2002-10/25(金) 高知国体に見る「国体のあり方」論 第57回国民体育大会「よさこい高知国体」・秋季大会が行なわれています。 スポーツの祭典(お祭り)ということで、(卓球に限らず、他種目も含めて)比較的和やかな(?)ムードの 中で競技が行なわれるという印象がある国体ですが(そう感じるのは私だけでしょうか?)、今年は 例年とは別の意味で世間の注目を集めています。38年間も続いてきた開催地の天皇杯(男女総合優勝) 獲得がストップしそうだからです。橋本大二郎高知県知事の「天皇杯獲得にこだわらない。ありのままの 姿で行く」という方針に則ったものですが、これで慣例という一種の「呪縛」から解放されて、今後の国体の あり方が変わっていくかも知れません。 国体が戦後日本のスポーツ復興に果たしてきた功績の大きさは計り知れないものでした。施設の整備 から地元選手の強化まで、多岐に渡り、「大いなる遺産」を残して来ました。特に選手強化面においては 若手の発掘や、地方(開催地)に埋もれている選手の活性化ということもあって、「地元の天皇杯獲得」の 慣例は善い意味でのプレッシャーにもなりました。しかし、国体が日本を一巡し、2巡目に入った1988年 の京都国体の頃から、マンネリ化や、無駄な施設の整備、国際化時代におけるトップ選手の不参加などで 見直し論も出て来るようになりました。「負の遺産」の側面がクローズアップされてきたということです。 しかし、一旦長年の慣習となってしまったものを覆すのはそれなりにパワーが必要なもので、見直しは 「論」の域に留まったまま、それがズルズルと今日まで続いていたと言えるでしょう。 卓球界で現状を見ても、現に、今、日本のトップの選手(ナショナルチームメンバーの多く)はITTFプロ ツアーのオランダオープンに出場していますし、戦績面も、高知国体よりどちらかと言うとオランダ オープンの方が気になったりします。国体で興味が湧くのは、少年男子で青森(と言うより青森山田)が 順当に連続優勝を伸ばすか、と、少年女子で宮城vs大阪(と言うより仙台育英vs四天王寺)でどちらが 勝つか、といったところですね。少年の部の方は比較的高校単独チームの場合が多く、インターハイ、 高校選抜と並ぶ「第3のビッグイベント」と見ても良いかも知れませんが、成年の部の方はほとんどが 寄せ集めの即席チームですからチョット興味は半減します。 ただ、開催県の熱意はありますよね。今年の高知であれば、浜田夫妻(旧姓・村上裕和と浜田華奈子)は それぞれ協和発酵と第一勧銀→十六銀行という日本リーグトップチームに所属していたところから 結婚を機に華奈子夫人の実家の高知に移りましたし、来年の静岡国体に関して言えば、最近急に躍進して 来た実業団チームのアスモは、この静岡国体に照準を合わせたものだということです。(他人から聞いた 話)。ナショナルチームメンバーの高橋美貴江選手が淑徳大卒業後、日本リーグのチームなどに行かず、 淑徳短大職員という所属なのは、再来年(2004年)の埼玉国体の絡みだとか…。(これまた、他人から 聞いた話)。しかし、まあ、こういった「国体用」の強化策は、国体終了と同じに消えてなくなることも 多いわけで…。平成5年の香川国体あたりは、国体が終わったら実業団チーム(四国化成)はなくなるわ、 中国からの助っ人選手(朱芳など)は帰国するわ、でしたからね。国体を機に、スポーツ振興がその地元に 根付く、というのが理想形なのでしょうが、実際にはなかなか困難なようです。 ま、今回の高知国体で、「天皇杯獲得にこだわらない」、「なりふりかまわない強化策をしない」、「華美を 避け、簡素化する」といった方針が取られたのは、スポーツの理念よりは、むしろ財政事情など、もっと 泥臭い現実の問題で必要に迫られたからのようですが、理由が何にせよ、とにかく慣習は破られました。 これをキッカケに、今後、国体がどう変容していくのか、興味深いところです。オピニオンのページへ