WAGON R RX

FUJIMI

このキットについて

初代ワゴンRはいわゆる優良キットで、実車も好きだったためにヤマ個人では最も多く製作したキットと記憶しています。
今回は、以前のフジミのR32GT-R同様に、今作ったらどうなるか?という好奇心から製作を開始しました。

基本的には期待通りの良キットだったのですが、今回製作して初めて「シャーシがやや寸足らずである」という事実に気付きました。当初は全く気付かず、最終段階で気付いてしまったため、事前に仮合わせした際の車高・ホイールベース等では違和感が強くなってしまい、再度シャーシのみ新規作り直しの痛い目に合いました。
結局、シャーシ後ろ側を延長する事で対応しました。

ボディーカラーには、実車デビュー時のイメージカラーであり、一番印象に残っている「ダーククラシックジェイドパール」のタッチペンを使用しました。

製作に関する詳細は製作記もご覧下さい。(現在はまだ完結していません)
実車のワゴンRはその後いろいろな仕様・グレードが追加されたり、モデルチェンジもしましたが、やはり個人的にはこの初代の初期型が一番好みです。






 ・ ・ ・ ・ ・   ひとりごと   ・ ・ ・ ・ ・


例えば、93年8月の軽自動車市場はどういう事になっていたか。
この時期の軽乗用車の代表はアルト・ミラ・ミニカ・トゥディ・ヴィヴィオ等。

これらの軽乗用車は、
・ボディの外形寸法を法律で規制されている
・フロントエンジンの2BOXカー
・4人乗り
という構成で設計・製造・販売されていました。
で、どれが好きだったかと言うと・・・実は正直言ってあまり興味が無かったというのが本音だったりします。

外形寸法が小さく規制された上に4人が乗れる室内空間を持ち、ある程度の荷室を備え、よく似た寸法・形状・サイズのエンジン・ミッションをフロントに横向きに積んで、走行機能用件を全て備えたクルマは、その概ねの機械部品の配置が似てきます。それぞれの部品の配置にも概ね意味があり、必要があります。
各社の看板車種は求められる条件を見事に満たしたものでしたが、それらは基本的には同じクルマと見ることもできます。例えばミニカとビート、あるいはカプチーノやAZ-1は同じクルマには見えませんが、これは表面のデザインが違うからではありません。オープンカーだから、あるいはガルウイングだからでもありません。それぞれの機能部品の配置が違うからです。

ではアルトはなぜアルトなのか?
ミラとヴィヴィオの違いを分けるものは何か?
それはつまり、ボディが角ぽいか、丸いか。ランプが丸いか、四角いか。ガラスの面積が狭いか、広いか・・・結局は表面の見た目の違いしか有りません。強いて言えばトゥディのみが見分けが付きやすい形をしている。その程度の認識でした。


そんな、軽市場に翌93年9月3日、スズキがポロッと一台の新型車を投入します。名前はワゴンR。
初見で何故か「ヤラレタ!」と思いました。

冷静に考えるとこのクルマ、何か凄い事をしてある訳ではありません。
FF2BOXと言う構成はそこらの軽と全く同じだし、大体、構成部品の7割までがアルト(と、その派生車であるセルボ・モード)と共有・・・という事は目に見えるところ以外は全く同じクルマと言って良く、アルトに対するセルボ・モードやミラに対するオプティと全く変わりません。
しかし、それらの丸か四角かしか違わないクルマ達とは一線を画す違いが有ったんです。

それは「全高」。

軽自動車は何度かの規格改正の度に徐々に拡大してきた軽自動車枠を全て使い切って最大まで大きく作ってあると思っていたんですが、一箇所だけ使い切っていなかった箇所が有ったんですねぇ。
そう言えばこんなクルマちょっと前にもありました。
ミニカ・トッポやアルト・ハッスル、ミラ・ウォークスルーバン等がそれですが、こちらはどちらかと言えば商用車のイメージが強かった気がします。この中ではミニカ・トッポが一番乗用車に近かったのですが、それはフロントフェンダーまでが通常のミニカと共通で、少々アンバランスな印象も残るものでした。

では、そのワゴンRのスタイルはというと・・・これは素っ気ない感じ。
シンプルと言えなくも無いけど、アルトを上に引っ張っただけとも言える。そんな感じ。

バリエーション展開もそれまでに無く簡単なもの。
ボディは一種類(右1枚、左2枚の左右非対称3ドア)。
エンジンも一種類。(660cc、NA、SOHC、55ps/7500r.p.m)
ミッションは二種類(5MTと3AT、共にフロアシフト。MTは全車、ATはRG・RXグレードのみ)。
グレードは三種類(ベースグレード:RA、エアコン付き:RG、豪華版:RX)
ボディカラーはRAが1色、RG・RXが3色
4WDはRGのMT車に寒冷地仕様とセットで設定されていました(RG-4)。

仕様・設定が少なく単純な理由は、考えるにおそらく2種類有ると思われ、
@使用目的・ユーザー層が限定されていて、多くのバリエーションを必要としない。
Aさほど売れる見込みが無い。あるいはユーザー層やニーズの見込みが立たず仕様設定ができない。

では、WAGON R はどちらだったか?

新発売を告げる「SUZUKI NEWS」1993年9月3日版にはこう書かれている。
『今回発売するワゴンRは、軽乗用車の新しい在り方を示す一つの提案として、「私ならこのクルマをこう使う」とはっきり主張できる新しいユーザーを念頭に置き、「乗る人を最優先し、快適で使い勝手の良さを追求したクルマ」を基本コンセプトに開発したニュージャンルの車である』

「一つの提案として」「新しいユーザーを念頭に置き」開発した「ニュージャンルの車」
であるなら、これは間違いなくAなのでしょう。

月販目標5000台。開発開始時の月販目標は3000台だったとも言われています。
そのクルマは、バンパーは全車無塗装の黒成型色。専用デザインのアルミホイールも無し。内装も一部鉄板が剥き出しになっている・・・
それまでの「カワイく見せよう」とか「高級そうに見せよう」というような部分が無く、言って見れば居直ったようにあっさりした印象のクルマでした。でも、そんな所が「道具」的に思えて自分には好ましく思えたんです。


そんなワゴンR。
売れましたねぇ。驚く程売れました。
その当時よく読んでいた自動車雑誌には毎月の新車販売台数が掲載されていましたが、その数字は増産が掛かるたびに増えていきました。うろ覚えではありますが、その当時の記憶では1年はそんな調子だったように思います。つまりバックオーダーを1年以上抱えていて、作った車は全て売れていった事になります。
しかし、それだけ売れれば他社だって黙ってはいません。ワゴンR登場からおよそ2年後の95年8月25日には最大のライバルと目されるダイハツ ムーブが発売され、他社もこの流れに追従します。

他車種のパーツを最大限利用できたおかげで、大して売れる見込みも無いワゴンRが「一つの提案として」商品になれた訳ですが、それは他社にとっても同じでした。ボディ・内装系のみ新造し、ワゴンRに欠けていると思われる部分を入念に対策すれば、人気商品の出来上がりです。

こうして競争が始まります。
内外装の見た目品質の向上、人気オプションの標準装備化、より上級なグレードの新設、多様なユーザーニーズへの幅広い対応・・・雪だるま式にバリエーションは増加し、当初の居直りを反省したかのように商品性改良は進みます。

96年版のカタログの機能説明ページにはこんなコメントがあります。
「あそこも、ここも。
 お客様や専門家の声をいっぱい集めて、考えて、2年の月日で磨きに磨きました。」

ボディカラーの充実、カラードバンパー、フルトリム内装、4ドアのFシリーズの追加、ATの多段化及び設定拡大、コラムAT、ターボ、ツインカム高性能エンジン・・・。ライバルの美点は自分の欠点。足りない物を補い、さらに一歩先を目指せば必ずライバルだって対向してきます。

映画「タイタニック」に世界中が感動した97年にはイメージキャラクターとしてレオナルド・ディカプリオがTVCMに登場し、後のRRの前身に当たる「エアロRS」も登場します。

ワゴンR にレオ様?
ワゴンR にエアロ?

これはですね、おそらくですよ。
作った当人ですらアイデア商品としか思っていなかったワゴンRが定番商品になったという事です。
売れ行きの中心であったアルトがいつの間にかワゴンRにすり変わったんです。ミラがムーブに変わった。トゥディがライフに変わった。ミニカが・・・、ヴィヴィオが・・・
きっとそういう事です。商品性改良に力が入り、宣伝にも力が入り、ライバルとの戦いにも力が入る。
この過剰な「何でも有ります。」的な雰囲気はある種の閉塞感を生みます。それはいつか見た光景でありました。


初代ワゴンRのデビューから2005年で12年。1回りして軽の市場はどうなったか。

@背が高いのと、低いのが選べるようになった。
これは確かに93年9月のあの日からそうなった。それ以外は?

Aまあ、・・・丸いか四角いか。

Bしいて言えばスバルのR1とR2のみが他と見分けが付きやすい形をしている。



それだけ? 

たぶんそれだけです。



結局何も変わっちゃいないんです。
面白くもおかしくも無い。定番商品と言うのはそういう物です。
一つの優れたアイデアは、数が売れた事によって有りふれた、どこにでもある、見慣れた物になったんです。初代の発売開始以来10年4ヶ月後の2003年12月には国内累計販売台数200万台を突破しました。
今やワゴンRを見ても「ヤラレタ!」なんて思いません。よくあるタイプの軽自動車のそのパイオニア。それだけの事です。
これだけ類似車が増えた状況になれば、もはやパイオニアである事自体にもさほどの意味は無いかもしれません。


そんな感じで、このひとりごとの結論だって面白くもおかしくもありませんが、一つだけ夢の有る話をするとすれば、このつまらない状況は93年の7月や8月の状況と同じだと言えるかもしれません。
翌月には、そう・・・何か起るかもしれない。

当時、画期的なクルマと言われたという、初代アルトが登場してからワゴンRの登場まで14年。あと数年で何かが起る可能性は誰にも否定できません。


長文に最後までお付き合い頂いたお礼の画像。
題して 『ワゴンR三世代の進化の図


  


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