【メモリーカード】 リョーマ フィクセス博物館の研究室で一人の若い女性が研究員達に講義をおこなっていた。 『つまりです!このキーリンク島最大の謎とされた鍵の門の封印が解けた今! 私達はその謎の究明をしなければいけないわけです!』 博物館内施設の一つである郷土資料館の館長を務める弥生は メルヴェイユを目指した者の一人から借りてきた鍵を研究員に見せた。 『この鍵は、メルヴェイユを目指した者達の前に現れました! それは正に太古の伝承の再現と言ってもいいでしょう! そして、この話を聞くことや伝承によりいくつか判明した事があります!』 弥生の説明を聞きながらメモを取る研究員達、中には弥生よりもずっと年上の熟練研究員もいたが それでも弥生の下に研究員としてついてるあたり、弥生の学者としての資質の高さがうかがえた。 『まずこの鍵は島の外で使用することでこの島と結び合わせるためのゲートを発生させるようです! そしてそのゲートを潜ればどんな場所からでもこの島へ到達できるのです! しかし、残念ながらそれについてのメカニズムについてはまったくの謎となっています! これは今後の研究課題の大きな柱となるでしょう!』 そしてホワイトボードを裏返すと、そこには鍵に刻まれた文字に至るまで寸分の狂いもない拡大図があった。 『そしてもう一つ、この鍵で島に来た者は門を潜る事によって出発地点に正確に戻れる点についてです! これについては先の研究で発見された文献、鍵の持ち主の協力による実験によっていくらかの仮説は立ちました!』 バンッ!とテーブルを叩き力説する弥生。 研究員達にとってはいつもの事だがやはりいきなりやられると驚くようで、呆然と弥生に注目した。 『実験や先の資料を照らし合わせた結果、この鍵はゲートを発生させるだけではなく、 使用者と同行者、そして出発地点を記憶する記憶装置の役割を果たしてるのです! そして、この鍵を使用者が鍵の門の鍵穴にセットすることで帰還ゲートを開く事ができるのです! よって、他の使用者の鍵を所持したり、鍵を持たずに帰還することはできないのです! 鍵の所有者の安全の考慮から鍵を破壊された場合のケースは実験不可と判断しましたが、 この小さな鍵一つに膨大な情報が、しかも筆記による書き込みとはまた違った未知の方法で書き込まれている所から 明らかに我々が想像しうる以上のなんらかの技術が使用されているということは間違いないでしょう!』 ここまで力説した後、一呼吸置いて落ち着いた面持ちで話を続ける弥生。 『そこで、その謎に迫るために宵月山の探索を慣行しようと思います』 弥生の言葉に研究員がどよめく、宵月山は表向きこそハイキングコースとしても利用されるのどかな山だが、 その裏は険しい地形に沢山の手付かずの遺跡を有する一般立ち入り禁止区域にも指定された危険地帯なのである。 『もちろん現場での直接指揮は私が取ります。 ですが、私は資料を集めるためにまたしばらくの間この島を出なければなりません。 そこで、ある程度のめぼしをつけてもらうための調査をお願いします』 「ですが弥生館長、我々だけでは少し荷が重いのでは?」 研究員の一人が意見を述べると弥生はそれくらい熟知してると言わんばかりに言葉を続けた。 『探査犬の手配はちゃんとやっておきましたし。もちろん同行者はつけますよ。 まだ新設したばかりのギルドですけど結構頼りになる人たちですよ』 弥生の手回しのよさに、研究員達もただ納得するしかなかった。 この行動力と準備の迅速さが、まだ若いながらも館長を由縁かもしれない。 こうして、やがてキーリンク島全体を巻き込む事になる大計画が始まる事となった。
キーリンクより郷土資料館の熱血館長弥生 ここでいうメモリーカードとは、鍵の事です。