平成17年度・第72回全日本学生選手権・見どころ 10月6日(木)〜9日(日)の4日間、北海道立総合体育センター(きたえーる)において行われる 「第72回全日本学生卓球選手権大会(通称、全日学)」の見どころをアップします。 全日学は昨年度より、外国籍選手の出場が不可能となりました。 大会日程はウイークエンドですので、大会当日には会場まで足をお運びいただき、選手に声援をお送り いただければ幸いです。入場は無料です。 日程(予定) 10月6日(木) PM2:00〜 主将会議 PM4:00〜 開会式 7日(金) AM9:30〜 男女ダブルス 1〜4回戦 PM2:00〜 男女シングルス1回戦 8日(土) AM9:30〜 男女シングルス2回戦〜4回戦 PM2:30〜 男女ダブルス 準々決勝〜決勝 9日(日) AM9:30〜 男女シングルス5回戦〜決勝 PM2:00〜 表彰式・閉会式 会場の北海道立総合体育センター(きたえーる)は、 ・札幌市営地下鉄・東豊線「豊平公園」駅直結 ・北海道中央バス−白石、清田、西岡、平岡方面行きバス「豊平3条12丁目」下車 徒歩5分 です。 ちなみに、今大会のシードは → こちら です。去年の記録は → こちら です。 歴代の優勝者・優勝ペアーは → こちら です。歴代の最優秀新人賞受賞者は → こちら です。 3年前(平成14年)以降のランキング記録は → こちら です。 男子シングルス 見どころ: 去年から外国籍選手が出場不可となった全日学。各地域に点在する留学生勢力を対象外とする 日本人のみの争いとなったことにより、優勝争いは事実上、青森大勢と関東勢に絞られていると 言える。特に、青森大勢は、過去5年間で4回の優勝を誇っており(H12・宋海偉、H14・陳晨、H15・ 川崎公介、H16・高木和健一)、今年も「頂点確保」が続くか 第1シードは、当然、自動的に前年優勝の高木和(青森大)が入った。2連覇を狙う今大会となる。 去年は、全日学の優勝のみならず、全日学選抜の初代チャンピオンとして歴史に名を刻んだ高木和。 大学界では、文句のつけようのないナンバーワンの地位についた。そして、今年はドイツ・ブンデス リーガ(フリッケンハオゼン・2部)に参戦をはじめた。以前から欧州留学をする選手は何人もいたが、 彼らはいずれも欧州がシーズン中とあって、全日学は欠場している。古くは松下浩二、近年では木方や 真田、そして現在の坂本竜介や去年までの村守…と。最初、高木和の欧州行きを聞いた時は、「ああ、 もう全日学のタイトルは取り、歴史に名を刻んだから、「もういい」という「真田パターン」かな?」と 思ったので、全日学にも出場申込をしてきた時には少し驚いた。そしてうれしかった。欧州留学中の 全日学出場は、おそらく初のパターンかとは思われるが、個人的には歓迎したい。欧州がシーズン中 とは言え、1試合欠場すれば全日学にも出られるのだから…。時差調整などの問題はあるにせよ、 全日学はそれだけの苦労をしてでも出場する価値があると思っているので、これまでの選手達にも 出てきてほしかった。そして、今後の選手にも、今回、例が示された。戦績とは別のところで「先駆者 (パイオニア)」としての地位も、今回の高木和は手に入れたかも知れない。 戦績面では、去年取り逃がしたインカレのタイトルも今年は順当に奪還し、主将という立場と5戦全勝 という実績で、王座復活に大きく貢献していた。そのインカレで共に中軸を組んだ坂本や張一博が いない全日学で、青森大がタイトルをキープできるかは、高木和にかかる点が大きい。 この半年で、日本のナショナルチームの主軸は急激に若返った。同期の坂本以下、弟の高木和(卓)や 岸川、水谷といった高校勢がNTのレギュラーに定着しつつある。その中にあって、学生チャンピオン の方が後塵を拝しているのが現状だ。ここはやはり、全日学連覇を足掛かりに、「日本代表の常連」に 割って入りたいところだろう。 なお、男子シングルスの連覇が成れば、平成10年(1998年)の遊澤(3連覇)以来7年ぶりのこととなる。 また、高木和・森田組のダブルスは、去年は4強で、今年は第3シードと「狙える」状態になっているが、 男子の単複2冠王が成れば、平成8年(1996年)の、これまた遊澤(ダブルスは、田崎・遊澤組)以来9年 ぶりのこととなる。(女子では、宋暁薇の単2連覇や孫博の単複2冠王が近年あったが…)。 高木和を包囲するのは、去年、2・3・4位の早大トリオ、時吉・中野・下山。横浜インカレでは、青森大に 完敗を喫し、連覇の夢を経たれた早大だけに、ここでは「日本一」のタイトルを奪取したいところ。 早大勢の男子単制覇は、何と昭和45年(1970年)の柴田幸男氏(現・東北福祉大)以来、35年間も達成 されていない。5年前に大森が決勝で惜敗し、去年はベスト4に3人入り、というように、アト一歩の シーンは数多くあったのだろうが…。しかし、去年の成績が生きて、これだけ上位シードを多く占めた 今年は、ビッグチャンスであることに間違いはない。 前年準優勝で、今年、自動的に第2シードとなった時吉は、関東学生チャンピオンとして臨む今大会と なる。関東学生の優勝も久々の個人タイトルではあったが、日本一のタイトルはまた別格。去年から 主要な個人戦でメダルを逃したことがなく、今大会でも優勝争いに絡んで来る可能性は極めて高い。 ハイリスクなプレーがツボに入れば、相手は誰でも勝機は十分。安定して実力を発揮出来るかが鍵を 握る。 2年連続3位の中野は、関東学生で3連覇こそ逃したものの、実力的にはトップであることに変わりは ない。シード通りであれば、ベスト8決定戦で、部の悪い水野との対戦となるなど、組み合わせ的には 厳しい面もあるが、4年生の意地で勝ち上がれるか。 下山は、関東学生で準優勝と言う実績こそあげているものの、全般的に見て今年は厳しい戦いを強い られている。インカレでは決勝で単複2失点を喫するなどで、準々決勝以降では単複合計2勝4敗、 関東リーグでも春秋を通じて苦戦を強いられている。半月前の秋リーグでは明大に優勝を決められる 決勝失点という苦い経験もした。ここから転じて、再度、躍進のキッカケを今大会でつかみたいところ。 中野と下山は、ダブルスで去年優勝を果たしており、今年は第1シードの位置から2連覇を狙う。 単複2冠王を射程に入れているのは、高木和だけではない。 8シードには、前年ベスト8の田中満雄(駒沢大)、白神(中央大)、吉川(駒沢大)と、前年ベスト16の 田中雄仁(中央大)が入った。駒大と中大が2人ずつだ。 田中(満)、吉川の駒大勢は、初の関東1部リーグ挑戦だった春の最下位・2部落ちや、インカレでの8強 (前年は4強)など、上半期はやや精彩を欠いていた今年だったが、秋リーグ後の入替戦では1部再昇格 も決め、勢いに乗って今大会に臨める。特に田中は、後半に実績を上げた去年の再来が期待される。 また、シェーク攻撃一色の上位陣の中で異彩を放つ吉川のペン速攻が、去年に続く快進撃を見せるかも 注目される。 中大は、田中(雄)が4年連続ランクに挑戦する。これは、今年の4年生では男女単複の4種目を通じて 田中だけがチャレンジ出来るもの。そして、これが成る可能性は高い。あとは、どこまで優勝争いに 食い込めるか。白神は、春先の故障でつまづいた今年だったが、ここからの下半期で巻き返したい ところ。 16シードには、前年ランカーの久保田(早大)、日高、足立(共に明治大)、沼田(埼工大)、原(専修大)が 自動的に入り、あとは森田(青森大)、水野(明治大)、志岐(福岡大)が選ばれた。 この中で、最も注目されるのは水野か。4月の日学連アジア遠征国内予選での1位通過、関東学生での 中野の3連覇阻止、そして先の秋リーグでの単5戦全勝でのMVP獲得と、要所要所で印象深い活躍を 見せている。シード通りなら、ランク決定戦が村守で、これに勝ったら次は中野、という組み合わせだが、 この「急な登り坂」のような道を一気に駆け上がる可能性は…ある。 日高と足立は安定した実績を誇る。水野と共に、明大勢が関東秋リーグ優勝の勢いを持続して、旋風を 巻き起こす可能性はある。 久保田は、やや目立たないながらも、実力的には同期の時吉、下山に劣らない。16シードに4人入った 早大勢は、やはり他校にとって「最も手強いチーム」ということになる。 森田は一昨年ベスト4入りの実績を誇る。去年はやや不本意な成績だったが、今年は復調の兆しもある。 「強い青森大」が印象付けられるかどうかは、高木和1人の力では成し得ない。複数の上位進出者が出て こその「強いチーム」と言える。その意味でも、注目される。 32シードでは、ドイツ帰りの村守(青森大)がまず注目される。ドイツ留学中は、残念ながら思うような 実績を残せなかった村守だが、まだ大学2年。リターンマッチのチャンスはこれからだ。表ソフトから 裏ソフトに転向するなど、用具や戦型での試行錯誤や紆余曲折も経たが、この経験が生きて来ることも 今後きっとあるだろう。元々、「左ペン表速攻・裏面打法あり」という特徴的なスタイルに魅力があった だけに、欧州留学が最善の選択だったかは、微妙だった。日本に戻って、やり直すメリットは大きいの ではないか。全日本で、シングルスの早期敗退が続いているが、ダブルスはランク入り。世界選手権・ 団体戦では「ドーハの悲劇」も味わったが、「選ばれて、その場にいた」ことも、見方を変えれば、むしろ 評価できる。インカレではベンチを温めたが、青森大では一昨年の川崎、高木和、森田も同じ状況から 全日学では3人揃ってベスト4入りした。今大会、ランク決定戦で水野と当たるという厳しいドロー となった村守だが、再起の足掛かりをつかめるか?。 その他の32シードで注目したいのは、塩野(早大)小野、石崎(ともに明治大)の1年生勢。当然ながら 前年の全日学の実績がないため、新人勢は実力があっても多くが32シードに留まるわけで、逆に言えば 上位シードを破って勝ち上がる可能性も高い。16シードに食い込んだスーパールーキー・水野と共に この塩野、小野、石崎は関東新人戦でベスト4を占めており、今大会で上位進出しても不思議ではない。 インカレでは、「青森大が頭1つリード。早大が僅差で追い、さらに僅差で明大が続く」という戦前の 予想が、ほぼその通り、結果に反映された。そして2ヶ月。「青森大は、坂本と張一博が抜けている」、 「関東秋リーグで、明大が早大に勝って優勝している」という2つの要因などから、青森大、早大、明大が ほぼ横一戦に並んでいるようにも見える。果たして、上位に多くの進出者を輩出するのはどこか?。 その中で、頂点を極めるのは誰か?。 女子シングルス 見どころ: 外国人留学生の出場規制の影響を最も大きく受けたのが、この女子シングルス。去年の藤井(淑徳大)は 平成8年(1996年)の岡崎以来、8年ぶりの日本人チャンピオンとなった。その後の全日学選抜では 留学生選手がベスト4を独占するなど、やはり実力は依然として留学生勢の上位を示している。 全日学のみの成績に留まらず、「誰が、どういう形で全日学選抜への出場権を得るのか」も注目される。 去年の男子のように、「全日学も全日学選抜も、高木和+早大勢で優勝争い」というのとは、勢力図上、 女子はワケが違うだけに…。 第1シードは、去年準優勝の福岡(日本大)。世界大学チャンピオンでもある。 今年は、関東リーグで「春季3連覇」を成し遂げた後、毎年鬼門であったインカレで、ついに初優勝を 飾った。単複合計12戦全勝の実績は、MVPにふさわしいものだった。その後も、アジア選手権、 関東秋リーグ、荻村杯、全日本(団体)、と、国際・国内のビッグゲームを毎週こなし続けている。 トッププレーヤーの宿命でもあるハードスケジュールだが、このハンディーを越えて最後の全日学で タイトルを獲得できるか。ダブルスも第2シードで「事実上、優勝候補筆頭」と言われているだけに、 単複2冠の可能性も十分ある。去年の藤井はダブルスの決勝で敗れ、2冠は成らず。一昨年の孫博は 2冠を取っている。今年、福岡が2冠を取れば、インカレと併せて3冠王となる。女子の3冠が達成 されれば、昭和62年(1987年)の星野美香以来、19年ぶりとなる。(男子では平成8年(1996年)に遊澤 が3冠王になっている)。 第2シードは、前年ベスト4の今福(淑徳大)。去年の主力が卒業し、戦力がダウンしたチームにあって 単複での結果を求められる立場の今年だが、春リーグでは3年連続で優勝を逃し、インカレでは、前人 未到の6連覇にチャレンジしたものの、自身の単複2敗でこれも成らず。その後、秋リーグでは5年 連続5戦全勝の5連覇に成功し、ようやく半年間の屈辱を脱した。だが、その後、慢性化している手首の 故障が再発し、関東学連・スウェーデン遠征の国内予選も途中棄権し、全日本(団体)も欠場。万全の 状態での出場は難しいか?。年初の全日本で福岡に勝ってベスト8入りしている経験が生きれば、 「打倒・福岡」の最有力候補なるところだろうが、全てはベストコンディションという土台があっての 話だ。 4シードには、前年ベスト8の伊藤(筑波大)と前年ベスト16の渡辺(中央大)が選ばれた。 伊藤は、団体戦では脚光を浴びづらい関東2部校ということもあり、何とか個人戦で優勝争いに絡み たいところ。それだけの実力も十分に備えているし、全日本ランクをはじめとする実績が、それを証明 している。インターハイチャンピオンとなったのも、3年前の話となった。ここで再び日本一の座を 手に入れられるか?。 渡辺は、今年、完全に中大のエースに定着した。国際大会の代表入りも増え、活躍の場を広げている。 そして、中国台北オープンでのベスト8入りなど、実績も残している。全日学は、一昨年の1年時に 8強入りを果たし、現在の地位のキッカケを築いた縁起の良い大会でもあり、今年も上位進出が有望視 される。 8シードには、前年ベスト16の山崎(日体大)、西田(大正大)、杉田(専修大)、西村(愛工大)が入った。 このあたりは、前年同様の16強入りの可能性は高いと思われるが、シード通りの8強となると微妙な 感じがする。全員、インカレでランク入りを逃したチームだし、秋リーグも満足できるチーム成績では なかった。4人とも、当然、潜在能力は高いだけに、果たして鬱憤晴らしの活躍はあるか。 16シードには、前年ランカーの重本(筑波大)と上段(朝日大)が自動的に入り、全日本ランカーの島田 (東富大)も順当にピックアップされた。その他では、坂本(沙)(日本大)や狭間(大正大)などの強豪が 選ばれて入った。 この中で、最も注目されるのは坂本(沙)か。全日学の2年連続ランク落ちは全く意外だが、関東学生 2年連続ベスト4の実力で、今年あたりは優勝争いに絡んで来るか。インカレでは単複合計10戦 全勝で、決勝戦では優勝を決めるポイントもあげた。各記録を調べてみても、日本人に負けることは 非常に少ないだけに、この全日学はチャンス。密かに、福岡同様、19年ぶりの3冠王のチャンスも ある。シード通りなら、8決定で第2シードの今福とあたるが、相手は手負い。果たして結果は…?。 島田は、順当なら8決定戦で第1シードの福岡との対戦となる。「全日本ベスト16は同等、関東学生 4強は自分の方が上(福岡は、16強止まり)」と考えられればチャンスはあるか。関東リーグ特別賞 受賞者同士の対決でもあり、「大一番」となる可能性もある。 1年生ながら16シードに食い込んだ狭間は、かなりの活躍があり得る。海外遠征の国内予選で 総当りリーグをやっても、安定して高い勝率を残して代表入りを果たしている。中学、高校時代に 福原愛と同時に在学した世代を「福原ジェネレーション」と呼ぶとすれば、今年の大学1年生から 中学3年生までの5学年がこれにあたる。その先頭に立つのが、関東新人単複2冠王の狭間か。 狭間同様、1年で16シード入りした花田(立命館大)は関西学生チャンピオン。但し、関西学生は 留学生が出場できない。常時、留学生勢と競っている関東勢に対して、どこまで切り込んで行けるか。 最近、低迷気味の関西学連の核弾頭として、インカレに続くランク入りは最低限ほしいところか。 32シードから優勝争いにまで絡んで来る選手は、多分ないのではないか。男子は、新人勢を中心に 32シードから8強以内に入っても驚かないレベルの選手はいるが、女子では…。むしろ、32シード を守れるのか?という選手が多い。 去年、女子シングルスのランク(16人)中、西村(愛工大)と上段(朝日大)の東海2人以外の14人は 関東勢だった(加えて、ランク13位までを関東が独占)。日本各地に点在する強豪留学生が出場でき なくなったことと、女子には男子の青森大のような互角に対抗する存在がなく、関西勢も近年低迷気味、 という、いくつかの要因が重なっての結果だった。 「強豪留学生が5人以上ランク入りするのが当然となっている関東学生選手権の方がレベルが高い」と いうのは、至極真っ当な意見だ。現在の大学女子の勢力図は、関東が特出した一極集中模様となって いる。自然と、他学連の選手はあまり知らなくなっていく。 果たして、今年はランクに関東以外の選手は何人入るのか?。そして、その16人は、全日学選抜で 留学生勢と、どの程度戦えるのか?。 男子ダブルス 見どころ: 今年の男子は、去年の上位進出者がそのまま出場しているものが多い。(裏を返せば、今春の卒業生に 強い選手が少なかったとも言える)。シングルスは、前年ベスト4が丸ごと、ベスト8中7人が、ランク 16人中13人が残っていた。そして、このダブルスも、前年ベスト4が丸ごと残っている。 去年、決勝同士討ちを演じた早大勢が、去年と同じペアリングでエントリーし、自動的に第1シード、 中野・下山組、第2シード、岸川・久保田組となった。 当然の様に見えるこの一文だが、関東学生では、中野・岸川組、時吉・下山組、阿部・久保田組という ペアリングで組み、阿部・久保田組が優勝、時吉・下山組が8強という実績をおさめていた。予選免除 の関連もあり、一時は「全日学はどう組むのか?」と注目されたが、結局、無難な形に落ち着いた。だが、 インカレも時吉・下山組で組んでおり、今回のコンビは「自動上位シードの優位さを最大限に生かし たい」という狙いが見える。ただ、この両ペアが再び決勝を争う展開となるのは簡単ではないだろう。 関東リーグで、今春は中野・下山組、今秋は岸川・久保田組が起用されていたが、いずれも3勝2敗 だった。勝ち越してはいるが…。 思えば去年、台風22号と共に全日学に吹き荒れた「早大旋風」の象徴であったこの男子ダブルス。 果たして今年、再度のハリケーンは襲来するか?。また、中野と下山はシングルスでも第3・第4 シードとなっており、当然、平成8年(1996年)の遊澤以来9年ぶりとなる男子単複2冠王を狙う。 さらに、中野組の連覇が成れば、男子ダブルスとしては、平成7〜8年の田崎・遊澤組以来の記録と なる。(しかし、こうやって記録を紐解いていくと、改めて田崎や遊澤の強さが思い出される。 記録が記憶を呼び起こす。今年の選手達も、10年後にも思い出されるような記録を残せるか) 4シードには、前年ベスト4の神谷・齊藤組(愛工大)と高木和・森田組(青森大)が自動的に入った。 両ペアとも、「系列の高校から大学に進んだ」「同期生同士」という点が共通している。 去年、1年生ペアながら地元・名古屋での全日学を盛り上げた神谷・齊藤組は、2年目のジンクスを 越えて、今年も勝ち上がれるか?。愛工大は、近年、男子ダブルスに強く、H10、石岳・王海軍組、H12、 王海軍・遊佐組、H14、今福・成紅光組、と、過去7年間で3回の優勝を飾っている。3組とも「留学生 絡みのペア」ではあるが、さらにさかのぼれば、H5の今枝・鬼頭組の日本人ペアの優勝もあった。そう 言えば、今枝・鬼頭組も名電高時代からの同期生ペアだったなあ〜。 2年連続ベスト4の高木和・森田組は、「3度目の正直」を狙う。インカレに続く2種目目の日本一を 狙うには、16シードの1年生コンビ、垣原・坪口組では難しく、やはりこの3年生コンビに期待する しかない。シングルスで優勝候補筆頭の高木和は、2冠王、3冠王を狙うにあたり、ポイントとなるのは やはりこのダブルスか。ドイツ留学に伴い、必然的にペアでの練習は制限される点も、影響は避けられ ない。インカレでは坂本・森田組という、別のペアリングが起用されていたし…。 8シードには、小野・水野組(明治大)、阿部・時吉組(早稲田大)、鷲峰・寺地組(福岡大)、清水・國分 組(愛工大)、の4組が入った。 この中で注目は、何と言っても関東2位の小野・水野組だろう。仙台育英高からセットで明大入りした 2人は、早くもチームの中軸に定着している。インカレでも青森大に唯一の黒星をつけて完全優勝 (オールストレート勝ち)を阻み、関東秋リーグでは、単複に渡る活躍でチームの優勝に貢献した。 いきなり優勝戦線に絡んで来ても全くおかしくはない。 阿部・時吉組は、久保田と組んで関東学生のダブルスを制した阿部と、同大会のシングルスを制した 時吉による「チャンピオンペア」。当たれば恐い。時吉のリスキーなプレースタイルは、つなぎが基本の ダブルス向きではない、という評価も多いが、結果で評価を覆していけるか?。 鷲峰・寺地組と清水・國分組は、選ばれて8シード入りしたが、個人的にはランク決定戦も厳しく、 シードキープの可能性は50%か。優勝争いに絡んで来ることは難しいと思われる。 16シードには関東の中堅クラスの姿も多く、このあたりからメダルを取るペアが出る可能性もある。 猪本・原組(専修大)は、去年、それぞれ別のパートナーとのペアでランク入りをしており、個人としての 連続ランクを狙う今年となる。特に原は、山城とのペアで一昨年優勝、去年8強だっただけに、3年連続 上位進出が期待される。 去年、ランク入りした田中・白神組(中央大)は、今年、田中・森下組と河又・白神組に組み替えての 出場。この2組とも関東学生でランク入りをしており、揃って強い。去年と同じペアで組めば自動的に 約束された8シードの位置を手放しても、現在、最も良いと思われるペアでのエントリーを選択した わけで、その意味では、早大と逆の方法を取ったとも言える。最低でもベスト8には入り、選択の正しさ を証明したいところだろう。 垣原・坪口組(青森大)は、垣原が去年のインターハイダブルスチャンピオンだけに、ここは存在感を 示すチャンスではある。正直、青森大のあのメンバーの中では、少ないチャンスを生かして実力を アピールしていかないと大変だ。 なお、垣原以外に、今大会に出場する元インターハイ男子ダブルスチャンピオンは、高木和、小野、白神、 となっている。 女子ダブルス 見どころ: 女子は、シングルス同様、ダブルスでも留学生選手の不在は勢力図に大きく影響を与えた。 留学生の力を主としたペアが勝ち上がって来なくなったことにより、強豪の日本人選手が集まる関東勢 が上位をほぼ独占。去年は、ランク7位までを占めた。この傾向は、単複ともにしばらくは続くだろう。 去年、1年生ペアでの優勝を果たした阿部・山崎組(青学大)は、当然、自動的に今年の第1シードと なった。去年の決勝戦で藤井・西岡組(淑徳大)を破った一戦は、結果的に藤井の3冠王を阻むものと なった。しかし、去年の優勝は全く予想していなかっただけに驚いた。しかし、今年は優勝しても 驚かない。去年の実績が自信になり、ここ1年間は、関東学生でも4強入りし、関東リーグでも年間 7勝2敗と大きく勝ち越している。自信と好結果の好循環を感じる。このペアに引っ張られる格好で 関東リーグで3季連続最下位だったチームも一気に浮上し、今秋リーグでは何と準優勝に輝いた。 この勢いを持続して、平成11〜12年の馬佳・キ林組以来の女子複連覇を狙う。 第2シードは、2年連続ベスト8の福岡・坂本(沙)組(日本大)が入った。正直言って、優勝候補の 筆頭はこのペアと見る。インカレでは7戦全勝でチーム初優勝の原動力となっていたし、関東リーグ でも今年は春秋通算で9戦全勝。関東学生では2年ぶり2回目の優勝を果たしている。つまり、今年、 大学の公式戦では1回も負けていない。その上、東京選手権でも2連覇を達成していた。直近で負けた 公式戦は?と、たどっていくと、1月の全日本までさかのぼる。しかも、その全日本も、8強入りしての 準々決勝敗退。とにかく、実績面では他のペアを圧倒している。「全日学2年連続ベスト8」は、他の 選手には一生の誇りでも、このペアにすれば、むしろ「8止まり」の悪い成績となる。シングルスで第1 シードの福岡は勿論だが、16シードの坂本も、実力的には優勝を狙う可能性は十分ある。インカレと 併せた3冠王に向けて、まずはこのダブルスで2冠目獲得となるか。 4シードには、前年ベスト8の今福・末益組(淑徳大)と、関東2位の荻原・島田組(東富大)が入った。 今福と末益は、淑徳大の中軸だが、今年のチームは春リーグに続いてインカレでも優勝を逃し、苦戦が 続いていた。特に、インカレ決勝では2人で単複3失点し、大会史上初の6連覇を逃すという屈辱を 味わった。しかし、秋リーグではこのダブルスが5戦全勝で最優秀ペア賞を受賞する活躍を見せ、 淑徳大の「秋リーグ連続優勝」は守られた。青学大ペア同様、良い流れを持続したい淑徳大ペアだが… 問題は今福の故障の状態か。ベストの何%くらいのコンディションで戦えるかによって、結果は全く 違って来るだろう。 荻原・島田組は、インカレの6戦全勝など、ハマれば強い。島田は去年、河村とのペアで3位となって おり、シードを守れば個人として2年連続のメダル獲得となる。 8シードには、渡辺・野上組(中央大)、佐藤・西田組(大正大)の関東2組と、上段・岡田組(朝日大)、 西村・若宮組(愛工大)の東海2組が入った。 この中で、最も有力なのは関東3位の渡辺・野上組か。渡辺は、一昨年、去年の全日学でも柏木と組んだ ペアで連続ランク入りをしており、ダブルスは強い。インターハイのダブルス優勝も経験しているし、 名手と言える。(なお、渡辺以外で、今大会に出場している元インターハイ女子ダブルスチャンピオン は、坂本(沙)と花田)。 あとの3ペアは、シードキープでのランク入りが1つの目安となるが、東海勢はランク決定戦が関東の ペアとの対戦となりそうで、勝ち抜くのは容易ではない。 16シードでは、重本・伊藤組(筑波大)が、個々人の力としては一歩抜け出ており、うまくいけば上位 進出の可能性も感じさせる。また、去年、坂本(詩)とのペアでベスト4入りと、躍進を見せた大橋は、 今年は坂本(真)とのペアで戦うが、ランク決定戦が前年王者で、厳しい組み合わせと言える。 去年の例にもある通り、ペアものは予想外の結果になることがシングルスよりも多い。過去の記録を 必死に寄せ集めて、「ああだこうだ」と予想してみても、全てが一瞬で水泡に帰すこともある。福岡の 連戦の疲労度や、今福の故障の状態など、本人にしかわからない要素も多い。 結局、「勝負はやってみなけりゃわからない。強い者が勝つのではなく、勝った者が強いのだ」という ことか。卓球のページへ