平成20年度・第75回全日本学生選手権の見どころ

 10月9日(木)〜12日(日)の4日間、東京武道館において行われる「第75回全日本学生卓球
 選手権大会(通称、全日学)」の見どころをアップします。

 全日学は4年前より、外国籍選手の出場が不可能となりました。

 大会日程はウイークエンドですので、大会当日には会場まで足をお運びいただき、選手に声援をお送り
 いただければ幸いです。入場は無料です。

 日程(予定) 10月 9日(木) PM2:00〜 主将会議
                PM4:00〜 開会式
          10日(金) AM9:30〜 男女ダブルス 1〜4回戦
                        男女シングルス1回戦
          11日(土) AM9:30〜 男女ダブルス 5回戦〜決勝
                        男女シングルス2回戦〜4回戦
          12日(日) AM9:30〜 男女シングルス5回戦〜決勝
                PM2:00〜 表彰式・閉会式

 会場の東京武道館は、東京メトロ千代田線「綾瀬」駅下車、東口から徒歩 5分です。

 ちなみに、今大会のシードは → こちら です。去年の記録は → こちら です。
 歴代の優勝者・優勝ペアーは → こちら です。歴代の最優秀新人賞受賞者は → こちら です。
 3年前(平成17年)以降のランキング記録は → こちら です。

 男子シングルス

  第1シードには、1年生ながら、「全日本2連覇中」、「事実上の日本のエース」という実績評価が
  ものを言い、水谷(明治大)が抜擢された。北京五輪から1ヶ月半、ノングルー対応も支障なく
  こなし、大学での初の大会となった関東秋リーグでも単6戦全勝でデビューを飾った。
  中国スーパーリーグ参戦・黒星デビュー直後の全日学となるが、時差の問題もほとんどなく、
  実力的に見て、文句なしの優勝候補筆頭だろう。
  福原の欠場により、名実共に今大会の目玉は水谷となる。このため、1年生としては異例ながら
  プログラムの表紙ともなった。(本当は、北京五輪時の写真が使えれば良かったのだが、著作権
  絡みの規制や手続きなどがいろいろと障害となり、秋リーグ時のものとなったが…)。
  気が早い話だが、全日学4連覇へのスタートとなる可能性も十分ある。

  第2シードには、去年は欠場したものの「全日本2年連続ベスト4」という実績がものを言って
  大矢(青森大)が抜擢された。半年前の世界選手権・広州大会では日本代表入り。広島インカレでは
  全勝でMVP(殊勲賞)を受賞。今大会も優勝候補の一角であることは疑いない。かつて、インター
  ハイでは水谷に勝っている実績もあり、一発勝負では勝機もある。大矢の咆哮が、かつての全日本
  選手権の舞台だった会場に響き渡るか?

  4シードには、去年ベスト4の水野と軽部の明治大勢が入った。
  去年の決勝進出者の4年勢(久保田と森下)が卒業した今年、順当であれば第1・第2シードとなる
  ところだったこの2人だったが、水谷、大矢というナショナルチームの2人に押し出される形で、
  最低限保障されている4シードに落ち着いた。

  水野は過去3年間、ベスト16→ベスト8→ベスト4、と、着実に実績を上げてきた。この分だと
  今年は決勝進出…というところだが、実際にはどうなるか?。順当にいけば準決勝で当たるのは、
  「最強の後輩」・水谷となる。「先輩の意地」、「関東学生2連覇の実力」を見せたいところだ。

  軽部も決勝進出が鬼門となる。去年の全日学、今年の関東学生ともベスト4だった。メダルは
  既に常連だが、タイトルは遠ざかっている。久々の個人優勝は成るか?。

  4シードに3人が入った明治大勢。平成10年(1998年)の遊澤以来、10年ぶりの優勝のビッグ
  チャンスと言える。

  8シードには、前年ベスト8の瀬山と岩村(共に中央大)、坪口(青森大)、塩野(早大)が自動的に
  入った。この内、岩村はやや実力が落ちるが、他の3人は優勝争いに加わってくる可能性が高い。

  瀬山は、全日学選抜準優勝の実力を発揮すれば、念願のタイトル奪取も夢ではない。今年から8校
  制となった関東1部リーグ戦で、春秋を通じて14戦全勝だったという実績が、その可能性を証明
  している。

  4年の坪口と塩野はラストチャンスを迎える。この2人に水野を加えた3人は、過去3年連続
  ランク入りで、今回4年連続を狙う。特に坪口は、ダブルスも過去3年連続ランク入りで、単複
  フルランクへの挑戦となる上、シングルスでは過去2回の準優勝と、タイトル目前まで
  迫っているだけに、最後にこれを手にしたいところ。広島インカレに続き、大分国体でも優勝と、
  「強い青森大」が復活している今年だけに、チャンスは十分。

  3年連続ベスト8の塩野ももちろん、ラストチャンスで初優勝を狙うが、シード通りで順当に行けば
  鬼門である準々決勝の相手は去年と同じ、カットキラーの軽部。去年は完敗を喫したが、果たして、
  今年の結果は?

  16シードには、前年ベスト16の森田(中央大)、安本(愛工大)、藤田(早大)、石野(立命館大)が
  自動的に入り、続いて全日学選抜でベスト16だった原(早大)が順当にピックアップ。その他
  からは、関東学生2位の足立とベスト4の笠原(共に早大)、そして、松平(青森大)が選ばれた。
  順当な顔ぶれ。

  この中で注目は、ゴールデンルーキーの笠原と松平か?。「青・早・明」3強時代の今後を占う意味
  でも水谷に匹敵する活躍を見せたいところ。(特に、松平は、青森山田高時代の去年、水谷のダブルス
  パートナーとして優勝し、水谷の3冠王をサポートした上、今年のインターハイでは弟の健太が
  シングルスに優勝。自分もシングルスの全国優勝がほしいところだろう)

  32シードにも徳増(専修大)、甲斐(明治大)など、当たれば上位進出が狙える選手が顔を揃える。
  ランク決定戦の激戦を制すれば、最低限、「もう1度、全日学選抜での日本一チャレンジ」のセカンド
  チャンスは保障される。

  32シードの大学別人数は、早大が7人、明大が6人、青森大が4人、というベスト3。
  見事に3強時代が象徴されている。

  10月1日から採用された新ルール、「ブースター(=接着補助剤)までもを含む、完全ノングルー」。
  この影響を最も受けるのは、パワー系のボールで勝負する男子の攻撃型であることは言うまでも
  ない。先日の大分国体までは旧ルールだったが、新ルール期間に入って初の全国大会がこの綾瀬
  全日学。果たして、短期間での用具調整を迫られる状況の中で、番狂わせが誘発されるのか?、
  あるいは、シンプルに「それでも、強い者が勝つ」のか?。


 女子シングルス

  福原(早大)が学業優先を理由に欠場した。同じ北京五輪組でも、中国スーパーリーグから駆け
  つけて出場する水谷(明治大)とは対照的な形となった。「学業優先」という立派な理由を非難する
  ことは出来ない。「北京五輪までは…」と長年頑張ってきたという事情もわかる。
  ただ、目を転じれば、福原以外の出場する選手達も、運営する役員も、みんな、学校を休んでこの
  「大学生の全日本選手権」のために、集まってきているという事実もある。

  さて、本題の方に入ると…

  第1シードには、前年優勝の杉本(専修大)が自動的に入った。連覇を狙う形となるが、この1年間の
  実績は決して良いものではなかった。元々、「ベスト16〜ベスト8前後」といった実績が多かった
  が、日本一の肩書きは、「必要以上に注目を浴びる」、「負けた時、目立つ」というマイナス効果も
  生んでしまった。先日の、世界選手権(横浜)・女子代表選考会では30人中24位という結果に
  終わった。
  開会式では選手宣誓を務める杉本。その開会式で優勝杯を返還した時から、もうチャンピオンでは
  ない。チャレンジャー・杉本は、どこまで勝ち上がるか?。

  第2シードには、前年3位の野上(中央大)がランク順で入った。ただ、野上も杉本同様、この1年
  間の実績は思わしくない。秋リーグでは中大は7位に沈み、入替戦に臨む結果となったが、世界
  選手権(横浜)・女子代表選考会と重なった野上は入替戦を欠場。幸い、中大は野上抜きでも
  國學院大にストレート勝ちする予想通りの圧勝で、余裕の1部残留を果たしたものの、野上は
  代表選考会で30人中25位(杉本の1つ下)に終わった。今大会も、苦戦は免れそうにない。

  4シードには、前年ベスト8の選手達の中から、全日本ベスト4の実績を誇る照井(早大)が選ばれ、
  さらに、去年のインターハイチャンピオンで全日本ベスト8の実力者、かつ今年の関西学生女王の
  若宮(立命館大)が抜擢された。

  照井は、今年、早大の関東リーグ戦・春秋連覇に大きく貢献した。特に、福原不在の春リーグでの
  活躍ぶりは光った。今大会、再び福原不在の状況で、早大女子を牽引する活躍が期待される。

  若宮は広島インカレで単複にフル回転し、立命館大を優勝目前まで導いた。惜しくも、初優勝は
  成らなかったが、今度は個人戦で「大学日本一」を狙うこととなる。

  8シードには、前年ベスト8の小野と山梨(共に淑徳大)、井上(大正大)の3人が自動的に入り、
  残る1人には前年ベスト16の中からランク順に11位の岡田(朝日大)が選ばれた。

  この内、淑徳大の2枚看板、小野と山梨は、優勝候補の一角とも言える。小野は、「レベルは全日学
  以上」と言われる関東学生で優勝を果たし、山梨は全日学選抜で日本人女子初の3位に入った実績を
  持つ。かつて、「常勝軍団」と呼ばれた淑徳大も、この1年間では苦戦続き。関東リーグでは早大に
  春秋連続で王座を奪われ、広島インカレでは連続決勝進出が「8」でストップした。現在、保持して
  いるタイトルは、小野の関東学生シングルスのみ。全国優勝のタイトルを再び淑徳大が奪取できる
  かは、このツインエースの出来にかかっている。

  井上と岡田は、優勝争いまでは現実的には難しいと思われるが、メダル争いには十分加われる。
  シードを守って、準々決勝まで勝ち上がりたいところ。

  16シードには、前年ベスト16の岡本(立命館大)、唐沢(東富大)、浦(朝日大)、梶本(早大)、中山
  (中央大)の5人が自動的に入った。残る3枠には、関東学生準優勝の石垣(淑徳大)と同3位の
  亀崎(早大)、そして広島インカレで朝日大を初優勝に導いた殊勲賞の大野が選ばれた。
  完全ノングルー時代の幕開けとなる大会で、石垣と亀崎のカット陣がどこまで勝ち上がるかも
  注目される。

  32シードまでを大学別で見ると、早大、淑徳大、朝日大、立命館大が横一線で並んでいる。
  事実上、この4校が現在の「大学女子四天王」と言えるかも知れない。(外国人留学生が圧倒的に
  強いという状況からすれば、日本人だけの全日学での勢力図を鵜呑みにするのは安易かも知れ
  ないが…)


 男子ダブルス

  第1シードは、自動的に前年度優勝の徳増・森田組(専修大)が入った。
  去年の全日学優勝後、東京選手権準優勝、関東学生優勝と、ビッグゲームで1年間、優勝に絡み続けて
  来た実績から、今大会も優勝争いに絡む可能性は高い。ただ、紙一重の際どい勝利や大逆転勝ちも
  目立ち、「ダントツで強い」という感じではない。団体戦のダブルスでは、むしろ負けの方が多い。
  果たして、2連覇は成るか?

  第2シードには、前年3位の水野・小野組(明治大)が順当に選ばれた。長年、明大の屋台骨を
  背負ってきたこの同級生ペアーも、いよいよ大学ラストの大会。今年は、チーム事情もあって、
  このペアーでの活躍は少なかったが、最後に有終の美を飾りたいところ。関東学生では、既に
  優勝一覧に名を刻んでいるが、この全日学でも同様に名を残したいところ。

  4シードには、前年ベスト4の坂本・青山組(中央大)が自動的に入り、もう1組は、前年ベスト8の
  坪口・垣原組(青森大)が選ばれた。中大ペアーは正直言って厳しいだろうが、ここで注目は、過去
  3年連続ランク入りの青森大ペアー。4年連続のフルランクに挑戦する。坪口はシングルスでも
  同様にフルランクチャレンジで、単複に渡って注目されることになる。しかも、単なるランク狙い
  ではなく、優勝の可能性も十分ある。かつては、全日本でも2年連続ベスト8入りした同級生の
  名コンビが、最後を飾るか?。
  (奇遇なことに、第1シードの3年生コンビ以外、第2〜第4シードの3ペアーは、いずれも4年生
  コンビだ)

  8シードには、全日本ベスト8の足立・笠原組(早大)と、関東学生準優勝の軽部・池田組(明治大)、
  そして、シングルスの第1・第2シードそれぞれのペアー、水谷・甲斐組(明治大)と大矢・松平組
  (青森大)が選ばれた。「青・早・明」が揃い踏みした。
  早大ペアーは、笠原がまだ東山高だった1月の全日本でベスト8。笠原の入学後、春リーグまでは
  大活躍を見せていたが、その後、好不調が見られるようになった。
  明大は、今年はダブルスのペアリングに悩んだ。団体戦では、水野・軽部のペアリングを使ったり、
  ダブルス要員を使ったり…水谷参戦後も、水谷・甲斐組は水谷のシングルスほどは絶対的では
  なかった。(当たり前と言えば当たり前だが…)。8シードに3ペアーという有利さと、一抹の
  不安を持っての戦いとなる。
  青森大も、広島インカレでは垣原・松平組を起用していた。ただ、この大矢・松平組は、かつて
  全日本でベスト4入りし、アジアジュニア選手権で優勝した実績を誇っている。ペアリング上の
  問題はないだろう。
  この8シード4組は、上位4シードに全く引けをとらない顔ぶれが並んだ。準々決勝でも決勝戦
  並みの大激戦が予想される。

  16シードにも森田・瀬山組(中央大)をはじめ、優勝争いに絡んでくる可能性があるペアーが
  散見される。大学別では、明治大が16シードに5組が入り、他校を圧倒している。関東学生に
  続いて大量のランク入りを生むのか?。あるいは、「青・早」、さらには「中・専」がこれを阻むか?


 女子ダブルス

  第1シードには、前年、地元・愛知での全日学で準優勝という大活躍を見せた植山・原組(愛工大)が
  選ばれた。今年の東海学生では3位。上位進出の安定感はある。
  今大会の4種目の中で、他の3種目は関東勢が第1シードを占めており、唯一の例外が、この女子
  ダブルス。今回は、ホームアドバンテージがない、アウェー・関東での大会だが、果たして結果は
  いかに?

  第2シードには、前年3位の小野・山梨組(淑徳大)が入った。2年連続での第2シードとなる。
  実力と実績から言えば、事実上の優勝候補筆頭はこのペアーだろう。
  一昨年の尼崎大会では、山梨は末益と組んで優勝、小野は原と組んでベスト4だった。2人揃って、
  3年連続のメダル獲得へ向かうことになる。関東学生でもランクを逃したことはないだけに、
  「優勝争いは、当然」の域に達している。シングルスより先に優勝が決まるダブルスで、淑徳大の
  全国タイトル奪還を決めたいところ。

  4シードには、前年ベスト8の松田・浦組と、広島インカレ優勝の原動力ともなった東海学生1位の
  岡田・大野組、という2組の朝日大ペアーが入った。再びの朝日大旋風があり得るとしたら、
  シングルスよりはむしろ、このダブルスの方が可能性は高そうだ。特に注目は、やはり東海
  チャンピオンペアーの岡田・大野組か。(岡田はかつて、上段とのペアーで2年連続ランク入り
  している)

  8シードには、前年ベスト8の杉本・堀部組が自動的に入り、あとは関東学生優勝の井上・小山内
  (里)組(大正大)、同準優勝の石垣・大庭組(淑徳大)、関西学生優勝の岡本・花田組(立命館大)が
  選ばれた。全体的に見て、非常にバランスが良い選出となった。
  関東チャンピオンの井上・小山内(里)組は、やや成績に波はあるが、当たれば強い。
  立命館大ペアーは、広島インカレで取り逃がした「日本一」のタイトルへの再チャレンジとなる。
  岡本は、一昨年、石塚とのペアーで準優勝している実績がある。

  16シードでは、梶本・照井組(早大)が注目される。全日本のダブルスで、別ペアーながら、優勝の
  照井(パートナー・福原)と3位の梶本(パートナー・宮本)が組んだこのペアーは、この1年間、
  全大会に渡って早大女子の躍進の原動力となってきた。組み合わせ的には楽ではないが、それでも
  これを越えて、優勝争いに絡む可能性は十分にある。(梶本は、宮本とのペアーで去年ベスト4
  なので、個人として2年連続のメダルを狙う)
  あとは、去年と一昨年のインターハイチャンピオン2人が組んだ若宮・宇土組(立命館大)、去年の
  全日学ランカー2人が組んだ野上・中山組(中央大)も面白い存在と言える。

  歴代優勝一覧を時代をさかのぼる形で眺め見ていて、最も関東勢の占有率が高い種目が女子
  ダブルス。
  男子は、青森大、愛工大、近畿大といったところが伝統的に強く、単複共に結構優勝しているし、
  女子もシングルスは強豪留学生が関東以外にいることは多く、優勝もしている。しかし、女子
  ダブルスは、平成以降の19年間で、関東以外が優勝したのは、平成8年(1996年)の千川・劉京晶組
  (龍谷大)と平成14年(2002年)の王金・張魏組(朝日大)のわずか2例のみ。いずれも留学生
  パワーが大きい。
  現在の出場資格に照らして、日本人同士のペアに限定すると、昭和56年(1981年)の伊藤・秋和組
  (愛工大)までさかのぼる。四半世紀以上前だ。
  こう考えると、第1・第3・第4シードを東海勢が占め、その他、関西勢もいる今年の状況は…、
  広島インカレで55年ぶりに関東勢がいない決勝戦が展開されたような、「歴史的なこと」が
  起こる可能性も感じる。

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