲか。
京都にて、全員乗車。
すぐ後ろの席に異人さんのカップル着席。
老け顔だが、きっとまだ三十路前半だろう。
女性のほうは、栗色の巨大かつ荒っぽい三つ編みが良し。
米国の田舎舞台な映画が好きなせいか、そういう風味に弱い。
が、男のほうはメガネの奥に疲れた瞳がワイルドに。
ぅぁ。なんか、ジョンとヨーコのようだ。
もしや憑きもの&生き霊さん達なのかも知れぬ。
わざわざこのバスに乗ってるリアリティとか必然性とか、
2ミリも無いのにドギマギする。
サ、サイン・・・もらっちゃおぅかナ? 恋とか、しながら。
それから2人は、早口イングリッシュで何やら話してる。
苛烈なまでに口惜しい事に、脳内翻訳できない。
だが。
・・・レデーから、チラリと聞き取れる単語、が。
「あいぶっく・・・ククク」
・・・・・・・・・・・・狩られる?!
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『アイツの秘密はコードレス』20020108/000408
【1月1日】(4)
バス車中で、
そうこうしているうちに、ポコリと眠気から回復。
しかし、i-Bookがスリープしてくれなくなる。
今年最初の機械の反乱。旅立ちの直後にコレかっ!
ほんのちょぴっとでもバッテリーを長く動かそうと、
機能拡張設定を削りすぎたのがいけなかったようだ。
昔話の欲深爺さんになるかどうか運命の分かれ道。
調整を試みるが、遂に、起動はするが作業不能になる。
ぇえぃ。ここで動かなくなっては持ってきた甲斐がっ!
使えない箱と旅するか?動く箱と旅するか?押絵と旅するか?
嗚呼、誰が知ろう!元日の夜をゆく長距離バス乗客の困惑を!
あわてるな。旅の自己責任とは努力する責任も伴うもの。
旅の中だからこそ見いだせる選択肢もまた在る筈の日々。
どうしても動かないなら、旅先でMac販売店を発見し、
頼み込んでシステムディスクを借りるのも旅の一興なり。
ぃや、もしやもしやにもしやすると、
雪の降りしきるストリートで謎の美女が手渡してくれるコード。
言葉は要らない。ビビビのビ。ふたりをつなぐUSB。
・・・ぅむ。
それまでに、自己努力はしよう。人事を尽くしてラブラブを待つ。
【オプション】キーを押しながら再起動。ブー!
【コントロール】キーを押しながら再起動。ブー!
【タブ】キーを押しながら再起動。ブー!
【ヌ】キーを押しながら再起動。ブー!
【シフト】キーを押しながら立ち上げ。ビンゴ!
機能拡張セットをリセットして、リカバリー完了。ラッキー。
再起動の連発で、少々バッテリーを消費したようだが、まぁいいや。
あとは、未来から来た謎の美女を待つだけなのだが、
長距離バスはまだ彦根までも達していなかったりするのである。
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『Call me SNAKE』20020109/000409
【1月1日】(5)
高速に入り、安定走行になったので、電脳執筆再開。
それにしても、標準で付いてくる日本語変換システム『ことえり』、
強化されたらしいが、まだまだ辛い。
結局、『ATOK13』に帰還。
最初に“あとーく”と読んでしもたので、脳内呼称もソレ。
車内テレビ受信は不安定になるということでビデオが上映される。
つまり、テレビ電波よりも速く走るのだろうか?
(おそい)なめくじ→電波→バス→スピードブレイカー(はやい)
音声はお馴染みシンプルヘッドホンで。
『007』でコレを武器にしてた、
強いんだかヘボいんだか解らん敵が居たなぁ。劇場で観たなぁ。
映画開始。
大仰そうな雰囲気と共に、いろいろと始まる。
“アダムプロジェクト”という組織的秘密計画により、
育成されてゆく強化兵士・・・
「ん?『ユニバーサルソルジャー』こんな出だしやったっけ?」
自分の記憶が信用できないまま、
新年早々マッチョどつきあいを見るのもまた良しか・・・
ぁあいう“大仰に始まるものの最後どつきあい決着”映画って、
定番に見えても“もはやそれしか受け付けない”方とか居そう。
“科學VS肉”の映画と恋心は尽きる事なし。
そうこうしているうちに、バス車中の小さいモニターで、
映画の主人公は冒頭数分で40年近く歳とってゆく模様。
・・・なんなのだろう、これは。
主人公の名は“トッド”か。 チガウ! ジャンぢゃない!
・・・ドッギャーン!!
ぁあッ!
数分前は美少年だった主人公が、
突然、カート・ラッセルにっ!!
カート・ラッセルといえば、
『バックドラフト』の兄貴役を挙げる方が多い時代かも。
しかし、B級SF好きなら間違いなく、あの男の名をクチにする。
・・・その男、スネーク・プリスケン。
『ニューヨーク1997』『エスケープ・フロム・L.A.』2部作は、
いつか時間が手のひらからこぼれるような日々が来た時にでも、
『個人的B級SF大連発ビデオ上映による近未来展望の集い』として、
コタツでゴロゴロしながら流し観たいラインナップに混入済だ。
でも、
タイトルは、単なる『ソルジャー』だった。
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『リストラッセル』20020110/000410
【1月1日】(6)
映画『ソルジャー』の既存記憶を探ってみる。
そうか。
マイフェイバリットシネマである『ブレードランナー』の、
スタッフ&脚本家によるなんたらというキャッチフレーズ。
いつか観よう観ようの忘れ草。
でも映画のナカミは・・・ぇえと、リストラ逆襲もの・・・
使えるものは簡単に捨てるなとかそういうテーマかと・・・
ハイ、美術は良かったです。ぜんぶ廃棄物で構成された町とか。
でも、彦根サービスエリアで日付が変わるのに合わせて、消灯。
映画も中盤で中断となるのでした。
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『バブルスターの夜』20020111/000411
【1月2日】(1)
彦根サービスエリアで、たい焼きを買う。
夜中のサービスエリアの雰囲気は、単なる旅情よりも、
旅の途中であるという一種独特の焦燥感が魅力。
元々、バス旅行ではトイレ休憩が主目的になる為、
一般的に15分間という制限時間のせいもあるけれど。
知らない地から来た名の知らない同士が、
旅の途中に同じ空気の中で僅かの間にすれ違う。
それは町でも駅でも同じなのだけれど。
見上げれば周囲は山々の闇に囲まれた空間。
“向こう”が見えない以上、
宇宙に浮かぶ泡のひとつに在る町のようだ。
もしも遠くの未来で星の海を繋ぐ旅路が広がっても、
どれほどに速く速く飛ぶ事が出来る時代でも、
星の大地とは違う中継空間基地が、
茫漠たる空間のさりげない曲がり角に、
きっと浮かぶのだろうと思う。
・・・と、そのような事々を妄想しつつ、尿意解消。
女性用は相変わらず行列出現。
それでも間に合うのだから不思議。
筒井康隆の短編に、
旅行ツアーで乗り物1番乗りに固執する男の話が在るが、
それを実践する者はサービスエリアでどうするのだろう。
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『最終乗者』20020112/000412
【1月2日】(2)
そうしてバスへと帰ろうとする時、自販機にたい焼き発見。
同じ会社の販売機だと思うのだけれど、商品ラインナップに、
唐揚げや回転焼き(大判焼き)より出現率が少ないと思う。
自販機が温めてくれるのに数十秒かかる。
残り時間にドキドキスリルサスペンス。
嗚呼、ひとりの旅とはいえども、同じ鉄の箱に乗る同士。
自分の行動結果の連鎖禍を思考できない者をガキと言う。
こんな時、
待たされる事を意識させないタイムラグは幾つなのだろう。
考えてみれば、必ず誰かがいちばん最後に乗ってくる。
絶対に誰かが当てはまる椅子取りゲームだ。
それでもバスは待って探してくれるのかも知れないけれど。
空席を探して片道切符を買ったのは自分自身だから。
たい焼きごときで知らない旅人に迷惑をかけては大痛恨。
いでよ、たい焼き。
嗚呼、この焦燥感がサービスエリアの・・・
無事、間に合う。
最後に車両に帰る、
“ラスト・トラベラー”でも無かった模様。
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『バスも長き眠り』20020113/000413
【1月2日】(3)
長距離バスに限らず、
自動車や鉄道などの移動体の中で眠るのにはコツが要る。
長距離バスや鉄道の旅をメインテーマにしたサイトを、
運営されておられる方々も多いそうなので、
きっと世の中には多くのスーパーテクニックが四十八手以上。
ぃや、実はそんなものなど無いのかも知れないが、
眠れないという人が居る以上あるのかも知れない。
多透は年中寝不足傾向というか入眠困難な性癖なので、
真剣に眠ろうと試みるとシュルシュルと眠ってしまう。
スイッチひとつで世界の安全に期待した無防備状態だ。
そんな身なので、移動体内睡眠の蘊蓄を語れる立場ではないが、
自分なりに色々と実験できるのも旅の楽しみ。(実験失敗あり)
座位で眠ると頚部に寝違いを起こしたりするのはヒトのサダメ。
ヒトの手は地面を離れ、限りない自由を得たのだけれど。
頚椎症・鼠径ヘルニア・腰椎症・痔の4つは、
“直立したカインの末裔たる烙印”とさえ言われている。
ヒトは性能の良い脳を身に着けたが故に、その重さを課せられる。
頭部の重量は体重の11分の1と言われている。
10分の1説もあるのだが、いずれにせよ5キロや6キロは当たり前。
ボウリングのボールを乗せているようなものだ。
それを支えてるのだから頚部や肩部が疲れて当たり前。
横になって眠っていると背部などでも頭部重量を支えられるものの、
座位で眠ると、ずっと頚部に負担が集中しっぱなし。
構造上、鈍感で疲れにくい躯幹筋といえども、
疲弊して硬直して大後頭神経を圧迫して頭痛カモーン。きーっ!
車内泊が好きな身なれど、旅先の頭痛は御免被りたい。
冬の海を見るような旅では特に。どんよりが自乗して加速する。
旅行用品売り場に行けば、U字型をした頚にはめる空気枕が在る。
けれど、思ったよりも個人差に対応しにくいし、
なんか、表面のフェルト地が剥がれて顎が染まったりするぞ。
そこで、
長距離バスにて、多透が常用しているのは、支給される毛布。
冷暖房が効いてくれているので、頭寒足熱に拘って被らずとも可。
君よ、四肢末梢に熱を感ずるほどに熱き血潮たれ。ボクは並盛り。
テキトーに毛布を丸めて側頭部に配置し、寝る。
頭部を、座席と毛布とで2点支持する理屈。単純だけど楽々。
無論、確固たる支持が可能なので、窓際が有利。6割増し。
窓と自分との間に毛布を充填すれば、そこは睡眠パラダイス。
あと、腰が気にならない身ならば、
座席もあまりリクライニングさせないほうが楽な場合が多い。
どうせ180度になれない為、深く倒して眠ろうとする程に、
背部への負担が増す体型や体質もまた在る為だ。それを宿命とゆう。
と、いろいろと考えているように見せかけて、
実は、のほほんと眠る旅の箱。
いつもながら何度か起きるが、いつもながらまたすぐに眠る。
側頭部に硝子越しの冷気と疾走震動。
カーテンの隙間からの光で、朝日に気付く目覚めもまた良し。
そうして目覚めると、そこは東北。
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『雪の朝オレンジ』20020114/000414
【1月2日】(4)
目が覚めると、そこは雪国だった。
鼻の底が、ひぃやりとした。
夜明け色のオレンジが、カーテンの隙間から染みてくる。
ぁあ、これは朝なのかとカーテンを暖簾のようにめくる。
広い!空が! 凄い!雲が! 多い!雪が!
皆がカーテンを開け始める。
左の窓際に座っているのだが、
右からは朝日が、左には白い月が見えた。
硝子を触ってみると、外の冷気が掌に染み込んできた。
また嬉しくなった。
雪を冠った山々が見える。空が見える。
誰も居ない刈り取られた田畑が見える。
鉄橋の下を凍らずに流れる川が見える。
ぁあ、もしもの世界が在るのなら、
高校の時に彼女と2人きりになろうと、あそこに立ち、
行ったはいいが寒くて寒くて「こりゃたまらん」
とか・・・言い合いたかったのぅ。
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『金属用センダイン』20020115/000415
【1月2日】(5)
仙台は都会。
08:13到着。
大阪を出てから早くも12時間。
町の中には雪が無い。
もともと、この地方でも太平洋側では積雪量は少ないそうだ。
子供の頃に、世界を知らずに夢想していた“地方都市”とは違う。
昨今の拠点都市は、首都からの距離に関わらず都会的だ。
普段に多透が住んでいるような片田舎の町は、
日本中どこにでも同じような規模で街並みを見つける事が出来る。
それでも、実際に自分の足で歩いてみると、少しずつ違う空気を、
まだまだ素人ながら、微かに感じられるようになってきたと思う。
ビル群の間隙の向こうに、視線のボールを投げるようにすると、
そこには知らない山脈が、巨大な妖怪の如きに存在するからだ。
JR仙台駅を少しだけ通り過ぎると、
各社の路線が交叉するバス乗り場が、すぐ目の前。
大きなバスターミナルではないけれど。
朝の空気を吸い込んで、待合所に歩く。
あまり時間がないこともあって、
開いていた売店でパンを買って食べる。
待合所のTVでは、
コフィ・アナン国連事務総長が話している。
先日、
旅準備をしながら伊達正宗のドラマを見ていた事を思い出す。
はるか3百数十年。
待合所の片隅で、コンセントを借りて電脳を充電。
電気泥棒である。
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『忍法!黒髪判定機』20020116/000416
【1月2日】(6)
ちなみに、
大阪から仙台への移動を飛行機&鉄道で行うと、約6時間。
交通費2万円台で約930キロを高速移動。
今回は高速バスで、約12時間。片道12230円。
【注】
今回の旅行メモは、電脳を携帯していたり、
コインロッカーに待機させていたりしていた事もあって、
データ及び情景描写に非常にムラがあります。御了承ください。
されどされども、
次に乗るバスの発車までの時間は、もはやあと30分。
せめてその間、仙台ヱアーを呼吸しようと周辺ふらふら。
むぅ。ひやこいから鼻にクキーンと来るわぃ。
バス待合所前のドリンク自販機。
でかいバッグを抱えた嬢ちゃん発見。推定19歳。
微妙にハタチ越えていないと感じさせる印象が面白い。
抱えた荷物が重すぎたのか、釣り銭を落としてしまってる。
彼女の人生荷物の重さは知るよしもないが、
大阪人のタシナミとして、こぼれたものを拾って渡す。
旅の中で緊張するような感じのコだったので、
「あ、拾うわぁ」と、大阪弁まるだしで。
ナンパと間違われたり、
今から乗るバスでも一緒か?と緊張されてもと思ったので、
行き先の違いも取り混ぜながら。
『俺、青森行くんやけど、今来た八戸行きに乗るのん?』
「は、はぃっ!」
50円玉を渡す瞬間だけ、手袋を脱いだ肌どうしが触れる。
『そっかぁ、気ぃつけてなぁ』(よそいきの笑顔)
「ぁ、ありがとうございますっ!」
バスへと向かう彼女の黒髪ショートヘアの揺れを見つつ、
思う。
あぁぁ。
こんなん、いちいち考えてたら、ナンパでけへんやん。
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『雪国のアイアイ』20020117/000417
【1月2日】(7)
宮城交通青森行き、『ブルーフォレスト号』は指定席ではない。
窓際を狙うなら、早いもの勝ちだ。
と、は言っても、乗車率50パーセントと楽々。
右側窓際を確保。
もしかしたら、太平洋が見えるかもと一瞬の夢想。
でも、ちょぃと考えるまでもなく、そんな遠回りはしない。
まだ、道に雪は見えない。
今まで訪れた事のなかった東北地方を、
その内陸部をバスはゆく。
前沢サービスエリアに着く寸前、雪が“前”から来る。
特に予感があった訳でもなく、
ただなにげに前方を見ると、舞いながら来た。
少し前迄まばらだった雪色が地面を覆う。
数秒と経たないうちに雪景色の中を走る。
積雪は30cmぐらいか。
それでも、路上の除雪は完璧。
次は、花巻サービスエリア。
それにしても、雪景色は見飽きない。
いつものことながら、
そこに立つ“もしも”の自分を妄想できるからか?
冷気のせいか、はたまた久しぶりに5時間も眠ったせいか、
目ぇが異様にスッキリしている。
ロジャー・コーマン監督の伝説的低予算短期制作映画、
『X線の目を持つ男』みたいに、
気になるあのコの骨のズイまで見えそうだ。
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『戦慄のボインドラゴン』20020118/000418
【1月2日】(8)
トンネルが長い。
この知らない広さと風景の中を、
自分で運転するのも楽しいのだろうけれど、
時折、居眠りしながらも運んでもらえるのは嬉しい。
広い。
空に在る巨大な雲の全部を見ることが出来るのは面白い。
あの雲は、さしわたし何キロに及ぶのだろう?
山脈に、龍のように覆いかぶさっている。
超自然の巨大なるものが“そこ”に在れば、
ああも見えるのかも知れない。
見渡す限りの田んぼ。
稲の無い今は雪が全方位への平面をつくる。
季節が合えば、見渡す限りの金色になるのだろう。
家の周囲の暴風林が白をまとい続けている。
あの木々の上に積もる雪は、誰知らぬうちに積もり、
誰知らぬうちに重力を知るのだ。
大阪では見ることのできない雪の光景。
こんなにも広く深くなどの、その以前に、
近年では雪が積もる事など、ろくにないからだ。
花巻を過ぎると、雪が少し深くなってきたようだ。でも快晴。
この地に住む人にとっては、まだまだ知れている深さなのだろう。
車内で、鼻息荒くヱキサイトしてるのは自分だけのような気がして、
ちぃと恥ずかしい。
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『時の向こうの映画館』20020119/000419
ものごっつう久しぶりに、ある映画館へ行く。
先週、約10年ぶりに先輩と再会し歓談した際、
その映画館前を通り過ぎ、無性に入りたくなった為だ。
その名、『新世界公楽劇場』・・・
知らない人が聞くと、ストリップ劇場と間違えそうな語感。
浪速のシンボルタワーである通天閣界隈たる“新世界”は、
雑多と猥雑と変化と停滞の時間軸が混在する地だ。
女の子ひとりがうろつくぶんにはデンジャラスというか、
嫌な顔をせざるをえない界隈も在るには在る。
しかし、多透のように貧相な野郎がフラフラするには、
その“おおらかすぎる”(婉曲的表現)土地柄が、
結構、楽ちんだと感じる事も多い。
日本橋電気街から新世界経由でJR新今宮駅への道は、
個人的に定番だ。
で、映画館。
小泉純一郎総理大臣と同年代風味の方からチケットを手渡され、
これまた、
緒方貞子前国連難民高等弁務官現国家代表と同年代風味の方が、
入り口で半券を切ってくださる。
良い意味で、凄いスタッフ平均年齢だ。
座席数、公称410席。
だが、破損したまま、背もたれの無い椅子が幾つか在る。
ちらりと見た感じ、まともそうな座席には先客多数。
そう、映画館斜陽化が噂される中、
この老朽化し時間が止まったような“小屋”は、
結構な観客動員数を保っている・・・のかも知れない。
ふらりと2階席に。(そぅ、2階席が在るのだ!)
自分勝手にオノレは夜目が効くほうと自惚れていた時期もあったが、
非常灯も少ないような光量にひるむ。
近くの席に座る人の人相さえハッキリしないのだっ!
オペラハウス風味か、馬蹄形になった2階席。
何故か側方から横向きにスクリーンを観る席が在る。
既に席が埋まっているところを見ると、
もしやもしやに、“個人的指定席”にされている方々が、
居られるのかも知れない。
数十年の時の中で、幾多の尻を乗せてきた椅子に座る。
前席との間隔は狭いが、辛いほどではない。
しかし、階段状になった2階席では、
前席の背もたれに足を乗せて鑑賞する方々が多かったのか、
背もたれの破損率は1階席より優しくない。
しかも、2階席では、
最前方壁に在る手すりのシルエットが、
どの席に座っていてもスクリーンを侵食するのだッ!
その為、席が空いているにも関わらず、
最後列で立ち見する方々が数名おられる。
ちなみに、背もたれ破損でお察しの通り、観客層はお上品ではない。
上映中も劇場内のそこかしこで煙草の火が灯っている。
ただ、奇妙に静かである。
椅子やドアの立て付けが悪い為の音は生じるが、
無駄口は一切無いと言っていい。
それもその筈・・・
観客の推定9割は御年輩の方ばかり。
そぅ、青春のその日に、
リアルタイムで作品群を観てこられた方々だ。
“映画は航時装置の一種である”という言葉が、
脳髄の銀幕に映った気がした。
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『新世界のサムライ』20020121/000421
そうして観る、1本目は『関東無宿』・・・
小林旭主演、1963年の日活映画だ。
現在の作風からすると、鈴木清順監督にしては地味な印象。
でも、ラストあたりで鮮やかな一瞬もあり。
東映ヤクザ映画とは異なる文法が面白い。
昭和30年代の街並みと文化、小林旭のマユゲの魅力映画。
回想シーンの締めに被さるモノローグ。小林旭が言うと渋い。
『あの、ペテン師のような女と、
流行歌のように流れ流れてゆくのも良いかと思った』
2本目は『子連れ狼 三途の川の乳母車』・・・
勝プロダクションによるシリーズ2作目。
昨年末、
深夜TV枠『CINEMA DAISUKI 第54集・斬る!』で、
放映されていたのを見逃していたので、ほくほくで見に来た次第。
我が心の時代劇としての『子連れ狼』は、
TVシリーズの萬屋錦之介版だが、映画版も珠玉作ぞろいだ。
西部劇を彷彿とさせる画面構成と若山富三郎の殺陣が渋い。
氏は勝新太郎の実兄、なんと濃い兄弟であろうか!
兄弟といえば、弁天来三兄弟のひとりとして若き岸田森も出演。
水鴎流斬馬刀(すいおうりゅうざんばとう)剣技の冴え。
荒唐無稽と嗤うは易いかも知れぬが、
昨今の痛みを感じさせない画面に慣らされた身には、
一種奇妙な皮膚感覚があった。
荒涼たる砂丘の死闘の果てに、スクリーンに巨大な“終”印。
劇場環境のせいもあって、なにやらほんまに“映画”を観た感覚。
思い入れのある原作のせいか、脳の一部が痺れて満腹状態。
「嗚呼、本日はこれにて御馳走様とさせていただきます」と、
3本目を放棄して席を立つ。
そぅ、実は、この劇場は3本立て1000円なのだ!
が、しかし、
劇場を出てから、片隅のポスターを見てみる、と。
なんか陰鬱なタイトルやし!と思って放棄した3本目。
その『武士道無惨』は、
“義姉への想い!武士道と性の目覚めの狭間で悩む16才!”
というような内容であった。
観れば良かったかも・・・きーっ!!
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『幼なじみと赤いセロハン』20020120/000420
【1月2日】(9)
雲が近いようで遠いので、
まるで赤と青のセロハン越しに見る立体映画のように、
多層の奥行きが楽しい。
しかも、これは現実なのだ。
横を走る車は巻き上げる路上の水を。
そうすると、その飛沫が光を浴びてつくるのだ。虹を。
面白い。
路肩の雪が増えてくる。
青森まであと、177キロ。
でかい! でかい山が見える! 名は?
西根あたり。
あとで調べてみる。(まだ調べてません)
毎日毎日あれを見ていると、きっと登りたくなるのだろう。
いや、一目見ただけでもそうだ。
車が道を回り込んでゆくと、その奥向こうに、
ずっとずっと山々が連なっているのが見えた。
遠く、大きい。
雪に濡れた木々を見ると、山というものが、
木々の表装の集合で景観をつくっているのがよく解る。
世界は広い。
もっと、あの頃にそれをもっと感じていられたら、
傷つけなかった人も居たのに。
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『強襲!バニーボーイ』20020122/000422
【1月2日】(10)
花巻サービスエリアでトイレ休憩。
やった!岩手県や!
約2時間おきの休憩といえる。10分間。
座位だと、どうしても下肢の血行不良が起こるので、
散歩&トイレ。
エコノミークラス症候群というほどではないが、
足に気合いを入れる。
ポカリとアイスクレープを購入。
売店のナイスガイが流れるような手付きで、
袋にポケットテッシュを入れてくれる。
斜前に座っている、ウチの両親ぐらいの年令な夫婦が、
ホットヌードルしょうゆ味を食べている。
しまった、その手があったか!
またもや、先が見えないぐらいに長いトンネルを抜けると、
そこは青森県だった。
急ぎ足で、初めて東北地方を通り過ぎた事になる。
内陸部を通ったので、少しだけといえども、
秋田県を通過できたのは小さな幸福だった。
山形県はどうだったのだろう?
全道府県都の地面に、自分の足で立てたと認識できるのは、
いったい何時の事だろう。
路肩から見える丘の雪に、ウサギらしき足跡を見つける。
木々の種類が、また少し変わってきたようだ。
津軽まで14キロ。青森まであと50キロ。
続々と大きな山々が見える。吹く風の強さを思う。
トンネルをくぐる度に雪が深くなる。
山のひとつひとつは大きいのだが、視感スケールが違うせいか、
巨大な情景模型の中を走っているようにも思う。
でもこれは、現実だ。
自分自身の認識能力が、その経験値が、追いついていないのだ。
それが現実感を希薄にする。
口惜しい。
頑張れ。
定番の言葉ではあるけれども、
モニターを切ったらそれでいいフィクションとは違う。
ここはオマエの居る本当の世界じゃないか。
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『冷凍都市ブルータス』20020123/000423
【1月2日】(11)
遂に、青森市内に突入。
町へと続く長い道。
ただこうして座っているだけでも、
やがてはきっと着くであろう前方を伺うと、
大阪とあまり変わりないぐらいの町並みが広がっている。
ただ、路肩に高々と積まれている、除雪された雪が、
サマザマなものを予感させる。
町のすぐ外側に、広く広く田畑や空き地が広がっている。
なんか、
異国に点在する町に入ってゆく気分でドキドキする。
その広い空き地の遠く、
その空の高くを飛ぶ飛行機が見える。
いつも見るそれよりも高く見える。
その情景をメモして、ふと見直すと何処かへ行っている。
しもたっ!
ふと、目を離した隙に、なんか風景が変わってる!!
これはっ!? 雪がっ! 雪が町を覆っているっ!!
すべてが雪を冠っているっ!!
何故か駅の近くの一等地が千坪単位で売られているという、
県庁所在地らしからぬ風景にも、驚かされたが・・・
公園のベンチが上まで埋もれているっ!!
あれはっ!? あれはっ!!
天井まで雪に埋まった乗用車ではないかっ!!
・・・間違いない。
こんなとき、特撮番組だったら、絶対に冷凍怪獣のしわざだ。
はっ!
ペギラかっ!?
身長40メートル、体重 2万トン。
クチから零下130度の冷凍光線を吐き、万物を凍らせるばかりか、
何故か反重力現象まで引き起こす、眠そうな顔なのに凄い奴!
ヤツが来たのか?! 青森氷河期?!
ヤツは、コケから取れる“ペギミンH”に弱い!用意はっ!?
・・・ぃや、ヤツは南極の温暖化で東京に来た筈。
いきなり青森はないのではなかろうか・・・
・・・ハッ!!
昨年の獅子座流星群に紛れて、実は!
“怪彗星ツイフォン”も地球に接近していたのでは!?
だとしたら、ギガスか!
身長40メートル、体重 1万5千トン。
日本アルプスに棲んでるだけで冷凍怪獣扱いされる武闘派!
ヤツがフォッサマグナを伝って青森までっ?!
・・・ぃ、いゃ!
年末年始のドサクサに紛れて、ニューギニアから密輸された、
数奇な因縁を持つ怪宝石なオパールが水虫退治用の赤外線を浴び、
そこから出現したのは!なんと!
ニューギニアで1000年に一度現れるという伝説の怪獣ッ!
身長80メートル、体重70トン。
舌先から零下100度の冷凍液を発射する!
あのバルゴンが現れたのではっ!?
謎が謎を呼びつつも、13時35分、
宮城交通高速バス『ブルーフォレスト号』はJR青森駅に到着。
青森から仙台まで、距離は約387キロ。
鉄道で上手くいけば、乗車時間:2 時間 56 分、総額:10,530 円、
総所要時間:3時間 14分で移動できるところを、
片道5700円、約5時間かけて来てしまったらしい。
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『雪の悲恋!少女戦士ミシン』20020124/000424
【1月2日】(12)
“上野発の夜行列車降りたときから♪青森駅は雪の中・・・”
石川さゆりの『津軽海峡冬景色』を脳内に流しながら、
その阿久悠パワーに戦慄しつつ、
夜行列車ならぬ長距離バスを降りる。
歌に在る青函連絡船は、今はもう無い。
雪国である。
道路脇のそこかしこに、当たり前に雪が積もっている。
歩道も車道も除雪されてはいるが、油断は出来ない。
空は青いが、
雪が突然に吹いては止む。
出発前、雪国出身のおっちゃん連中に受けたレクチャーが、
かき氷に掛けられた練乳の如く意識に染みて来る。
“歩道や交差点の真ん中には、
人や車に削られずに固められた氷が在る。
地元人間でも、ひと冬に何度かコケるのは当たり前。
油断するな。
コケるヤツの巻き添えになるな。他人を巻き込むな。
とにかく、コケる時は上手くコケろ・・・”
しかし、実際の印象は、
サラサラとしたパウダースノーの為、なんとなく安心感。
風に飛ばされた雪が、服や靴に付いても、
溶けて濡れる事なく、また風に吹かれてゆく。
駅横のコインロッカーに荷物を放り込んだ。
iBookも放り込んだ。手ぶらになる。
あとは自分の足で歩くのだから、自分の脳で記憶するしか無い。
時計は既に14時前だ。気温の電光掲示板は、摂氏0度。
それにしても腹が減った。
せっかく海産物の新鮮な地への旅なのだから、
今回は食べ物贅沢解禁の覚悟。
言語化される以前の食い気を全身にミナギラせ、歩き出す。
雪の白で、横断歩道の白が見えない・・・と、
思考した瞬間、目の前で女の子がひっくり返りそうになるっ!
どすこいっ
ただ、単純に・・・運が良かった。
iBook等を入れたザックを背負ったままだったら、
その重心位置ゆえ、一緒に転倒して脳天を打っていただろう。
なんとか、反射的に膝の屈伸で加重に耐える。
手ぶらだったのが良かった。
偶然、脇の下に手を添えられたので、女子高校生を支えられた。
そのまんまの黒い髪は肩まで。
しゃんぷの香り。
カネボウ『海のうるおい藻 シャンプー』の気配。
それとも、海が近い為の、潮風のいたずらかっ!?
驚いた表情のまんまで、振り向いた彼女。
推定 = 高校3年生。
推定 = クラスの中でも地味だと言われるタイプ。地味な眼鏡。
推定 = 弟がいるので男子と話すのに抵抗はないが、
同級生の男子とはあまり話す機会がない。
推定 = あまり冒険はしたくないが、岡本太郎には憧れている。
「ぁ、ありがとうございます」
その言葉を聞き、そうして、小心者の多透は、
彼女が、まっすぐこちらの目を見ている事に驚く。
『ぁ、いぇ、べつに、その・・・なんですわ、ぇぇと・・・
こっちも突然、体に触って失礼』
「はぁ?」
落ち着いてるのは彼女のほうだ。
こっちは、突発的な出来事の余韻と、素直な瞳に動揺中。
『あ、いゃ、大阪から来たんやけど、
ホタテ丼たべれる店、知りません?』(ら抜き言葉)
「んー。すぐそこの市場団地の食堂が解りやすいんですけど・・・
今日、休みです・・・ね」
『そっかぁ・・・
あ、変な下心とか全っ然っ抜きにするって約束するから、
飯、御一緒しません?』
「すいません・・・今から、叔父のお通夜なんです・・・」
『そ・・そぅ。こっちもなんか、突然なこと言って失礼』
「いぇ・・・旅行、楽しんでください」
そう言って、彼女は微笑んでくれた。
信号が点滅を始めたので、そうしてぼくらは別々の方向へゆく。
・・・なんとなく、自己嫌悪。
フラれるのは毎度の事なので、うじうじしても得はない。
定番の文句で断られた事が、嘘か誠か知る由もない。
疑いだしたらキリはないが、目の色は嘘つきじゃなかった。
それよりも・・・
昔、フラれた相手の事を思い出す。
彼女もまた、
一瞬前まで知らなかった人間に道を聞かれた時、
まっすぐに微笑みながら話せるような人だった。
・・・くぅぅ・・・
俺は、旅先で、卑屈な顔になっていなかっただろうか?
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『合体指輪の謎を解け!』20020125/000425
【1月2日】(13)
よしっ、男らしく意識をスッキリ切り替えよう。
北国の日の入りは早いと聞く。
まずは、おてんとさんの在るうちに移動っ。
駅横百貨店の書店で進路確認。
ひとつ目標は決めていたものの、
その周辺部の地形図を今一度見たくなった模様。
【評】そのぐらい下調べしておきましょう。
ぅむ。やはり、狙い目は“浅虫温泉”ッ!!
電車で駅5つ目。片道320円 26分 ゴー!
もしやすると、
孤高のワンアンドオンリーな自称漫画家、
手深浅虫先生が居られるかも知れぬし、な。
『やはり、浅虫・・・』
つぃ、クチを出たつぶやき。
『るるぶ青森』を立ち読みしながら独り言とは、
我ながら、ちょっぴり淋しいヤツだ。
だが、すぐ横で、
異様なまでの努力で笑いをこらえている女性発見。
なんか、笑いのツボに、たまたま入ったらしい。
そりゃ、ほとんど地元の温泉を調べて悦に浸ってるのは、
明らかに不審者だろう。
『ぁ、聞こえました?
・・・ぁ、えぇと、大阪から来たばっかしでして』
「いい所ですから、ぜひ行ってきてください」
『御一緒します?』
「わたし、遠距離レンアイはちょっと・・・
それに、私・・・コレだし」
そう言って、笑顔のままで見せてくれる左手薬指ッ!!
・・・ぃや、こっちも、それを発見していたからこそ、
安心してハッタリ誘い(自称)をした訳だけれども。
ハリー・ハッタリー 路傍の石
それにつけてもこやつはなんだろう?
歳の頃はまだ二十歳そこそこに見えるのに、
あのしなやかすぎる手首の返しと的確な言葉の返し。
負けた・・・大阪人として、会話負けとは・・・
情けなくって父ちゃんにも涙が出てくるやんけとか、
言われそうだ。無念。つっこめなくてすいません。
「では、お元気で」
ひそかに背後に隠密していたらしい同年輩の女性と、
2人して、軽く手を振ってくれた。
ありがとう。
でも、いいんです。なぐさめてなんかくれなくても・・・
お気遣いなく、晩飯時に茶の間にて、
ダーリン(網元の屈強な若旦那 眉毛は濃いが巫女さん萌え)に、
「大阪人っていっても、ツッコミ甘いよね・・・」
とか、正月特番でも見ながらつぶやいてください・・・・・
敗北感に打ちひしがれつつ、
わたくしは浅虫温泉への切符を買うしかなかったのです。
駅の階段を上ってゆくと、新しくて綺麗に清掃された渡り廊下。
窓から見下ろしたホームには、雪のドレスをまとった列車たち。
・・・そぅだね。
べつにナンパする為に、ツッコミ勝負をする為に、
こうして・・・みちのくまで来たわけじゃないよね。
・・・そだね。
ぼくは胸を張って浅虫温泉に行っていいんだよね?
なんだか、太宰はんも通ったらしいし・・・
ぁあ・・・カラスが飛んでいるね。
雪の白にも空の白にも染まれずに飛ぶのだね・・・
「ぁの、手袋おとしましたよ」
『は!はいッ!ありがとうございますっ!!』
反射的に満面の笑顔で応えるその先には、
小学校5年生ぐらいの美少女と、見慣れた手袋。
・・・そうして、
少女の祖父であろう人と、ホームへと歩みを進める後ろ姿。
それを見ながら、あそこまでの接近に・・・
毎度の事ながら気配を感じ取れなかった現実に戦慄す。
・・・まさか・・・・・ニンジャ!?
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『零下2度の決斗』20020126/000426
【1月2日】(14)
さ。意識をスッキリ切り替えて、浅虫温泉へ出発。
雪に煙る青森駅から、列車が前進する。
雪の中を走る列車は3両編成のワンマンカーだ。
保温対策の為、ドアの開閉ボタンを自分で押して出入りする。
寒い地方ではお馴染みの機構だが、久しぶりに出会うと面白い。
ずっと以前だと、停車中の開閉は手動のみだった。
こういった仕様の遍歴に興味の在る方なら、
機種ごとの素人が気づけないよう差異も、
モビルスーツに詳しい人がそうであるように、
電車の事を、すらりすらりと言葉に出来るのだろう。
車窓から、
『レディス秘密探偵社』の看板を発見。
良く解らないが秘密なのだろう。
雪に囲まれた川は、凍らずに流れている。
雪に囲まれた線路も、ずっと続いている。
暖房は、何処に行っても結構効いている。
海や! やっと海が見えた!
今回の旅で初めて見る海は、
ガスタンクの向こうに広がる津軽海峡だった。
雪国からトンネルを抜けても雪国だ。
越後湯沢でも、きっと雪は降り続けているのだろう。
浅虫温泉駅に着く。
小振りな駅だが、利用客は多いのかも知れない。
特急が停まるらしく、10人程が待合所で時計を見ていた。
駅を出るとすぐに歩道橋が在り、海へと延びている。
海辺の駅で幾つか見かけたような風景だが、駅名が思い出せない。
ただ、その記憶と明らかに異なるのは、雪に覆われている事だ。
白の中に在る海とは、こういうものかと思った。
歩道橋の一端が海に向けて突きだしており、展望台になっている。
一望できる海岸は、一面の雪色だ。
空は青と白の狭間を行き来している。その中を白い鳥が飛ぶ。
暖房の列車から、吹きっさらしの海岸へ。
少しだけ忘れかけていた、自分の寒がりがカムバックサーモン。
右手・・・ここから見える東、下北半島には、
世界で最も北限に生息する猿が居るとか。
猿よ・・・なんでそんなことを。
海岸沿いの道路は広く、行き交う車もある。
ホテルらしきものと『道の駅』が目立つ鉄筋建築だが、
その向こうは山々との間に古くからの町が雪を浴びている。
山←→町←→駅←→道の駅←→車道←→海岸←→海←→北海道
不意に、“嗚呼、北の町に来たのだ”という感覚が染みてくる。
『道の駅』http://www1k.mesh.ne.jp/michinoeki/は、
道路利用者の休憩所の総称。
実は、浅虫温泉の『道の駅』には温泉が在るのだ。狙え!温泉。
だが、後方に人の気配。
ひとりの青年が歩いてくる。 先刻の、同じ列車で見かけた顔だ。
見るからに同業者・・・つまりは、旅人だ。
寒さにムギッとなった顔面と、デカいザック。
青年よ、君の人生の荷物は重いのか?
寒風吹きすさぶ海を見た彼は、そのまま『道の駅』へと向かう模様。
根拠の無い対抗心がムックンむくむく。
なるほど、おまえはおまえの道をゆけ。
フフフ・・・これは意地でも、寒さの中へゆかねばならぬ。
えぃ、おー。(それでも寒いので消極的)
いざ、波打ち際を目指せ。
ぁう!
深い、なんか、雪が深いっ!
足が、のぶのぶと入ってゆく。こりゃ・・・膝までズッポリ。
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『鉄棒を囓ってみた頃ぼくらは』20020127/000427
【1月2日】(15)
15時を過ぎた頃。
そうして、展望場から見下ろすようにすると、
景観に留意したのか丸太小屋風味のヨットハウス。
そこから東方に目を向けると、流麗な円弧を描く砂浜。
白をまとった其処は三日月のように清廉に見える。
行こう。
旅とは無限の選択肢のカタマリだ。
無論、日常もまたそうである筈なのだが、
義務と責任とそして多くはそれ以前の些末で狭量な思考で、
自分から選択肢を選ぶ前から捨てて来たのが自分だと思う。
でも、
こうして膝上まで雪に浸かり、
にっちもさっちもいかなくなっているのも自分だと思う。
キケン! キケン! キケン! キケン! キケン!
初めての雪中行軍におけるヱネルギイ消費量に、
脳内で70年代風電子頭脳の合成音声が木霊した。
砂浜と自分との間に、歩道の柵が見えた。
うぬぅむ。
さては、あすこまで辿り着ければ柵づたいにッ!
フフフ・・・我ながら、策士よのぅ・・・
・・・5分後。
柵の3分の2が、雪に埋まっている現実を知る。
しかも、柵までの距離、あと2メートル。
ならばっ!!
飛べ・・・・・・・・・ない。
柵がラインを示す歩道は、坂道を形成していたのだった。
乳首ラインまで雪に浸かるとは、こういう事かと実感した。
くじけるとかどうとかよりも、もはやなんかわからんキモチで。
とりあえず、柵の上にまたがってみる。
安物装備とはいえ、防水防寒機能はまだ働いてくれている。
しかし、股間に忍び寄る冷気を我慢しつつ、
30メートル先までまたがり移動できるものだろうか?
風が、吹いてきた。サマザマな意味で、ピンチ警報。
このまま、股間から凍りついてしまうのだろうか?
おちついて、セニョリータ。
とりあえず、柵の上に腰掛けてみる。
小学校の鉄棒の上から見た夕日を思い出す。
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『柔らかい硬さ』20020127/000427
縁あって『少年少女体重別柔道大会』の手伝い要員に。
で、この日曜日まるまる使って動いてたんですが、
面白かったです。
漫画よりも以前に命名された“柔ちゃん”にも会えたし。
その娘がまた強いの。優勝するし!
多透は、
会場設営・計量記録・勝敗記録・勝敗伝達・勝敗掲示・ビデオ撮影。
審判が務まるような技量なんて全くないので、その他を色々と。
選手は幼稚園児から中学生まで。約100名。
スタッフ初体験の身には、許容範囲以上の人数に大あわて。
でも、
真剣に行動してる子供たちを見るのは、本当に気持ち良いものでした。
なんとか乗り越えて、自分の両親と変わらない年代のスタッフ仲間と、
「しんどかったけど、ほんまに面白かったなぁ」と。
で、
『腰がひけてて勝てると思うな』
『うかつに飛ぶな。自分でしっかり地面に立っとけ』
『動かへんかったら勝てる筈ないんは当たり前や』
『相手のせいにするな。自分が足りなかった事から目ぇそらすな』
『がんばって負けたんやったら次の事を考えろ』
なんか、よくある人生訓みたいですが。
これは、柔道の指導者たちが実際に子供たちに言っていたものです。
負けた事が口惜しくて涙ぐんでる子供も多かったんだけれど、
そこは武道指導者。
猫かわいがりする事も誰かのせいにする事もなく、
“自分に目を向けろ”と。
スッキリキッパリと、頭グリグリしながらガンっと言ってます。
甘く気を使うのではなく、無節操に庇護するのではなく、
ちゃんと子供たちを見ている姿勢は尊敬に値しました。
いゃぁ、おもしろいなぁ。人間は。
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『スピン!めくるめく』20020128/000428
ちなみに多透、柔道は初段止まり。
御存知の方々も多いと思いますが、
どんな武道でも初段は単なる入り口であって、
多くの場合これっぽぉぉぉっちも自慢になりません。
多透の時は3人抜き&型の試験で合格。
たぶん、今でもそうだと思います。
3人抜きというのも、当日2勝以上すれば、
前回までの1勝or2勝の貯金が使えるのです。
あとは、なによりも、どんな対戦相手に当たるかの運。
初段試験だと、相手も素人あがりが多いので。
まぁ、たまには、他武道の熟練者だったり、
単に昇段試験を受けてなかっただけだったり、
実は実戦経験が凄かったり、などなどの方々も居られますが。
多透の知るところでは、
“三段・四段を所持する学生のスピード”や、
“五段・六段以上で師範をされてる方々の技巧”は、
素人身からすると人間技を超えてる事が多いです。
なにせ、昇段試合も、修練し実力拮抗する相手群を、
連続10抜き・15人抜きの世界ですから。
まぁ、強い人ほど自身の危険性を知っておられるので、
漫画みたいに暴力的な人はそぉ居ないので安心です。
特に、“教える側”に立った方々は、
“礼に始まり礼に終わる”事を教え伝えておられるだけあって、
本当に紳士的です。
多透は、縁あって二十歳の頃に、
体育会系大学で有名な国士舘大学出身の三段な人に、
稽古をつけてもらってました。
この人がもぉ、尋常じゃない筋力と速度の人で。
“いつ投げられたか解らない!”
“気付いたら畳の上!”という、
それこそ、
漫画に出てくるような感覚を何回体験させてもらった事か!
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『バトル英会話戦士ピエール!』20020129/000429
【ヱピソード1】
多透の受け身技術が優れていたとかでは全っ然なくて、
ただ運が良かったのと、投げられ慣れてた為か・・・
無謀運転のトラックに今までで3回ふっとばされて、
乗ってたチャリンコは全壊したのに毎度々々かすり傷で済んでます。
2回目まではともかく、
3回目になると流石に確信して叫びましたね。
「ありがとう!投げられ!!」
【ヱピソード2】
ほんと言いますとね。昇段試験の時、1勝足りなかったんです。
『嗚呼、初段とるなら今度は数ヶ月後に、
もっと強い警察官とかと戦わんとあかんのんやぁ・・・
グッバイ・ブラックベルト・・・・・』
とか思ってますと、運のいい事に、同様の境遇者が同時多発。
時間もある事だし、正式に追加試験を執り行ってくださる、と。
みんな気合いはいりまくりましたね。えぇ。後が無いですから。
接戦に次ぐ接戦。
多透の相手もパワーファイター。もぉあかんと思いました。
でもね。ダメもとで仕掛けた大外刈りが入ったんですよ。
普通ね、そんな大技なんて入る筈ないんです。
相手、パワーの使いすぎで疲れてたんですね。運良く。
でも、素人技。しょせんは“技あり”どまり。
もぅ、なんやわからんよぉになりながら、
続けて押さえ込みですわ。袈裟固め。ナナメに押さえ込むやつ。
もぉ、筆舌に尽くしにくい程の抵抗ですよ。相手のパワー。
“人間スタイリー”とか“人間ギッコンバッタン”とか、
勝手にキャッチフレーズ付けたろかと思いました。はぃ。
もぉあかんと思いました。30秒間なんて無理無理。
もぉ痛い事は止めよう。もぉしんどい事は止めよう。
サウナでサッパリいい男。恋の花でも咲かせてたほうがええです。
汗くさい男どうしが押さえ合いせめぎ合う筋力の牢獄の中で、
「しんどい事はヤメちゃえぇぃ〜」と、
ブラックサタン(声 : 明石家さんま)が囁くのが解りました。
でも、その時、友の声が聞こえたのです。
よく言われるように、
自分にとって都合の良い言葉だけをくれる人間イコール友とは限りません。
しかし、
その友の言葉が、多透に勝利とブラックベルトをくれた事は事実なのです。
ええ、今でもハッキリと覚えています。
多透の中では、
“人生を変えたとっさの一言”の上位にはいりますから。
「押さえ込んだら、女と思え!!」
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『いのちのげんばから』20020130/000430
『少年少女体重別柔道大会』の後、反省会兼打ち上げ会で、
個人的感想を指導者のみなさんに話せる時間がありまして。
いざ、聞いてみれば、
皆、柔道界で凄い経歴の持ち主な事もあって持論確固たるものが。
自分の言葉を組み立てて話す人との会話は、やはり楽しいです。
以下は、
柔道指導者かつ中学校教諭と柔道指導者かつ警察官かつ警察でも柔道師範、
そういう方々との会話を覚え書きしたものです。
『いゃぁ、勉強させてもらいました。
普段、高齢の方々と接する事が多いので、子供達の集団っていうのは、
新鮮な発見がありましたわ』
「いゃあ、しんどいですけどねぇ。それでもやっぱり面白いです」
『負けたんが悔しくて涙ぐんでる子も何人か居て、で、
それをちゃんと見てる指導者の方々が居て、なんか妙に安心しました』
「大人でも子供でもね、
そりゃぁ負けるよりも勝つほうが気持ちいいですからね。
でも、本当に教え教えられるのは負けた時やと思います」
『ぁあ、いいですねぇ』
「あのね、この頃ね、“勝ち組”“負け組”とか言うやないですか」
『そうですねぇ。しんどい言葉だと思います。
数字で分別したら分かり易いし、実質は当たってる要素も在るから、
厭でも否定できない“部分”もあって複雑なんですが』
「ですよね。でもね、カネ持ってなくても頑張ってる人達は多いですよね。
結局、“負け組”になる瞬間ってのはあきらめた時だと思います。
だから、子供達にはね、最後まで勝負を捨てないように言い続けます」
『自分にしか通用しない言い訳に浸かってしもたら“負け組”ですよね。
僕も立場上、いろんな人の人生を教えていただいてる身なんですが、
そのぶん、自分を客観的に見れなくなったら怖い怖いと思ってます』
「そうです。だからそのぶん、
厭な事だけど“精一杯頑張ったけれど負けた”経験が無いと、
子供はなかなか伸びません。そこで教える側の大人の義務が生じる訳です」
『なるほど。それに武道だと、自分の痛みも相手の痛みも解りますからね』
「そうです。痛みの経験が無いやつのほうが残酷です。
それこそゲームみたいに、反省もリセットして忘れますから」
『言い訳にも慣れきってしまう訳ですね』
「そうです。
打たれ弱いままでえぇねんえぇねんって言い訳してたら、
これから世の中辛いですからね。
スポーツ至上主義じゃないですけどね、良い手段ではある筈です」
『思考の・・・考え方の引き出しも増えますよね』
「はい。打たれ弱いと、ちょっとした事・・・
受験や失恋やもっとどうでもいい小さい事でも、
すぐに挫折ザセツって沈んでしまいますから」
『その延長で虚勢はったり逆ギレして罪を犯したり・・・』
「そうです。
浅いどころか、最初っから考えようとしてないのが多いんです。
だから、人殺ししても、自分の言葉を持ってないから、
裁判で弁護士に、“これこれこういう訳で挫折感を覚え”とか、
“社会のせい”とか“学校のせい”とか、
そういう言葉を“言ってもらわなければならない”のが、
仰山でてくるんです」
【注】なんかスラスラ喋ってるように見えますが、
会場が中華料亭だった事もあって、実際、は、
途中に“はふはふ”“うまうま”“へひょへひょ”等の擬音が、
多々混入されておりました事をおことわりしておきます。
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『忘却するは白い犬』20020131/000431
【1月2日】(16)
そうして、雪に埋まった鉄柵の上で。
目の前には流麗なる弦の弧を描く砂浜の波打ち。
冬色の海と白すぎる浜。
僅か50メートルほどの距離のその中に、
どれほどの雪の深さが在るのか解らない。
まったく、雪には素人すぎる。
向かって左側には、石垣を集積した突堤が海へ突き出している。
どうして気づかなかったのか解らないが、その時になって、
初めて、1台の車が停まっているのを見つける。
灰色にはまだ少し足りない白い空を巨大な背景にして、
ひとりの釣り人が見えた。
犬だ! 白い犬だ!
白い犬が雪の上を猛烈な速度で疾走しているっ!!
冷気の中で風の音しか聞こえない世界の中で、
なにやらよくわからないことがわかった・・・ようなきがした。
そして、すくなくとも、その辺りに行けば、
雪の上でも沈まずに歩けるのだと解った。
今になって思えば、
その瞬間に、スッカリと忘却してしまっていたのだ。
砂浜へ行く事を。
情けない失策だ。
きっと、あの浜へ辿り着く事は、もぅ、無い。
日常においても、取り返しのつかない事は多々あるのだけれど。
遠くへの旅の中では、二度と行けない場所と時間が積層する。
それを取り戻そうとするよりも、
別の場所に旅する事を選んでしまう。
あの時の僅か50メートル。
間違いなく見えていた白い弦弧にふれる事はもうない。
問題は、日常でも旅中でも、
その僅かな距離を、
後で悔やまないで済むかどうか見えにくい事だ。
だから、つい、歩き回る旅になってしまう。
それなのに、振り向くと、
辿り着けない距離はなんて多いのだろう。
生涯に伸びるスネ毛の総延長が解らないように。
もはや学生ではない為に、
クラスで気になるあのコとの席の距離すら無いように。
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