少年は今、鍵穴から見る世界を楽しんでいた。


  【鍵穴】              樹


何がそんなに楽しいのかといわれても答えられるものではないが、楽しかった。
鍵穴の独特のあの形に納まった世界。
そういえば、鍵穴は何故こんな形をしているのだろう。
もっと単純な形では駄目だったのだろうか。
でも、今はこの形に作ってくれた事に感謝しよう。
この形だから楽しいのだろう。

「わぅっ?!」

不意に後ろから押された。
すると――



――バタン



少年の目の前には開けた世界が広がっていた。
今までの狭い世界ではなく、自由な広々とした世界が広がっていた。
何物にも縛られない、自由な世界がそこにはあった。

少年は思った。
――やっぱり自由なのが一番だ、と。



ドアは思った。
――お願いだから直してくれ、と。



登場人物:シャン