親を亡くした子狐は…―― 【きょうだい―義兄妹】 あきら 「…っく、ひっく…」 小さな少女がただ一人、焼けた小屋の前で泣いていた。 そこは、少女の家だった小屋。 「…父様…っ…母様…っ…」 嗚咽交じりで、帰ってこない者たちを呼ぶ。 どれだけ泣いたか…ふいに、それまで照らしていた月明かりを 遮る影があった。 「…?」 見上げると、良く見知った少年。 「七海、だよね…?」 それまでに見ていた子狐とは違う姿の少女に少年は疑問を持ち ながらも聞いてみる。 「…ぅん…」 「人型に…なれたんだ…?」 答えた少女―七海に、少年は少しだけ嬉しそうに、そして呟く ようにまた聞いた。 「…でも…っ…戻れない…のっ…それに…っ…」 七海は、また嗚咽交じりで何か言おうとする。 「…おじさんたちは…戻って来れないけど、代わりに僕が家族に なるよ…?」 少年は、優しい瞳で七海に微笑みかける。 「…戒…くん、が…?」 じぃっと見上げ、七海は少年―戒に問う。 「うん。お兄ちゃんになら、なってあげれるから…ね」 また微笑むと、七海が着物の裾にぎぅっと抱きついてくる。 「戒…義兄、様…っ…ふぁぁんっ」 着物の裾にしがみついたまま、七海は今まで堪えてた分だけ 泣き始める。 空には、その二人を見つめるお月様が一つ…。
夢現交路より七海と戒。 七海の両親が殺された日の次の日の夜あたり…ですね。