【携帯電話】    ユウニ

《〜〜〜♪》
 聞きなれた曲が、深夜の夜道を歩く私のウエストポーチの中から響く。カレか
らだろうか?期待して取り出してみる。
「あ、結城からか。こんな夜中に何かな」
 着信音を相手によって切り替えられれば良いのだろうが、自分のは数年前に友
人に勧められて購入して以来、必要もないので機種変更はしていない。
「もしもし。結城?何?……へ?また彼と喧嘩したの…?わかったから、泣かな
いの。うんうん…」

 結局、30分ほど話に付き合い、泣き疲れた結城にお休みと言って通話を切っ
た。
 でも、電源は切らないでおく。
「未練、だなぁ。私も結城みたいに愚痴って置けばよかったかな」
 そう呟いた事が変におかしくて私は苦笑する。きっとそれは無い。お互い了承
の上で別れたのだから、不満が出るはずも無い。お互いの夢のため、進むべき道
のために一緒に行かない事を決断したのだ。
 それでも、嫌いになったわけじゃないのだからつい期待はしてしまうのは仕方
ないのかもしれない。
「あ〜あ、今ごろ何してるんだろ」
 ぼやくように言って、帰路へと着く。

 そして私は、明日も言葉が着くのを待っている。


登場人物:加地かえで

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