2004年(平成16年)・卓球10大ニュース

 今年も残すところあとわずかとなりました。
 テレビなどでも、今年1年を振り返る「10大ニュース」とか「重大ニュース」とかの特集番組が増えてきて
 います。そこで、去年に続き、私が感じた「今年の卓球界の10大ニュース」をまとめてみたいと思います。
 「私が感じた」ニュースですので、当然、関東を中心とした大学関連のネタが並ぶことになりました。
 但し、10個のニュースの順位をつけるのは難しかったため、基本的には時間順に並べてみました。

 1.関東学連に強力新人多数入学。新人戦で活躍。

   今年も、関東学連には強い新人選手が多数入学してきました。

   男子では、早稲田大が下山、時吉、久保田の3人を補強し、新人戦のシングルス決勝では下山と時吉が
   同士討ちを演じました。また、この2人の活躍はこの後も続き、秋の全日学と冬の全日学選抜では、
   2人が入れ替わりで銀メダルと銅メダルを獲得しています。
   早大以外の新人も強く、白神(俊)(中央大)、足立(明治大)をはじめ、団体戦でも単複でチームの主軸
   として活躍することになる選手が多数いました。秋の全日学では、男子シングルスのベスト16の
   半分にあたる8人を、関東の1年生が占める結果となりました。

   女子では、「高校のトップ選手は即実業団入り」という近年の流れと違い、前年のインターハイ王者・
   劉一行(日本大)と、一昨年のインターハイを制した伊藤(筑波大)の「2人のチャンピオン」が入学
   して来ました。新人戦の決勝も、シード通り、実力通りのチャンピオン対決となり、劉一行が優勝
   しました。また、東富大、青学大にも中堅クラスの新人が多数加入し、質量ともにチームの中核と
   なっていました。

 2.関東・春リーグ。男子・中央大、驚きの逆転優勝。女子・日本大が昨春に続く優勝。

   会場確保の都合上、途中に約10日間に渡る中断期間を挟む変則日程で行なわれた春リーグでした。

   新人戦の結果などから「早稲田大、圧倒的有利」と予想されていた男子は、4日目を迎えた段階では
   「早大が中大に勝てば、最終日を待たずに優勝決定」という展開で、予想通りの展開に終わるかと
   思われました……が……、ここで中大が早大に何と4−0ストレート勝ちし、翌日も勝って逆転
   優勝を飾りました。序盤で黒星(明大にストレート負け)を喫していた中大は、中断期間を生かした
   驚きの優勝となりました。
   逆に、優勝目前だった早大は、思わぬ形で足元をすくわれた格好に終わりました。

   女子は、昨春と同様、4日目に淑徳大と日本大が3戦全勝同士で対戦しました。結果は日大が4−0
   ストレートで完勝し、最終日を待たずに昨春に続く2度目の優勝を飾りました。福岡、坂本(沙)の
   2枚看板で、藤井、陳微娜の2枚看板を直接対決の末に破り、去年以上に「日大、強し」を印象づけ
   ました。

 3.関東学生は中野(早大)と孫博(大正大)が連続優勝。孫博は単複2冠王。

   男子は春リーグを取りこぼした早大勢が活躍を見せ、ベスト8に4人、ベスト4に2人、と、上位の
   半数を占める状況でした。そして最後は、ディフェンディングチャンピオンの中野が2連覇を達成
   し、関東ナンバーワンの地位をキープしました。一方、ダブルスでは、去年、関東学生と全日学で
   連続優勝を果たした山城・原組(専大)が2連覇目前でしたが、春リーグ優勝の原動力でもあった
   田中・白神(俊)組(中大)が際どく逆転して初優勝を飾っていました。

   女子は、孫博(大正大)が単複2冠王に輝きました。シングルスは男子の中野同様、去年に続く2連覇
   達成。大畑と組んだダブルスは、去年の全日学に続く2大会連続の優勝となり、個人戦での強さを
   発揮しました。女子シングルスの外国人留学生の優勝は6年連続で、平成4年以降の13年間では、
   平成10年の益田以外、実に12回が外国人留学生の優勝となっています。

 4.波乱続きの京都インカレ。男子は早稲田大が28年ぶりの優勝。淑徳大は大会史上女子初の5連覇。

   京都府立体育館で行なわれたインカレは、男女共、大会序盤から波乱が続く荒れた展開でした。

   男子は、優勝争いの常連・明治大が予選リーグの初戦で関西リーグ2部の関西大に敗れる大波乱で
   幕を開けました。その後、予選リーグを2位で通過した明大は厳しい決勝トーナメントを勝ち上がり、
   準決勝でインカレ3連覇中だった「常勝・青森大」と対戦しました。誰もが青森大の勝ちを疑わな
   かったこの対戦で、明大は何と3−1の勝利を収め、決勝に進出しました。青森大は、21世紀に
   なってからのインカレで初めて敗北を喫しました。決勝は、早稲田大vs明治大という「6年ぶりの
   関東同士の対決」となりましたが、春先から「実力は関東ではナンバーワン。全国では青森大とほぼ
   互角」と言われていた早大が3−1で勝利し、実に28年ぶりとなる優勝を遂げました。今年、創部
   80周年を迎えた早大は、区切りの年に花を添えました。優勝回数・通算13回は専大の17回に
   次ぐ2位で、「古豪復活」を印象付けました。
   一方、勝てば早大と並ぶ2位タイの12回目の優勝となるところだった明大は、今大会を通じて
   「最悪の黒星スタート」、「準決勝での栄光」、「決勝での無念」という、激しい浮沈を味わいました。

   女子は、淑徳大と日本大の2校が優勝候補の双璧と見られていましたが、日大は去年に続いてランク
   決定戦で敗退する結果に終わり、淑徳大が危なげなく5連覇を達成しました。5連覇は、女子としては
   大会史上初の快挙です。(男子では専大が昭和30年から34年にかけて1度達成)。淑徳大は、
   20世紀最後の年である平成12年(2000年)から続く「世紀またぎ」のインカレ連覇を現在も継続中
   で、来年、男女を通じての大会新記録「6連覇」にチャレンジします。
   淑徳大と決勝を争ったのは、関東リーグ2部の国立大である筑波大でした。予選リーグで朝日大に
   敗れていた筑波大は、男子の明治大同様、予選2位通過からの快進撃で勝ち上がり、創部史上最高の
   成績を収めました。

   「男女とも、予選リーグ2位通過校が決勝進出」というのは聞いたことがなく、詳しく調べては
   いませんが、おそらく史上初のことではないかと思われます。また、この他にも男子で同志社大が
   予選リーグ2位通過でベスト8入りしました。予選2位通過がこれだけ活躍するということは、
   それだけ混戦で波乱が起きやすい状態だったということが言えるでしょう。

 5.世界大学inハンガリー。福岡(日本大)が女子シングルスで初優勝。

   9/1(水)〜5(日)にハンガリーのジオールで行なわれた第15回世界大学選手権では、日本男子は
   不本意な成績に終わりましたが、女子は活躍を見せ、女子団体で準優勝、女子ダブルスでベスト4
   (藤井・大畑組)、そして女子シングルスで優勝(福岡)と、チームとして金・銀・銅の3つのメダルを
   獲得しました。特に福岡は、準々決勝から決勝まで、中国選手を3連破しての価値ある優勝でした。

   世界大学での女子シングルスの日本の優勝は今回が初で、過去に男子シングルスでは1998年に遊澤が
   優勝しています。(その他、団体やダブルスでも何度も優勝しており、近年では2年前の前回大会で
   潮崎・藤井組が女子ダブルスで優勝していました)

 6.関東・秋リーグ。男子・専大、9年ぶりの復活優勝。女子・淑徳大は、春のリベンジ優勝。

   世界大学に出場した選手達の帰国を待つ格好で変則日程となった秋リーグは、実質2.5日の超短期
   決戦で優勝を争う形となりました。

   男子は、インカレも制し、日本一となった早稲田大が「今度こそ、関東制覇か」と見られていましたが、
   2日目の第3戦・第4戦で、明大と埼工大にいずれも3−4で連敗し、春に続いて優勝を逃す結果に
   終わっていました。春は中大が息を吹き返した長期中断に泣いた早大が、今度は立て直しが難しい
   超短期決戦に泣きました。早大連敗を受けて、早大には敗れていた専修大が他の4試合に勝ち、実に
   9年ぶりとなる久々の復活優勝を果たしました。春は「あわや最下位か」という状態まで追い詰め
   られていただけに、ほとんどの人が予想していなかった「サプライズ優勝」であり、10年近く「忘れ
   かけていた優勝」でした。

   女子は、春リーグで日大の前に苦杯を喫した淑徳大が、インカレでの連覇に続き、関東リーグでも
   王座に返り咲きました。去年も同じパターンで、その再現を見るようでした。春を制した日大は、
   世界大学で優勝した直後の福岡が、疲労やコンディション不良などもあり成績をあげられなかった
   ことが誤算となりました。また、唯一、2人の世界大学代表(福岡と坂本(沙))を出していたことも
   (強豪校の宿命とは言え)、結果的に日大にはマイナスに働きました。
   淑徳大は、秋リーグだけで言えば4連覇で、藤井、西岡らの4年生勢は在学中の春秋8シーズン中
   6回の優勝を飾りました。インカレの5連覇とも合わせ、「夏以降は絶対負けない、強い淑徳大」
   でした。
   なお、今年は女子の4年生に強豪が多く、特別賞ラインである4年間通算20勝を超えた選手が
   大畑(大正大)、藤井(淑徳大)、柏木(中大)、河村(東富大)と、各校に顔を揃えていました。

   後日の入替戦では男子・駒沢大が大正大を4−1で破り、創部54年目となる来春、初めて1部に
   登場することとなりました。32年間も連続で2部に在籍し、昇格を狙っていたチームと言う
   ことで話題となりました。

 7.愛知全日学。日本人選手のみによる「クローズ」大会は、インカレ優勝校(早大勢・淑徳大勢)が活躍。

   今年から、外国人留学生に出場権を与えず、日本人だけの「クローズ」大会となった全日学は、当然
   ながら去年までとは違った雰囲気の中で行なわれました。

   男子は去年までも比較的日本人が上位を占めていたため、クローズ化の影響よりも、インカレでは
   実現しなかった早大vs青森大の勢力争いが注目されました。去年は上位の約半数を独占するほどの
   活躍を見せた青森大勢は今年は精彩を欠き、逆にインカレを制した早大勢の活躍が目立ちました。
   ダブルスは早大ペアの同士討ちとなった結果、中野・下山組が優勝、岸川・久保田組が2位。
   シングルスでは、ベスト16に4人、ベスト4に3人の早大勢が入りました。早大の3冠獲得は
   目前でしたが、青森大の高木和が最後の砦として孤軍奮闘し、去年惜しくも決勝で取り逃がした
   タイトルを今年は獲得しました。

   女子も、インカレ優勝校の淑徳大の活躍が目立ちました。シングルスではベスト4の内、3人を占め、
   エースの藤井は第1シードを守って順当に優勝を果たしました。決勝は世界大学優勝の福岡(日大)
   が相手でしたが、4−0ストレートで勝っていました。過去3年連続銅メダルでしたが、最後の年に
   金メダルを獲得しました。なお、日本人の全日学女子シングルス優勝は、平成8年(1996年)の岡崎
   (近畿大)以来、8年ぶりのこととなりました。(「クローズ化」で、当然のことですが…)。
   ダブルスは、1年生ペアの阿部・山崎(知)組(青学大)が強豪の上級生ペアを連破して驚きの優勝を
   飾っていました。決勝で敗れた藤井・西岡組(淑徳大)が、もし勝っていれば、藤井はインカレと併せて
   3冠王となっているところでしたが、これは逃しました。

 8.新大会・「全日学選抜」創設。男子・高木和は全日学との連覇。女子・孫博は去年の全日学との連覇。

   「全日学のクローズ化」とセットで、外国人留学生にもオープンな新大会・「全日本学生選抜選手権」
   (全日学選抜)が創設されました。
   出場資格は、日本人選手は男女各18人(「その年の全日学シングルスベスト16(欠員発生時は
   推薦で補充し、男女各16人を確保)」と「地元学連推薦・男女各2人」)、外国人留学生は誰でも出場
   可能となっています。また、大会に個性を持たせる狙いで、いろいろと目新しい趣向も取り入れ
   られていました。早い段階から同士討ちを許可する組み合わせルールや選手自身による抽選、3位
   決定戦の実施、そして「奨励賞」という名目の賞金も出されました。金額は男女各1位・15万円、
   2位・7万円、3位・3万円で、男女計で総額50万円でした。

   大会の結果は、男子は(留学生に強豪が少ないこともあって)上位は日本人が多く、自然と全日学の
   再現を見るような展開も多くなりました。ベスト4は日本人のみとなり、その内、3人は全日学に
   続く4強入りでした。高木和(青森大)が、取り囲む早大勢を連破して、全日学に続いて優勝を飾った
   様子も「いつか見た光景」のようでした。

   女子は一転、全日学とは様相を異にしていました。「強豪揃いで留学生勢とも互角」と期待された
   日本人(主に4年生勢)の予選リーグ敗退が続き、ベスト8は日本人3人、外国人留学生が5人。
   ベスト4は留学生が独占しました。中国卓球同士の優勝争いの結果は、孫博(大正大)の優勝と
   なりました。孫博は去年の「オープン」だった全日学優勝に続き、事実上2年連続で大学日本一の
   座に着きました。関東学生2連覇に続く全国大会2連覇で、個人戦の強さを強烈にアピールして
   いました。

 9.(番外編1) 世界のビッグゲーム・世界選手権(団体戦)ドーハ大会とアテネオリンピック

   大学界を離れて卓球界全般を見ると、何と言っても今年のビッグゲームは2つの世界戦、「世界選手権
   (団体戦)ドーハ大会」と「アテネオリンピック」でした。

   3月にカタールのドーハで行なわれた第47回世界選手権(団体戦)は、予想通り、順当に中国の男女
   アベック優勝となりました。日本勢は、女子が中国にも迫る健闘を見せ、2大会連続での銅メダルを
   獲得しました。前回の第46回・大阪大会(2001年)では高田、羽佳といった帰化選手が主力でしたが、
   今回は梅村、福原、平野、藤沼という帰化選手なしの若手の布陣でメダルをキープしました。
   一方、男子は、1次リーグ、そして順位決定戦を通じて6戦全敗の12位で、「ドーハの悲劇」と言える
   惨敗となりました。試合方式の関係で、順位こそ前回のワースト記録13位は上回りましたが、
   全敗は世界選手権初出場(1952年)以来52年目にして初の「事件」となりました。

   8月のアテネオリンピックは、ドーハの流れが続いているように日本男子勢は全員、早いラウンドで
   敗退を喫しましたが、女子は健闘し、シングルスで梅村、福原、藤沼が3人揃ってベスト16。梅村・
   藤沼組のダブルスはメダルに近づくベスト8という結果でした。また、15歳の福原が「日本選手団
   中、全競技を通じて最年少」、「卓球競技参加選手中、最年少」など、話題も多く、マスコミと世間の注目
   を集めました。
   競技結果では、中国が相変わらず強く、4種目中3種目を制しましたが、男子シングルスは柳承敏
   (韓国)が優勝し、4位となったワルドナー(スウェーデン)と並んで大会を盛り上げました。

 10.(番外編2) 田舛彦介氏、逝去

   毎年、何人もの方がお亡くなりになり、それはそれで仕方なく、また、そういった訃報に接すること
   にも「慣れ」てしまうものですが…7/22(木)に田舛彦介氏がお亡くなりになった、という連絡
   には本当に驚きました。83歳という年齢を聞けば、大往生とも言えますが、私個人的には大きな
   ショックでした。
   私が卓球をはじめたのは中1からで、最初の2年間は「ただ部活をやってるだけ」でした。それが
   中3から卓レポを読み始めて、そこから人生が変わりはじめました。だから、田舛氏は、私にとって、
   ある意味で「神様」だったと言えます。もちろん、実際にお会いするようになって「彼も人なり。我も
   人なり」という面もありましたし、盲信的に、宗教的に信仰していたわけではありませんが…、
   それでも、一貫して「僕の神様」でした。

   神なき世界で、あとは残る者が出来ることを一生懸命やるしかない……か……。
   ガンバリマス!

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