【コンビニおにぎり】    ユウニ

 昼休みのチャイムが鳴り響き、私は屋上へと上がる。天気も良いので誰かいる
だろうと思っていると、背後から声をかけられた。
「あ、かえで、一人?珍しいね」
 友達の涼子である。小さなビニール袋を片手にしており、そのプリントされた
店名を見ると彼女“も”同じ用事のようだ。
「うん。皆、あの混んでいる食堂に行っちゃったから」
「そうじゃなくて、その袋。かえでって、いつも自分でお弁当を作って来ている
じゃない。寝坊でもしたの?」
 私の持っていたコンビニエンスストアの袋を指して涼子が言う。
「あ、うん。そんなところかな」
 苦笑してごまかす。まさか、彷徨う魂を苦労して浄霊し終わる頃には朝日が昇
っていたとは言えるはずもない。

 私と涼子は日当たりのいいベンチに腰を降ろして話し始める。
「やーっぱり、狭っ暗い学食より屋上よね〜♪」
 涼子はツナサラダのサンドイッチの袋を開き口に運ぶ。
「そうね。今日は久しぶりに天気も良いしね」
 私は袋から梅のおにぎりを取り出す。
「あ〜あ、毎日こんな天気ならね〜」
 涼子はダイエット飲料のキャップを取って、軽く口をつける。
「私は雨の日も好きだけど、仕事は晴れている方が良いかな」
 おにぎりのラベルを見る。買ってきたばかりなのに賞味期限は明日である。
「神社で巫女やっているんだっけ?かえで、頑張るよねぇ」
 浄霊の事は隠しているが、神事を手伝っている事だけは言った覚えもないのに
広がっているのだ。
「まあ、ね。でも、誰にでも出来る仕事でも無いけど」
 回しながらビニールに付いたナンバーを見る。1,2,3……すると、涼子が
疲れたように声をかけてくる。

「…かえで…コンビニおにぎりの開け方、知らなかったのね…」

 私はただ恥ずかしくて、無言で頷いた。だって、今まで食べた事なかったもの
と返しても、そんな人類滅びているわよと怒られる。
 その日の昼はそういう風に過ぎていったのだった。


登場人物:加地かえで

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