マヨヒガ、意味は山奥の打ち捨てられた廃屋。
誰かが過去とともに捨ててしまった小屋。


  【マヨヒガ】              樹


ボロい小屋の扉が勢いよく開かれた。
たったそれだけで、扉は外れてしまいそうになる。
今回は何とか持ちこたえた、だがそれも後数回だけだろう。

「わぅ、みんなここなかなかいいネ♪」

浅黒の肌をした少年が、振り向いた先では色々な動物が好き勝手に鳴いていた。

「それじゃあ、ここにしよっか?」

少年は動物たちに尋ねた。
この少年、どうやら動物の言葉がわかるらしい。
実際、この少年も動物、という事になるのかもしれない。
帽子を取れば犬と似た耳が生えているし、
後ろを向けば犬のそれと同じ尻尾が生えていた。
少年の質問に動物たちは――やはり、思い思いに鳴いていた。

「うんうん、みんなも気に入ったみたいだネ♪」

…………本当にわかっているのか?
というツッコミが飛んできそうな勢いである。

「よぉっし、それじゃあみんなでお掃除しよーっ♪」

そう言うと元気に、窓を開け放った。
小屋の中が何年ぶり、もしかすると何十年ぶりかもしれない太陽の光で満たされた。

「これから、どんな人たちに会えるかなぁ?」

少年は窓から外見ながら呟いた。

「楽しいこといっぱいだといいナ♪」

そして、部屋を掃除しようと後ろを振り向けば……


後ろを振り向けば……


………振り向けば……


…………………………


「みんな、ちゃんとやってよーーっ!」

前途は多難なようである。

マヨヒガ、意味は山奥の打ち捨てられた廃屋。
誰かが未来を信じて新しい人生を踏み出す場所。

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