2003年(平成15年)・卓球10大ニュース

 今年も残すところあとわずかとなりました。
 今年は、「全日本選手権(個人戦)が行なわれない365日」ということもあり、もうビッグゲームもありません。
 テレビなどでも、今年1年を振り返る「10大ニュース」とか「重大ニュース」とかの特集番組が増えてきて
 います。そこで、私が感じた「今年の卓球界の10大ニュース」をまとめてみたいと思います。
 「私が感じた」ニュースですので、当然、関東を中心とした大学関連のネタが並ぶことになりました。
 但し、10個のニュースの順位をつけるのは難しかったため、基本的には時間順に並べてみました。

 1.関東学連に強豪留学生が多数入学。

   今年、関東学連には阮震杰(埼工大)、トン舟(専修大)、孫博(大正大)という強豪留学生3人が入学して
   来ました。阮震杰は平成14年のインターハイチャンピオン、トン舟は同じく平成14年のインター
   ハイでベスト4、孫博は1年のブランクがあったものの、その前の平成12〜13年にインターハイで
   2連覇している選手です。

   関東新人戦では、男子シングルスで阮震杰が優勝し、女子ではトン舟が単複2冠王になりました。
   新人戦のタイトルを逃した孫博は、その後、関東学生のシングルスと全日学の単複2冠を制し、実力を
   証明しました。

 2.関東・春リーグ。明治大、男子最多優勝回数を記録。女子・日大が初優勝。淑徳大は連勝ストップ。

   明治大は春リーグで通算27回目の優勝を達成しました。この「27回」という数字は、男子では
   専修大の26回を抜く単独トップの成績となりました。明治大は秋リーグでも連続優勝を果たし、
   この男子最多優勝回数を現在は「28回」まで延ばしています。(なお、女子では専修大の「38回」と
   いう優勝回数記録があります)

   女子は、5連覇を狙った淑徳大が日本大に敗れ、ついに連勝がストップしました。淑徳大は、連覇が
   「4」でストップしただけでなく、平成12年度(2000年)秋季の最終日以来続いていた連続勝利も
   「24」でストップしました。さらにこの間、インカレでも連続優勝を続けていたこともあり、丸2年
   以上の全勝記録が途切れる歴史的な「21世紀初黒星」となりました。
   日本大は、昭和35年の創部以来、43年目での初優勝でした。日大女子の上昇気流は関東学生の
   福岡・坂本(沙)組の優勝まで続きました。

   なお、女子1部においては、去年から在籍していた張虹(日大)、陳微娜(淑徳大)、劉テイテイ(東富大)、
   曹冬梅(中央大)に加え、上記のトン舟(専修大)、孫博(大正大)の新加入で、史上初めて「6校全てに
   外国人留学生がいる」状態となりました。

 3.関東学生は中野(早大)と孫博(大正大)が制す。

   春リーグで「強さ」を見せた明治大勢が上位シードを独占し、活躍が予想された関東学生でしたが、
   結果的には単複ともにタイトルを逃す形となりました。ダブルスでは明大勢は予想外のノーランク
   に終わり、代わって専大勢が1〜3位を独占する活躍で、優勝は山城・原組が飾りました。山城組は
   のちに全日学でも優勝するなど、ダブルスで活躍を続けました。
   シングルスでは、明大勢がベスト4に3人入る展開となりましたが、優勝は唯一の「明大以外」・中野
   (早大)が奪取しました。

   女子では、春リーグで不振だった大正大がシングルスの決勝で同士討ちを演じ、後輩の孫博が先輩の
   大畑を破りました。なお、この種目の外国人留学生の優勝は5年連続で、平成4年以降の12年間
   では、平成10年の益田以外、実に11回が外国人留学生の優勝となっています。
   女子ダブルスは、春リーグの余勢をかって、日大の福岡・坂本(沙)組が初優勝を果たしました。

 4.青森インカレ。青森大が地元で3連覇達成。淑徳大は、世紀またぎのインカレ4連覇。

   青森の「青い森アリーナ」で行なわれたインカレは、男女共、チャンピオンチームが連覇を続ける結果と
   なりました。

   男子は、地元の青森大が、大方の予想通り、3連覇を達成しました。三田村世代の4年勢と坂本世代の
   1年勢が同時に在籍した今年は、万全の体制と言え、無失点完全優勝もささやかれていました。実際
   には失点を喫するシーンもありましたが、「青森大が敗れると会場がざわめく」という状態でした。
   関東を制した明治大は決勝で青森大との頂上対決を演じましたが、1−3で敗退しました。
   青森大は、21世紀になってからのインカレで無敗記録を継続中です。

   女子は、インカレ3連覇中の淑徳大と、関東・春リーグを制した日本大が優勝候補の双璧と目されて
   いましたが、日大が決勝トーナメントの2回戦で敗退するという番狂わせがあり、淑徳大が危なげなく
   4連覇を達成しました。淑徳大は、20世紀最後の年である平成12年(2000年)から続く「世紀
   またぎ」のインカレ連覇を現在も継続中です。

 5.関東・秋リーグ。明治大、年間10戦全勝で2連覇を飾る。淑徳大は、見事な復活優勝。

   男子は、春リーグに続いて明治大が5戦全勝優勝を飾り、年間10戦全勝で主力の4年生勢の有終の
   美を飾りました。近年、「春リーグには強いが、なぜか秋リーグに弱い明治」と言われていましたが、
   5年ぶりの優勝でジンクスを打ち破りました。リーグ通算33勝という、極めて高い実績を残した
   柳田の他、並木も同時に特別賞を受賞し、「強い明治」を象徴していました。なお、既述の通り、明大は
   この優勝で男子最多優勝回数を「28回」まで延ばしています。

   女子は、春リーグで苦杯を喫した淑徳大が、インカレでの優勝に続き、関東リーグでも王座に返り咲き
   ました。淑徳大1校のみが孤高の全勝ロードを走り、5戦全勝。他の5校はドングリの背比べで、
   決定力に欠け、5校とも2勝3敗という結果に終わりました。「勝ち越し校が1校だけ」という成績が
   淑徳大の一人勝ちを象徴していました。

 6.関東・秋リーグ。専修大、大混戦の末にチーム史上初の2部落ち。

   これも秋リーグの一部ですが、あえて別項目にしました。10大ニュースの優先順位がつけられ
   なかったための時間順ですが、優先順なら個人的にはこれが1番に来ます。2〜10番の順位は
   つけられませんが…。

   秋リーグの1部で2勝をあげながら、勝率計算の末に最下位に沈んだ専修大(女子)が、昭和28年の
   創部以来、51年目にして初めて2部に降格しました。1部連続在籍記録は、女子最長の101
   シーズンでストップしました。(男子の1部連続在籍記録は、同じく専修大の112シーズンで、
   現在も継続中(来春は113シーズン目))。
   春リーグに続く、2季連続の対戦カードとなった青学大戦に1−4で敗れ、半世紀以上に渡る伝統に
   ピリオドが打たれました。ま、近年のチーム戦績を見ていれば、インカレの2年連続ランク落ちなど
   にも象徴されているように「実力がないから負けた」だけで、仕方ないことですが…。

 7.尼崎全日学。青森大勢、大活躍。女子は留学生旋風。

   インカレに続き、全日学でも青森大勢は大活躍しました。主力級の1人、坂本をドイツ留学で欠き
   ながら、単複共に、ほぼ上位を独占しました。まず、男子ダブルスでは、ベスト8に5ペアが入り
   (16人中10人!!)、ベスト4には3ペアが入りました。優勝こそ、関東チャンピオンの山城・原組
   (専大)に奪われたものの、「トップレベルの層の厚さ」を見せました。そしてシングルスでは…ベスト
   16に7人→ベスト8に6人→ベスト4に3人→決勝同士討ち、という「モンスターチーム」ぶりを
   遺憾なく発揮しました。しかも、ベスト4に入った3人は、インカレで1度も試合機会を与えられず、
   ベンチウォーマーに終わっていたメンバーでした。…「何なんだ、このチームは!!」

   一方、女子は、孫博(大正大)が単複2冠王(ダブルスパートナーは大畑)となりましたが、「大正大の
   強さ」というよりは、例年同様、「外国人留学生の強さ」が目立ちました。ダブルス決勝の4人中、大畑
   以外の3人は留学生でしたし(ちなみに、去年のダブルス決勝は4人全員が留学生)、シングルスは
   ベスト16に9人→ベスト8に4人→ベスト4に3人→決勝留学生同士討ち、でした。
   全日学女子シングルスは、これで平成9年以来、7年連続で外国人留学生選手が優勝しており、昭和
   63年以降の16年間で、実に14回、外国人留学生選手が優勝しています。(2回の日本人優勝は、
   平成2年の高尾(中央大)と平成8年の岡崎(近畿大))。

 8.全日学からの外国人留学生選手の締め出しと、新大会・「全日学選抜」の創設。

   上記のような「強過ぎる外国人留学生対策」として、「全日学からの外国人留学生の排除」が日学連で
   決まりました。(決定は3月で、実施は来年度から)。これにより、今年の全日学は「留学生が出場
   できる最後の全日学」となりました。1年生の孫博(大正大)は、「最初で最後の全日学」で単複2冠を
   制したことになります。

   「全日学のクローズ化」とセットで、外国人留学生にもオープンな新大会・「全日本学生選抜選手権」の
   創設も決まりました。これも実施は来年度からです。そもそもは、全日学のクローズ化に対する
   人種差別的批判の矛先を避けるために考案された大会で、その大会の内容検討にあたっては、種々の
   問題もありましたが、現在は「日本人は、その年の全日学シングルスのベスト16のみ。外国人は誰
   でも出場可」という大枠に沿った形でまとまりつつあります。大会に個性を持たせる狙いで、上位
   進出選手には賞金も出す予定になっています。大会の詳細に関しては、今後決定されるため、一部
   変更がある可能性もあります。

 9.春日部全日本団体。淑徳大、大学生チームとして18年ぶりの優勝。

   春日部で行なわれた全日本選手権(団体の部)において、淑徳大が、昭和60年(1985年)の青学大以来、
   実に18年ぶりに大学チームとしての優勝を飾りました。今回の優勝メンバーは、皆、20歳前後
   ですから、18年前は2〜4歳くらいということになります。

   カテゴリーを越えて「日本最強チーム」を決める全日本団体では、例年、実業団チームが強く、今年も
   「日本生命の6連覇が有力」とされていました。日本生命は、今年、既に前期・後期の日本リーグと
   夏の全日本実業団選手権の3大会を制しており、「グランドスラム(=4大大会完全制覇)」を狙って
   いましたが、淑徳大はそのニッセイを「事実上の決勝戦」となった準決勝で破り、栄冠を手にしました。
   これで、淑徳大は、青森インカレ、関東・秋リーグ、そして春日部全日本団体、と、今年3つの団体戦を
   制したことになりました。春リーグを勝っていれば4大会制覇だったのですが…(大学の場合、春秋の
   リーグ戦は「地域リーグ」なので、社会人の「日本リーグ」とは同列に比較できませんが…)。

 10.(番外編)福原愛、大活躍。

   大学卓球界とは関係ありませんが、日本卓球界としては、今年最大の話題は何と言っても福原愛の
   大活躍でしょう。今思えば、ちょうど1年前、去年の全日本での女子ダブルス優勝は、今年の序章
   でしたね。
   今年は、2月のアジア選手権で女子ダブルスに準優勝。日本史上最年少として出場した5月の世界
   選手権・パリ大会では、シングルスでベスト8入りするという快挙を達成しました。これで完全に
   世界のトッププレーヤーの仲間入りを果たし、世界ランクも上げ、現在はアテネオリンピックを狙う
   位置にまで来ています。
   また、実力と同時にマスコミ露出度も上昇し、ある時期には、「何日かおきに、テレビか新聞か雑誌かで
   見かける」状態でした。
   今後も活躍を続けて、卓球界の「良い象徴」であってほしいと思います。


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