2002-5/9(木) オーダー外しと試合方式に関する一考察 … 1998−6/7(日)、旧日卓協HP投稿済の再掲載(一部、修正あり) 監督(と言うか、オーダーを組む人)が、自チームが勝つためにオーダー外しをすることが 批判されることがあるようですが、これは的外れだと思います。「逃げずにエース同士を トップで当てた」などと美談めいて語られることもありますが、当たればどちらかは負ける わけですし、その結果、チームが負ければ監督の采配ミスということになります。 少し話がチグハグかも知れませんが、個人の試合の場合を想定してもそうでしょう。 相手はフォアサイドがメチャクチャ強いけど、バックは穴だ、と見れば、フォアへは見せ球 (捨てポイント)を送っておいて、とにかくバックをつぶすのが当然です。「ここであえて フォアの打ち合いに行き、自分のフォアを磨くんだ」というのは、きれい事であっても 現実的ではありません。勿論、フォアの打ち合いにもっていって、勝てばいいですが、 負ければ「アホ」と言われるでしょう。当然です。勝負は自分の得意と相手の不得意を 組み合わせて、最終的に先に11本を、あるいはゲームを、そしてマッチを、いかに取るか、 なのです。捨てるポイントと確実に取るポイントを組み合わせ、最終的に、結果として 勝利しているように計算されているのが理想です。その過程での「捨て」や「拾い」は、 汚いことでも、きれいなことでも、どちらでもないでしょう。 監督(と言うか、オーダーを組む人)は、定められたルールに違反しない限り、「オーダー 外しは汚い」とか、「エースをトップに出し、正々堂々と勝負すべきだ(なんでそれが 正々堂々なんだ?という感じがする)」とか、他人にゴチャゴチャ言われる筋合いはない はずです。 と、こう書くと、私が勝利主義者のオーダー外し主義者かと思われるかも知れませんが、 そうではありません。実際には全く逆の「チームの勝敗は二の次でもいいから、エース 同士を対戦させろ(暴論!)」論者です。 オーダー外しに関しては、特に日本リーグなどを引き合いに出して、以前からTSP トピックスなどで批判がありましたが、4単1複で、強豪の中国人選手も多い日本リーグ などは、私から見れば「まだまし」な方です。私は主に大学生(ほとんど関東)を見ています が、関東リーグの1・2部は、男子6単1複、女子5単2複です。7点制で時間が異様に かかる(3〜4時間はザラ)のも気に入りませんが、何と言っても日本代表クラスの選手が 相手チームの5番手・6番手に当たることが多いのが非常に不愉快です。これでは、折角の 有望選手の可能性の芽も伸びません。自分と同等か、もっと上の選手と対戦し、今の自分の 限界を超えることで選手は強くなっていくのでしょうから。弱い相手に楽勝して、「俺って 強いジャン」と、いい気になって、勝ち星を稼いで、賞を貰って、・・・そうしているうちに、 国際的にはどんどん差をつけられて・・・。「大学の年齢にあたる18〜22歳で、他国の 選手はグンと強くなるのに、日本の選手はシュンと弱くなる」。もう20年程、言われ 続けている言葉です。日本の現状がどうかは誰もが知っていることなのに、誰も、どう しようともしません。私が「チームの勝敗は二の次でもいいから、エース同士を対戦させろ」 というのは、「○○大が勝った。××大が勝った」というレベルの話は、それはそれでいい けど、何年かに1人のきらめく才能の持ち主を、チームの枠を越えて育て上げる必要が あるんじゃないの?ということです。 「オーダー外しは悪くない」けど「エース同士は対戦させろ」。 一見、矛盾する主張のようですが、答えは簡単。オーダー外しのできない試合方式を 採用することです。よく引き合いに出されるのがブンデスリーガの例ですが、これでも 良いでしょうし、現行の世界選手権の団体戦方式も良いでしょう。もっと他にも、いろいろ 考えられる余地はあるでしょう。いずれにしても、「オーダーで逃げられないシステム」が 確立すればよいのです。先にも少し書きましたが、監督は「定められたルールに違反しない」 範囲内で、自チームの勝利を目指して最大限の努力をしてもらえばいいのです。オーダー 外しができなくなれば、今までそれに使われていた労力は、必然と純粋な「選手強化」に 振り替えられるでしょう。 オーダー外しのできない試合方式の採用にブレーキをかけるのが「伝統」という、ワケの わからないものと「今、強いチームの都合」です。 「伝統」という、ワケのわからないものに関しては、ここでは触れません。 「今、強いチームの都合」というのは、これがやっかいでして・・・。 オーダー外しの「できない」試合方式にしろ、「できる」試合方式にしろ、とにかく試合方式 を決めるのは、その試合の主催団体です。それは高体連であったり、学連であったり、日本 リーグであったり、○×卓球連盟であったりするのですが・・・。で、そのほとんどの意思 決定には、「現場の意見」と称して、監督会などの意見が重要視されるのです。監督会の 意見とは、ほとんどが「現在、トップにいるチームの意見」ということになり、必然的に 「現状維持論」が優勢になります。なぜって?。そのチームは「今のシステムの下でトップ の地位にいるから」です。「試合出場に必要な最低人数」、「試合出場可能最大人数」、「1人の ムチャクチャ強い選手で最大何点取れるか」などなどは、そのチームのメンバー構成などに よる有利・不利のバランスに影響します。中堅の実力の選手が30人もいるようなチーム には、選手をズラっと並べただけの8点先取15点制(!!)なんてのが有利でしょうし、1人 だけムチャクチャ強いのがいるけど、後は大したことない、というチームには、コービロン 方式が有利でしょう。「今のシステムの下でトップにいるチーム」は、「今と違ったシステム」 によって自チームが現在の地位を追われてしまうことが怖いのです。かくして、オーダー 外しのできない試合方式は、日本にはなかなか採用されず、清く正しいオーダー外しは 正々堂々と横行し、日本はますます国際的に遅れていくのでしょう。(なんか、先の事まで 見通せちゃってる自分が、すごいような、むなしいような・・・。でも、やっぱり「残念」という 思いが大きいですね)
オピニオンのページへ