【洗濯物日和】 est ○月×日 快晴 一週間ぶりの晴れ。この時期に珍しく抜けるような青空、という比喩が似合う日。 今日は美兎さんが洗濯物をまとめて片付ける、と張り切っていた。 「と、いうことでぇ、洗濯ですぅ。」 ジャブジャブジャブ…… 腕まくりをし、美兎は完全に臨戦態勢。それを横目で見ながらエストはつぶやく。 「うぅ……久しぶりに晴れたのに、遊びにいきたい〜〜〜〜〜〜!!」 ジャブジャブ……ごしごし……ジャブ…… 「ですが、この機会に洗ってしまわないと、服が足りなくなりますから。」 チャプチャプ……わしゃわしゃわしゃジャブジャブ…… エストのさらに横でティンがいつもの無表情でなだめる。 「う〜。ちくしょ〜。もう雨は嫌いだ。」 まだぶつぶつといいながらエストは天を仰いだ。 裏庭のほとんどを埋め尽くす菜園のはずれ、勝手口にやや近い場所にある井戸。 その横に作られている洗濯用のスペースで三人は並んでそれぞれの服を洗濯していた。 久しぶりの気持ちのいい青空。その下で、美兎は機嫌よく、エストは不満をいいながらも楽しそうに、 ティンは無表情に、おしゃべりをしながら手を動かしていた。 「つーわけなのよ〜。」 「へぇぇ。すごいですねぇ。」 「……」 エストがしゃべり、美兎が相槌を打つ。そしてほとんど黙っているティンがところどころに口を挟む。 今日はそんなパターンが出来上がっていた。 そんな中、ふとエストが口と止めた。 「エストさぁん?」 「…………?」 横の二人が訝しげにエストの顔を覗き込もうと首を曲げ、視界にエストの何かを たくらんでいそうな笑みが…… 「それ」 ぱしゃん ……笑みが入った瞬間、エストの手首がひねられ、二人の顔に水が掛けられた。 「ほぇ?」 「ん……?」 「ふふふ」 不敵に笑うエスト。 なぜかうれしそうな顔で腕をまくりなおす美兎。 ふ、と息を吐いて見分けられるのはほとんどいないであろう微妙な表情の変化を見せるティン。 次の瞬間盛大な水の掛け合いが始まったのは、まあ当たり前のことといえば、当たり前のことだった。 「はぁ〜♪」 「ほぇ〜…」 「ふぅ」 びしょぬれになった三人が誰からともなく手を止めて座り込んだのは、 たっぷり一時間は経ってからだった。 「や、でも、こういうのもいいよね。」 エストが満足気にいう。 「洗濯物が増えましたよ。一着分。」 「そうですぅ〜」 反論するティンと美兎だが、二人の声もこころなしか楽しそうである。 「さて、早いところ洗濯物を片付けて着替えましょう。」 言いながらティンが立ち上がる。とエストがふと気づいて指摘する。 「あ、ティン、鼻のとこ、泡付いてるよ。」 くすくすと笑うエスト。そこに美兎が、 「エストさんこそぉ、まゆ毛の上についてますぅ。」 「美兎さんも、そこに」 それからしばらく、愉快そうな、楽しそうな、控えめな、三つの笑い声があたりに響いた。 ひとしきり笑った後、顔を洗った三人は洗濯に戻り、一通り洗い終わった。そしてさあ絞って干そう、 というところで。 「……?」 ティンが空を見上げた。 「どしたの?」 つられてエストも、続いて美兎も。三人そろって空を見上げた、と思ったその瞬間。 ポッポッポッ……ザザザァァァァァァァァァァァァァァァァァァッッッッッ! 「ちょっ!?うそぉぉ?って、うあ、洗濯物〜〜〜っ!」 「あぁ〜あぁ〜お野菜さん〜〜シートシートぉ。」 「手伝います」 晴れ渡っていた空がにわかに曇り、土をえぐり、跳ね上げるほどの強く激しい雨が降り注ぐ。 エストはすでに泥をかぶり始めている洗濯物の入ったタライを屋内へ運び込み、 美兎とティンは激しい雨から畑の土を守るためのシートをかぶせる作業を急いで始めた。 「ふぅざぁけぇるぅなぁ〜〜〜っ!」 ザザザァァァァァァァァァァァァァァァァァァ…… 修正。 ○月×日 快晴後雨 一週間ぶりの晴れ。この時期に珍しく抜けるような青空、という比喩が似合う日だった。 今日は美兎さんが洗濯物をまとめて片付ける、と張り切っていた。 遊びに行こうとしていたエストさんも捕まえ、三人で洗濯。 しかし、洗濯が終わったとたん、雨が降り始め、結局台無しに。 エストさんは「くそぉっ!これなら遊びに行ってりゃよかったぁ……」と悔しそうだった。
エスト 美兎 ティン コメント 三人娘編。ちょっとまじめに書いてみたり。