平成14年度・関東学生選手権・コメント

 7月4日(木)〜6日(土)の3日間、駒沢体育館において行われました関東学生卓球選手権大会
 (通称、関東学生)のコメントをアップします。


男子シングルス

 コメント:

  組み合わせ全体の前半部分ではシード選手の敗退が相次いだ。
  8シードの田中(早大)が岡本(青学大)に、16シードの藤井(明大)が寺島(筑波大)に、32シードの
  石原(専大)が溝口(中大)に、と、実績のある選手達がそれぞれシードの初戦である4回戦で敗退した。
  さらに、続く5回戦で8シードの大柿(専大)が中野(埼工大)に敗れ、ベスト64にとどまった。
  (以上は、主なもののみで、もっと多数のシード選手敗退があった)
  大柿、石原の2人は専大のエースダブルスを組む中軸選手だが、今大会はダブルスでもシードを守れず
  早々に敗退したことに続くシングルスの敗退で、今後に課題と不安を残した。

  ランク(ベスト16)決定戦では、8シードの木村(埼工大)が清水(中大)に、16シードの山田(専大)が
  荻原(大正大)に敗退していた。ただ、この辺りは実力者同士の対戦なので、番狂わせと言うよりは、
  紙一重の勝負の結果と言える。
  ベスト16には、中大から大量6人がランク入り(全体の3分の1以上!)。次いで明大、専大、早大から
  各2人ずつ。あとは、埼工大、大正大、青学大、日大から1人ずつが入った。筑波大は高森の欠場(US
  オープンに参加)が響き、1部校で唯一のランクなし(単複とも)となった。去年は「2部校なのにベスト
  4に2人(石田・高森)入る」ということで驚きを与えたが、今年は残念な結果に終わった。
  16シード中、これを守ってのランク入りは11人、シードを破っての進出は5人だった。

  ベスト8決定戦。ここから7ゲームスマッチ(4ゲーム先取)となる。

  前年準優勝で今年第1シード、そして前日のダブルスでも優勝している張凱(埼工大)は、ここで田中
  (中大)に敗れた。春リーグでも両者は対戦し、やはり田中は勝っていた。単複2冠王で最終学年を
  飾りたいところだった張凱は、惜しくもベスト16に終わった。男子単で唯一ランク入りした留学生
  選手であった張凱の敗退により、この種目の日本人の優勝が確定した。前日の男女ダブルスに続き、
  結果的に女子シングルスも留学生選手が優勝した今大会の中で、男子単は留学生が絡まない優勝争いが
  展開された唯一の種目となった。

  4シードだった布川(中大)は柳田(明大)に0−4のストレート負けを喫した。しかし、スコアは
  ジュースの連続で非常に競っていた。20-22なんて、21点制時代のものと思える。布川は、故障で
  春リーグにほとんど欠場状態だったことを考えるとベスト16入りを果たしたことでも評価できる
  だろう。

  早大期待の新人勢、中野と岸川もここで敗退した。新人戦ワンツーフィニッシュ、春リーグ2部優勝、
  1部復帰、と続いていた一連の流れも、ここで小休止の感じ。特に新人戦優勝で、世界大学の国内予選を
  通過し、本戦の日本代表にもなった中野は、場合によっては一気に上位進出も期待されたが、これは
  成らなかった。過去2年間、大森→谷口と続いた早大の連続優勝もここでストップした。

  最も番狂わせな顔合わせとなったのは、64シードから勝ち上がって来た者同士の阿部(淳)(専大)vs
  藤沢(日大)戦。藤沢は2ゲームを先行したが、後が続かず、逆転負けを喫していた。

  ベスト8には、中大から3人、明大、専大から2人ずつが入り、あとは青学大から1人が入った。
  1部上位の3校の複数人上位進出は納得できるが、2部中堅校の青学大から8入りした今林は評価
  される。

  準々決勝では明大勢と中大勢が強さを見せた。

  明大勢の2人、並木と柳田は、3年生対決となった顔合わせでそれぞれ大谷(準)(専大)と今林(青学大)
  に対し、2ゲームずつがジュースにもつれ込む接戦ながら結果としては4−0のストレートで勝って
  4強入りを果たした。敗れたものの、大谷(準)は今大会、ダブルスでも準優勝で、関東学生では3年
  連続で単複ともにランク入りし上位に顔を出している。相性の良い大会といえる。昨年末以来、ここ
  半年ほどパッとしなかったが、これをキッカケに復調は成るか?。期待したい。

  中大勢は、田中が阿部(淳)(専大)に4−1で勝つ。ジュースにもつれ込むゲームが3ゲームと競った
  ものの、実力的には順当だった。阿部は、2年で唯一の8強入り。評価の高くない学年の中で意地を
  見せた。同士討ちで、しかも同期生対決(4年生同士)となった渡邊(隆)vs清水は、実力通り、主将で
  エースの渡邊(隆)が4−1で勝った。敗れたとは言え、清水は昨秋のリーグ戦での優勝に貢献する
  MVP(殊勲賞)以来、着実に実績を積み重ねている。

  ベスト4には、明大と中大から2人ずつが入り、準決勝で直接対決をすることとなった。春リーグでも
  最終日に直接対決で優勝を争った両校が、ここでも再びガップリ四つに組んだ格好となった。明大の
  右の3年生勢(並木、柳田)vs中大の左シェークドライブ勢(渡邊(隆)、田中)の対照的な対戦。

  並木(明大)vs渡邊(隆)(中大)は、春リーグでは渡邊が勝っている顔合わせの再現だったが、今回は並木が
  4−0の完勝で借りを返した。第4ゲームは渡邊が3度ゲームポイントを握る場面があったが、並木が
  ここを凌ぎ切った。
  第2シードだった渡邊は、上位シード勢の中では唯一、直接優勝争いに顔を出した。これで4年連続の
  ランク入りで、しかも徐々に成績を上げてきた渡邊。他校の主将達(大柿(専大)、田中(早大)など)が
  早々に敗退していく中、4年生で唯一のベスト4入りを果たし、意地を見せた。残り半年の学生生活の
  中で、どのような締めくくりの活躍を見せるのか、注目される。

  柳田(明大)vs田中(中大)も4−0のストレートで決着がついた。後から見ると、ジュースにもつれ
  込んだ第1ゲームが勝敗を分けた、ということか。
  敗れた田中は、初戦(4回戦)の木村(青学大)戦で大苦戦。負けてもおかしくないところを逆転勝ちして
  ここまで勝ち上がって来た。やはり、第1シードの張凱(埼工大)を破ったことが高く評価される。
  比較的評価の高い1年生勢の中で、中野、岸川ら早大のライバル達がベスト16にとどまるのを横目に
  唯一優勝争いに絡んで来た。青森山田高の実力はやはり恐るべし、ということか。

  決勝は並木vs柳田の明大勢同士討ちとなった。しかも、同期生対決(3年生同士)。
  準々決勝、準決勝は2人共、4−0のストレートで勝っており、上り調子での頂上対決となった。
  右シェークのオールラウンド系ドライブ型vs右ペン裏面打法ありの表ソフト速攻型。戦型的には
  孔令輝vs劉国梁を思わせた。(レベルはかなり違うが…)。
  入学以来の過去2年余り、関東学生と全日学で1度もシングルスのランク(ベスト16)にさえ入れな
  かった2人。高校時代の実績と、大学でも団体戦での実績が、その実力を証明しているだけに、不思議な
  現象だったが、今回、一気にジンクスを覆した。準決勝終了時点で、平成10年度の遊澤以来、4年ぶり
  の明大勢の優勝が確定した。果たして、偉大な先輩に続くのはどちらか。

  柳田のサーブで決勝の第1ゲームはスタートした。同士討ちとあって、チームからの組織だった応援が
  なく、準決勝までに比べ寂しさを感じさせる。最高位を決める舞台なのに…。(これは新人戦の早大
  同士討ちの際にも感じたことだが…)。0-0から5-5まではタイスコアの連続だったが、ここから並木は
  8-6とリード。3本連取され、8-9と逆転されたが、逆に3本連取し、11-9で、まずゲームを先取した。

  第2ゲームは、柳田が3-0とリードする出足だったが、すぐ3-3、4-4、5-5。サービスエースなどで、8-5と
  再び離す柳田。8-6からは3球目ナイススマッシュを決め、さらにサービスエースで10-6とゲーム
  ポイントを握る。積極的にレシーブを払ってミスするなどで、10-9まで迫られたものの、最後は11-9で
  柳田が取り、1−1のイーブンに持ち込んだ。

  第3ゲーム。サーブを持って2-0スタートの柳田だったが、ここからややミスが目立つ。1本取る間に
  9本取られ、3-9と一方的に離された。荒さと共存するしかない、激しい表ソフト速攻型の宿命では
  あるが…。ここから、裏面打法や3球目攻撃を決めるなどで追い上げを見せた柳田だったが追い付く
  までには至らず、11-7で並木がゲームをモノにした。

  第4ゲーム。サーブスタートから出足で4-1とリードする並木。ここで走られてはマズい、と4-4に
  追い付く柳田。が、ここで並木は4本連取し、8-4、さらに10-5とゲームポイントを握った。柳田は、ここ
  から3球目攻撃を決めるなど、第3ゲーム同様、追い上げを見せたが、やはり届かず、11-7で再び並木が
  逃げ切った。並木、3−1と優勝に王手をかける。

  第5ゲーム。3-1と出足をリードする並木に対し、後がない柳田は3-3で追い付く。4-4、5-5と競り合い、
  5-6で柳田が1本リードしている場面で並木にエッジボールがツいた。これを境に並木が優勝へラスト
  スパートする。連続得点の末、9-6から3球目攻撃を決めて、10-6とチャンピオンシップポイントを
  握った。ここでも消極策を取らず、レシーブを積極的に払って行って1本ミスにはなったものの、最後は
  11-7で、計30分の決勝戦を締めくくった。4−1、並木、初優勝!!。

  並木は、2年前の新人戦優勝以来、久々の個人タイトル獲得となった。3位に終わったダブルスは優勝
  候補最右翼と見ていただけに、後から考えると単複2冠王のビッグチャンスだった、と、惜しく思われる
  が、まあ、金と銅でも立派な成績に変わりはない。
  右シェークドライブという戦型は、余程個性を発揮しないと国際舞台での活躍は難しいかも知れない。
  世界に最も多い上、国内でもNTメンバーに真田、大森、木方、新井、三田村、倉嶋、徳村、熊田、三原、森田、
  高木和…とワンサカと同型が顔を揃えている。こういった状況ではあるが、今回の優勝をキッカケに
  飛躍を期待したい。
  実践学園高→明大、というエリートコースには、先輩・木方、同僚・藤井、後輩・村田らがいる。木方でさえ
  シングルスでは取れなかった関東学生のタイトルを獲得し、名門ルートの存在をアピールした並木。
  大学生活の折り返し点を過ぎ、あと1年半でどう化けるか?。

  柳田は、個人的には並木より期待している部分もある。稀少な戦型や、関東リーグで通算21勝(4敗)
  と、3年春で早くも特別賞を確定してしまっている実績や、高校時代から「青森勢と互角に渡り合える
  唯一の選手」と言われている潜在能力や、…。ただ、その反面、がっかりさせられることもいろいろ
  あった。過去2年間の個人戦の成績は勿論、その他、ちょこちょこと…。今回の久々の決勝進出を期に
  かつてのように名実共にトップクラスの地位に戻って来てほしいと切望する。


女子シングルス

 コメント:

  学生女子卓球界の無敵艦隊である淑徳大の両輪、4シードの藤井と16シードの潮崎は、腰の故障で
  ダブルスに続き、シングルスも棄権した。揃って世界大学の国内予選を通過し、本戦の日本代表にも
  なっている2人の欠場は、結果として、今大会の留学生選手の大活躍にも影響した。今は、「2人が
  インカレまでに完全復調成るか」、が注目される。

  その他、前年ランクの16シード・関口(青学大)や、32シードの実力者の米田(中大)も棄権した。

  ダブルス同様、棄権による波乱含みの予感が尾を引いたように、試合が始まるとシードの初戦である
  4回戦で16シードの田中、犬伏(共に専大)、32シードの西岡(淑徳大)らが敗退した。特に一昨年
  ベスト4という実績を誇っている田中は、今大会は第1シードだったダブルスもランク決定戦以前に
  早々の敗退を喫し、全く良い所がないまま終わった。

  ランク(ベスト16)決定戦では、前年ベスト8で、8シードの伊藤(専大)が玉木(中大)に、前年ベスト
  16で、16シードの山本(青学大)と片野(大正大)が、それぞれ仲村(早大)と劉(東富大)に敗れた。
  また、注目された曹(中大)vs河村(東富大)の春リーグ5戦全勝対決は、曹が圧勝した。世界大学の日本
  代表にまでなった河村にしてみれば、ランク決定での曹戦は、何とも厳しい組み合わせだった。

  ベスト16には、中大から4人、大正大と東富大から各3人ずつ。淑徳大、日大、早大から各2人ずつが
  入った。専大、青学大からランカーが出なかったのは、両校の現在の危機的状況を反映していると
  言えるだろう。2部落ちした青学大はもちろんだが、単複揃ってノーランクの専大は…「マズい」。
  しかし、中大は男女揃って多数のランカーを生み、凄い。今年は、新人戦、春リーグに続いて男女とも
  結果を出し続けている。この流れはこのままインカレ、秋リーグと続くのか?。
  16シード中、シードキープのランク入りは半分の8人となり、残りの8人は上位シードを破っての
  進出となった。また、外国人留学生選手は5人がランク入りした。

  ベスト8決定戦。ここから7ゲームスマッチ(4ゲーム先取)となる。

  2年ぶり2度目の優勝を目指す第1シードのキ林(大正大)は、陳微娜(淑徳大)との留学生対決で、
  「取って、取られて、取って、取られて」、1−1、2−2となったが、ここからジュースのゲームを連続して
  落とし(11-13、11-13)、2−4で敗退した。キ林は過去3年間で「準優勝→優勝→3位」と、常に優勝争い
  に直結していただけに、最後がベスト16では残念としか言いようがない。また、別の角度から見ると
  同じく過去3年間で「複→単→複」と、毎年優勝していただけに、最後に無冠で去るのは寂しいところ。

  第3シードの大畑(大正大)は湯原(東富大)と互角の大接戦を展開。1−1、2−2、3−3とゲームを
  取り合った末の最終・第7ゲームはジュースまでもつれ込んだが、12-10で何とか競り勝っていた。
  惜敗した湯原だったが、入学以来の2年半で、個人戦(関東学生と全日学)は全てランク(ベスト16)を
  キープと安定感は光っている。今大会はダブルスでも優勝し、その存在を強烈にアピールした。

  外国人留学生vs日本人の対戦が3試合あったが、結果は留学生の2勝1敗に終わった。
  劉(東富大)は1年生対決で福岡(日大)に4−2で勝った。ジュースにもつれ込むゲームが3ゲームと
  いう接戦だったが、これを乗り切った。曹(中大)は佐藤(麻)(大正大)を4−0ストレートで一蹴した。
  留学生で唯一敗北を喫したのは張虹(日大)。一昨年3位に入った実績もある張虹だっただけに、高橋
  (東富大)に0−4でストレート負けを喫したのは意外だった。

  ノーシードからランク入りした者同士の対戦は秋山(早大)が沼田(中大)に4−2で勝ち、8入りを
  果たした。秋山は藤井(淑徳大)が棄権したパートからの勝ち上がりで、好運は勿論大きかったが、
  このチャンスを大きな結果に結びつけたことは評価できる。
  同じく早大vs中大の対戦となった仲村(早大)vs玉木(中大)戦は最終ゲームまでもつれたが、最後は
  4−3で玉木が競り勝った。玉木もノーシードからの8強入り。仲村が勝てば2部の早大から2人の
  8強入りとなるところだったが、これは成らなかった。

  ベスト8には、中大から3人、東富大から2人、淑徳大、大正大、早稲田大から各1人ずつが入った。
  日本人5人に留学生3人という構成で、準々決勝では日本人vs留学生の対戦が3試合となった。

  準々決勝は、4試合とも、比較的一方的に決着がついた。
  ノーシードからここまで勝ち上がって来た2人、秋山(早大)が曹(中大)に、玉木(中大)が大畑(大正大)に、
  それぞれ0−4のストレートで敗れたのは実力的に仕方ないところ。ここまで来た健闘をたたえる
  べきだろう。だが、第2シードの柏木(中大)が劉(東富大)に1−4、張虹(日大)にストレート勝ちした
  高橋(東富大)が陳(淑徳大)に同じく1−4というのは、意外なスコアだった。

  ベスト4には1部の1〜4位校から1人ずつが入った。準々決勝の日本人vs留学生の3試合は、結局
  留学生がいずれもワンサイドゲームで3戦全勝、という結果に終わった。留学生の3人はいずれも
  1年生で、準決勝の顔ぶれは新人戦のベスト4を思い起こさせた。新人戦時の福岡(日大)が大畑
  (大正大)に入れ替わり、準決勝の対戦カードが入れ替わっただけだ。

  ベスト4唯一の日本人、大畑(大正大)は、これまでも強豪外国人留学生に対しても互角以上の実績を
  残しており、「日本人最後の砦」として注目された。皮肉にも(?)、4強入りするまでは留学生との対戦は
  なく、準決勝の劉(東富大)戦が初の対留学生戦となった。春リーグでも対戦し、接戦ながらも大畑が
  勝っていた顔合わせだっただけに、当然、期待も高まったが、意外にも1−4で劉がスコア的には圧勝
  した。この瞬間、留学生選手の4連覇が確定し、逆に過去3年間続いていた大正大の連覇は途切れた。
  (過去3年間の優勝は、馬佳→キ林→馬佳、の大正大留学生3連覇だった)。
  今回は敗れたが、世界大学の国内予選を1位で通過した大畑は、日本人最強の選手の1人であることは
  疑いない。今後も、強豪留学生選手達に対し、「最も強敵の日本人」であり続けてほしい。

  もう一方の準決勝は、新人留学生対決となった。ここまでの3ヶ月間の新人戦と春リーグにおける実績
  では曹(中大)の方が陳(淑徳大)を上回っており、今回も当然、曹の優勢が予想されたが、意外にも陳が
  1・2ゲームを連取する。ジュースにもつれ込んだ第4ゲームを取った時点で3−1と陳が王手を
  かけた。が、曹はここから粘る。ゲームを連取し、3−3のフルゲームまで持ち込んだ。互角となった
  ラストゲームは3-3、4-4から陳リードの5-4でチェンジエンド。6-4、7-5、8-6とリードをキープした陳は、
  サーブを持って10-6とマッチポイントを握る。勝負あったと思われたところから曹は好ラリーをモノに
  するなどで8-10と食い下がる…が、粘りもここまでだった。ラストサーブが帰って来た陳は11-8で勝負を
  決め、4−3の熱戦に終止符を打った。

  新人戦、春リーグを負け知らずで来た曹冬梅だったが、この関東学生では前日のダブルス決勝に続き、
  このシングルスでは準決勝敗退となった。しかし、入学4ヶ月目にして、まだ全試合合計でたった2敗
  目というのは凄い。団体、単、複、出場すればどの種目でも優勝争いに絡んで来ている。さまよえる伝統
  校だった中大女子に、新風を吹き込んだ存在と言えるだろう。

  決勝戦は、新人戦ベスト4同士の1年生留学生対決となった。2人共、32シードの位置から頂上決戦の
  ステージまで駆け上がって来た。両者は春リーグで、初日にいきなり対戦し、陳(淑徳大)が劉(東富大)
  に勝っていた。また、陳が春リーグ4戦全勝だったのに対し、劉は2勝3敗の負け越し。曹、陳、キ林、
  張虹(2部)がいずれも4勝以上あげる活躍を見せる中で、「活躍出来なかった唯一の留学生」のレッテル
  を貼られるところだった。全般的に見て、「陳、有利」との予想は当然だったと言えるかも知れない。
  ここまで、キ林、曹冬梅といった留学生対決に勝って来ていることも陳には好条件と思われた。(激戦に
  よる疲労などの要素を除けば…)。劉に有利な要素を探せば、汚名返上にかけるチャレンジャー
  スピリットと、前日のダブルス優勝で上昇気流に乗り、単複2冠王を狙っていることか?、と思われた。

  試合は、第1ゲームを11-9の接戦で劉が取ると、第2ゲームも何と11-2のワンサイドゲームで劉が連取
  するという、予想外の展開となった。さらに、続く第3ゲームも11-3と、またしてもワンサイドゲームで
  劉が取り、一気に3−0と王手をかけた。陳は一体どうしたのか?。続く第4ゲームも劉が3-1と出足
  リードを奪う。しゃがみ込みサーブが効いていた。陳はネットインエッジのラッキーポイントもあり、
  3-3に追い付くが、ここから劉は4本連取。7-3、そして9-4。ついに10-5でチャンピオンシップポイントを
  握った。ダブルスコアでのワンサイドの結末を誰もが思い描いた場面だったが、ここで陳は好レシーブを
  見せ、6-10。しかし、それでも誰の目にも「遅過ぎる」としか映らなかったハズだ。が、何と陳はここから
  1本、また1本とジリジリ差を詰める。信じられない展開だったが、10-9からはレシーブドライブエース
  を決め、ついに10-10のジュースに追い付いてしまった。凄い!。これが実力なら、それまでの展開は何
  だったのか?。一方、5本のチャンピオンシップポイントが消えた劉のショックは大きいところ。
  しかし、勝負の流れはわからないもので、奇跡的に追い付いた陳が3球目攻撃をミスする。6回目の
  チャンピオンシップポイントが回ってきた劉は、最後の最後のこのチャンスをモノにし、ついに、と言う
  か、ようやくと言うか、12-10で冷や汗モノの勝利を手に入れた。4−0ストレートで劉テイテイが
  初優勝達成。しかも、単複2冠王!!。

  スコア的には楽なワンサイドストレート勝ちを収めた劉だったが、万が一、あの第4ゲームを逆転されて
  いて、その後、敗れるような事になっていたら一生忘れられないトラウマになったことだろう。
  危なかった。
  劉の優勝は、4年制の東京富士大として初優勝なのは当然だが、富士短大時代を合わせて見ても、昭和
  54年度の神田絵美子以来、何と23年ぶりで、しかも史上2人目の優勝となった。新人戦や全日学や、
  関東学生のダブルスでは比較的優勝している富士短だけに、関東学生のシングルスでこれまで1回しか
  優勝していなかったというのは、意外だった。
  関東学生の女子シングルスは、平成4年以降の11年間で、平成10年の益田(専大)以外の10回は
  留学生選手の優勝となった。去年までは、関東にいる強豪留学生は2〜3人だったが、今年は新人の
  3人の加入により一気に5〜6人になった。今後、少なくとも4年間は、この傾向が継続するものと
  思われる。なお、単複2冠王は去年の馬佳(大正大)に続き、2年連続での誕生となったが、ここ数年で
  見ると、H8の蘇迎学(大正大)、H11とH13の馬佳、そして今年の劉テイテイと、強豪留学生の2冠
  獲得も多い。

  惜しくも2位に甘んじた陳微娜。最後の最後に意地は見せたが、それにしても決勝の完敗ぶりは
  どうしたことか?。準決勝の曹冬梅戦は確かに激戦だったが、それで全てが終わってしまったと仮定
  するにはあまりにも…。しかし、本来、チームを牽引すべき潮崎と藤井が欠場した今大会で、「強豪・
  淑徳大」をアピールする役割は十分に果たしたといえる。また、今後は「無敵の淑徳」の一翼を担う姿が
  見られるだろう。


男子ダブルス

 コメント:

  8シードの8ペア中、シードを守れず、ランク入りを逃したのは、大柿・石原組(専大)と渡邊(隆)・
  松島組(中大)の2ペア。有力校のキャプテン絡みのエースダブルスが意外な敗戦を喫した。

  ベスト8には、明治大から4ペアが入り、春リーグ優勝のチーム力の一端を見せていた。中大、専大、
  埼工大といった1部上位校からも1ペアずつはランク入りを果たした。2部の強豪・駒沢大もランク
  ペアを生んだ。逆に、筑波大、大正大、早大はランクを逃した。

  準々決勝で最も接戦となったのが、張凱・有本組(埼工大)vs柳田・藤井組(明大)。11-9の第1ゲームの
  後、第2ゲームからは連続してジュースのゲームとなり、これが最終・第5ゲームまで4ゲーム続いた。
  0−2からゲームオールに追い付いた柳田・藤井組だったが、最後は惜敗を喫した。

  第1シードの井内・増田組(中大)は山田・大谷(準)組(専大)にフルゲームの末、惜敗したが、実力的
  には致し方ないところか。むしろ、2年連続ベスト8は健闘したと誉めるべきだろう。

  ベスト4には明大から2ペア。そして埼玉工大と専大から1ペアずつが入った。第2〜第4シードの
  3ペアが順当に4強入りしたことで、ほぼ順当な結果だったと言える。

  準決勝の2試合はいずれも3−1で明大勢が敗退した。ここまで8強中の4組、4強中の2組と、常に
  半数を占めてきた明大勢だったが、決勝進出は成らなかった。個人的には、全日学と東京選手権で8強
  入りしている並木・川口組を優勝候補筆頭と見ていたのだが…。(結果的に、この後、シングルスを
  制した並木にしてみれば、単複2冠王の絶好のチャンスを逃したと言える)。

  決勝は、張凱・有本組(埼工大)vs山田・大谷(準)組(専大)の顔合わせとなった。
  張のサーブ、大谷のレシーブで始まった第1ゲームは、3-3、5-5、6-6、7-7とスコア的には競りつつも、
  終始押し気味に試合を進めた専大ペアが11-8で先取し、第2ゲームも出足で4-2とリードを奪う。
  張組に4本連取され、4-6の劣勢となるも5本連取でお返しし、9-6。10-8でゲームポイントを握り、
  「これで2−0か?」と思われたが、ここから埼工大ペアが逆襲。4本連取で12-10とゲームをひっくり
  返し、1−1のイーブンとした。
  第3ゲームは、埼工大ペアが4-0と好スタートを切ったが、4-4と追い付いた専大ペアは、5-5、6-6、7-7、
  8-8と競る。が、終盤、勝負をかけた山田のレシーブ攻撃がミスになるなどで、最後に再び埼工大ペアが
  連取し、11-8で取り、優勝に王手をかけた。
  第4ゲーム。後がない専大ペアは5-2、7-4、9-5とリード。このまま押し切ってフルゲームに持ち込み
  たいところだったが、ここから埼工大が再び連取を見せ、9-9に追い付く。先に10本目を取った専大
  ペアだったが、有本に3球目を決められ、ジュースに持ち込まれる。そして…ついに12-10で埼工大ペア
  が競り勝ち、3−1で初優勝を決めた。

  埼工大からは、平成11年度の黒川・王輝組以来、3年ぶりの優勝となった。黒川・王輝組は、その後、
  全日学の男子ダブルスでも優勝を飾っているが、今年はこれに続けるか?。
  去年、単複ともに2位に終わった張凱は、相手が違うとは言え、雪辱を果たす格好となった。3年前の
  関東新人戦シングルス以来、久々のタイトル獲得で、埼工大の先輩留学生達(周宏、周ケン(現・新井周)、
  王輝)に劣らず、歴史に名を残した。
  新人・有本も要所で良いバックドライブを決めるなど、活躍を見せた。今後、チームの単複の主軸に
  なって行くことだろう。

  惜敗した専大ペアは、ゲームポイントを握っていながら逆転負けしたジュースの2ゲーム(第2と第4)
  が惜しかった。山田は初タイトルのチャンスを逃した。大谷は一昨年、井之上と組んでの優勝、去年の
  石原と組んでの3位で、これで3年間で1〜3位を全て経験したことになる。シングルスでもベスト8
  に返り咲いた大谷は、「関東学生に強い」という定評を得たと言える。


女子ダブルス

 コメント:

  個人的に優勝候補筆頭と見ていた第3シードの潮崎・藤井組(淑徳大)は、何と2人揃って腰を故障し、
  今大会を単複とも棄権した。インカレまでに復調なるかが今後の注目点となる。
  また、8シードの柏木・米田組(中大)も、米田の事情で棄権した(米田はシングルスも棄権)。

  このように、実際の試合が始まる前から波乱の雲行きだった女子ダブルス。その後も、前年2位で今年
  第1シード、今大会のプログラムの表紙にもなっていた田中・伊藤組(専大)が早々に敗退するなどで、
  8シードの8ペア中、シードを守って8強入りしたのはわずか3ペアのみだった。

  ベスト8には、東富大、大正大が2ペアずつ。あとは、4校から1ペアずつが入った。1部校で唯一
  ランク入りを逃した専大はシングルスでもノーランクで、今大会、全く良いところがなかった。
  田中・伊藤の2枚看板も精彩を欠いた。(田中は、過去3年連続ベスト4以内だったが、今回、最終学年
  にしてベスト32止まりという屈辱を味わった)。
  また、外国人留学生絡みのペアが全体の半数に及ぶ4組8強入りした。唯一、8強入りを逃した陳微娜
  (淑徳大)のペアは、キ林(大正大)ペアとの「留学生同士討ち」の結果で、事実上、留学生は対日本人に
  全勝していたと言える。

  準々決勝では接戦が目立った。
  16シード同士の対戦となった試合で、片野・池田組(大正大)は、春リーグ5戦全勝の西岡・工藤
  (淑徳大)組に対し2−0とリードしながら2−2に追い付かれたが、最後は何とか逃げ切った。
  同じ大正大でも、逆にキ林・佐藤(麻)組は、湯原・劉組(東富大)に2−0から3ゲーム連取され、
  大逆転負けを喫した。キ林は、馬佳とのペアだった過去3年間で、優勝→3位→優勝だったが、最後の
  年にベスト8にとどまった。(ただ、結果論で言えば、優勝した湯原・劉組を最も苦しめたという事実は
  残る)。
  曹・高橋組(中大)は張・森門組(日大)に3−0のストレート勝ちだったが、内容は3ゲームいずれも
  ジュースの接戦だった。
  第2シードの加登・小森組(青学大)は高橋・河村組(東富大)にストレートで敗れていた。

  ベスト4には、東富大から2ペアが入り、あとは中大、大正大から各1ペアが入った。ベスト8に4組
  進出していた留学生絡みのペアは、準々決勝での直接対決2試合を経て、2組が4強入りしていた。

  準決勝は2試合とも「留学生絡みペアvs日本人ペア」の対戦となったが、いずれも留学生絡みペアが
  勝ち、決勝に進出した。
  片野・池田組(大正大)は実力的に見てベスト4入りしたことが出来過ぎの感があり、湯原・劉組
  (東富大)に0−3でストレート負けしたことも致し方ないと思われた。
  これで、高橋・河村組が勝てば決勝は東富大の同士討ちになるところだったが、これは成らず。曹・
  高橋組(中大)が決勝に進んだ。

  決勝は、湯原・劉組(東富大)vs曹・高橋組(中大)の顔合わせとなった。湯原以外の3人は1年生で、
  その中でもやはり、強豪留学生の劉と曹がポイントを握っていた。
  第1ゲームを11-5で東富大ペアが先取し、第2ゲームは中大ペアが同じく11-5で取り返し、ここまでは
  1−1で形勢互角だったが、第3ゲームは何と、3-1から8本連取した東富大が11-1のワンサイドで
  ゲームをモノにする。王手をかけた第4ゲーム。出足こそ2-2、3-3と互角だったが、東富大ペアは
  ここから6-3、9-4と離し、最後は11-5で勝負を決めた。3−1で、湯原・劉組が初優勝。

  今回の優勝は、今春、富士短期大が4年制の東京富士大としてリニューアルし、チームとしても記念
  すべき初優勝となった。前身の富士短大時代から通して見ると、平成3年度の阪井・道広組以来、
  11年ぶりの優勝となった。阪井・道広組は、その後、全日学まで制覇したが、果たしてこれに続く
  ことはできるか。男子の張凱・有本組(埼工大)同様、留学生絡みのため全日学までその姿を見ることは
  ないペアだが…。また、この後、結果的に単複2冠王に輝いた劉は、今後、注目度が上がる事になる。

  一方、敗れた曹・高橋組。新人戦の準決勝では、劉・庄野組に勝っていたのだが、劉のパートナーが
  湯原では、やはり違った。曹は新人戦の単複2冠王、春リーグの5戦全勝と、ここまで負け知らずで
  来ていたが、大学生活4ヶ月目にして初黒星を喫した。


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